「ゲーミングPCを組みたいけど、電源ってどれを選べばいいの？」
そんな疑問を持つ人は少なくありません。CPUやGPUの性能ばかり注目されがちですが、実は電源ユニットはPC全体の安定性を左右する“縁の下の力持ち”なんです。今回は、初心者でも迷わず選べるように、「容量」「効率」「静音」の3つのポイントを中心に、電源選びのコツをわかりやすく解説します。
電源ユニットはPCの“心臓部”
電源ユニットは、家庭用の交流電流をPC内部で使う直流電流に変換し、各パーツに供給する役割を持っています。
もし電源が不安定だったり、供給能力が不足していたりすると、ゲーム中にフリーズしたり、最悪の場合はパーツの故障につながることもあります。
つまり、いくら高性能なGPUを積んでも、電源がしっかりしていなければその力を発揮できません。安定した電力供給こそが、快適なゲーミング体験の土台なのです。
容量の選び方：余裕をもたせるのが基本
最初に気になるのが「何ワットの電源を選べばいいのか」。
これはPCの構成によって異なりますが、目安を押さえておけば難しくありません。
1. 消費電力をざっくり把握する
CPUやGPUにはそれぞれ定格の消費電力（TDP）があり、マザーボードやストレージ、ファンなどを含めると、全体の消費電力を見積もることができます。
例えば、ミドルクラスのゲーミングPCなら合計でおおよそ400〜500W程度。ハイエンドGPUを積むなら600W以上になることもあります。
2. 「最大消費電力の1.5〜2倍」が安心ライン
多くの専門家が推奨するのは、システム全体の最大消費電力の約2倍を目安にすること。
なぜなら、電源は常にフルパワーで動かすよりも、50〜70％の負荷で動作している時が最も効率が良いからです。
例えば消費電力が500Wなら、750W〜1000Wクラスの電源を選ぶと安定性と寿命のバランスが取れます。
3. 将来のアップグレードも考える
今は中堅GPUでも、将来的に上位モデルへ換装する可能性があるなら、最初から余裕ある容量を選びましょう。電源の交換は手間がかかるので、少し多めを選んでおく方が結果的にコスパが良くなります。
効率の考え方：電気代と発熱に直結するポイント
「効率」は、入力された電力をどれだけ無駄なくパーツに供給できるかを示す指標です。
効率が悪い電源は、同じ出力でも余分な電力を使い、結果的に発熱が増え、電気代も上がってしまいます。
1. 「80 PLUS」認証をチェック
電源ユニットの効率を示す代表的な基準が「80 PLUS認証」です。
これは、変換効率が80％以上であることを意味し、グレードは次のように分かれています。
- Bronze（約82〜85％）
- Silver（約85〜88％）
- Gold（約87〜90％）
- Platinum（約89〜92％）
- Titanium（約90〜94％）
ゲーミングPCなら、コストと性能のバランスが良い Gold 以上を選ぶのがおすすめです。
2. 効率が高いほど静かで長持ち
効率の高い電源は発熱が少ないため、冷却ファンの回転数を抑えられ、静音性にもつながります。さらに、熱による部品の劣化も減るため、結果的に寿命が長くなる傾向があります。
「高効率＝省エネ＋静音＋長寿命」という三拍子が揃うわけですね。
静音性の見極め：ゲームに集中するための大事な要素
長時間プレイするゲーマーにとって、PCのファン音は地味にストレスになるもの。
電源ユニットの静音性は、ゲームの没入感を左右する意外と重要なポイントです。
1. ファンの構造と制御方式を確認
静音モデルを選ぶときは、ファンのサイズと回転制御方式をチェックしましょう。
120mm以上の大径ファンを採用している電源は、同じ風量でも低回転で済むため、ノイズが少なくなります。
また、「セミファンレス機能」がある電源は、軽負荷時にファンが完全停止し、無音で動作する設計になっています。
2. 静音認証モデルや品質で選ぶ
最近は「Cybenetics Lambda認証」といった静音性を評価する基準も登場しています。
さらに、日本製コンデンサや流体動圧軸受ファンなど、信頼性の高い部品を使ったモデルは発熱・振動が少なく、結果的に静かです。
3. エアフローの悪さにも注意
どんなに静かな電源でも、ケース内のエアフローが悪いと熱がこもり、ファンが回転しっぱなしになります。
配線をすっきりさせて、吸排気がスムーズになるよう意識しましょう。
規格・ケーブル・保護回路も忘れずに
容量や効率ばかりに目を向けがちですが、物理的なサイズや安全性も重要です。
- 規格の確認：ATX、SFXなど、ケースに合ったサイズを選ぶ。
- ケーブル構成：不要なケーブルを省けるモジュラー式は、配線整理が簡単でエアフロー改善にも有効。
- 保護回路：過電圧・過電流・短絡などの保護機能を備えたモデルを選ぶことで、万が一のトラブルからPC全体を守れます。
- 保証期間：信頼できるメーカーは7〜10年保証を付けていることが多く、品質の裏付けにもなります。
ゲーミングPCに最適な電源の条件とは？
ゲーミングPCでは、GPUとCPUの同時負荷が高く、瞬間的に大きな電力を必要とします。
そのため、次の条件を満たす電源を選ぶと安心です。
- 容量に余裕があり、ピーク電力にも耐えられる
- 80 PLUS Gold以上の高効率モデル
- 静音仕様（大径ファン・セミファンレスなど）
- 保護回路と長期保証を備えた信頼ブランド製
特に、将来的にGPUをアップグレードする予定があるなら、最初から少し大きめの容量を選んでおくことで、買い替えコストを抑えられます。
よくある失敗パターンと対策
1. 容量不足で動作不安定
消費電力ギリギリの電源を選ぶと、ゲーム中の負荷で電圧が不安定になり、クラッシュや強制終了の原因になります。
→ 余裕をもたせることが最重要です。
2. 安すぎる電源に手を出す
価格だけで選ぶと、変換効率や部品品質が低く、結果的に故障リスクが上がります。
→ 長期的には品質重視の方がコスパが良い。
3. サイズ・ケーブルミス
ATX電源がケースに入らない、GPU補助電源が足りない、などの物理的トラブルも多いです。
→ 事前にケースとパーツの規格・コネクタ数を確認。
まとめ：ゲーミングPC電源の選び方を制す者が安定を制す
電源ユニットは、派手さはないけれどPCの安定性と寿命を支える最重要パーツです。
容量には余裕を持ち、効率の良い認証モデルを選び、静音性や保護機能にも気を配れば、長く安心してゲームを楽しめます。
最後にもう一度ポイントを整理します。
- 容量は「最大消費電力の1.5〜2倍」を目安に
- 効率は「80 PLUS Gold」以上を選ぶ
- 静音仕様のモデルで快適なプレイ環境を
- 規格・ケーブル・保護機能・保証を確認
これらを押さえれば、どんなゲームでも安心して挑める“安定したゲーミングPC”を手に入れられます。
あなたの次の一台、電源選びからしっかりこだわってみてください。
