「ゲーミングPC」と聞くと、多くの人が大きなグラフィックボード(いわゆる“グラボ”)を搭載したハイスペックマシンを思い浮かべるはずです。
しかし最近では「グラボなしでもゲームできるPCはあるの?」という疑問が増えています。
実際、CPUに内蔵されたGPU(iGPU)が進化しており、軽めのタイトルなら専用グラボがなくても意外と遊べる時代になりました。
この記事では、グラボなしゲーミングPCの実力と限界、そしてどんな人におすすめかを分かりやすく解説します。
そもそも「グラボなしゲーミングPC」ってどんなPC?
グラボなし、つまり「内蔵GPUだけで動作するPC」とは、CPU(またはAPU)に搭載されているグラフィック機能を使って映像を処理するタイプのパソコンです。
グラフィックボードが別に挿さっていない分、構成がシンプルでコンパクト。電力消費も少なく、価格も安めなのが特徴です。
CPUの中には、Intelなら「Intel UHD Graphics」「Iris Xe Graphics」、AMDなら「Radeon Graphics」などの内蔵GPUを持つモデルがあります。
逆に、型番の末尾に「F」(例:Core i5-12400F)とつくIntel CPUや、AMDの「無印」Ryzenシリーズの一部は内蔵GPUを搭載していません。
ここを知らずに選ぶと、映像出力すらできないという失敗もあるので注意が必要です。
内蔵GPUの実力はどれくらい?昔とは大違い
かつては「内蔵GPU=映像が出るだけ」と言われていました。
でも最近はそのイメージを覆すほど進化しています。
例えば、AMDのRyzen 8000Gシリーズや、Intelの第13~14世代CPUに搭載された「Iris Xe Graphics」などは、軽めの3DゲームならフルHDでも十分動作します。
「VALORANT」や「フォートナイト」などの人気タイトルなら、設定を中~低に落とせば快適にプレイできるレベルです。
もちろん、レイトレーシングや4K解像度などの高負荷設定では厳しいですが、「遊べるゲームの幅が広がっている」のは確か。
かつて“グラボ必須”だった時代から比べると、内蔵GPUでもここまで来たかと思うほどの進化です。
どんなゲームならグラボなしで遊べる?
実際に内蔵GPUで遊べるゲームの傾向を見てみましょう。
- 2Dゲーム全般(Stardew Valley、Undertaleなど)
- 軽量なインディーゲーム
- マインクラフト(描画設定を調整すれば十分)
- フォートナイトやAPEX(画質を下げれば可能)
- LOL、VALORANTなどのeスポーツ系タイトル
- ブラウザゲーム、スマホ移植系ゲーム
このようなタイトルなら、フルHD解像度で30~60fpsをキープできることも多いです。
ただし、メモリの速度と構成が重要になります。
内蔵GPUはシステムメモリを共有して使うため、デュアルチャネル(2枚組)で組むと性能が大幅に上がります。
逆に、AAAタイトル(Cyberpunk 2077やHorizonなど)を高画質で遊びたい人には、正直グラボなし構成は厳しいでしょう。
グラボなしのメリット:静か・安い・シンプル
「ゲーミングPC」と聞くと高価なイメージがありますが、グラボなし構成なら予算を大きく抑えられます。
グラフィックボード自体が高価ですし、それに伴う電源や冷却パーツも不要になるため、トータルコストはかなり安く済みます。
また、発熱が少ないため静音性も高く、省電力で動作するのも魅力。
小型ケースで組めるため、**リビングやカフェに置いても違和感のない“おしゃれPC”**にもなります。
さらに、将来的に「やっぱりグラボを入れたい」と思ったときに追加できるよう、PCIeスロットがあるマザーボードを選んでおけば、拡張性も確保できます。
デメリット:やはり性能の限界はある
一方で、内蔵GPUだけではやはり限界もあります。
- 最新の3Dゲームは設定をかなり落とさないとカクつく
- 4KやWQHD解像度では処理が追いつかない
- 動画編集や3Dモデリングなど、GPUを使う作業は厳しい
- 将来のゲームタイトル対応に不安がある
特に、高リフレッシュレートのモニター(144Hzなど)を活かしたい人には向きません。
フルHD・60Hzモニター前提ならOKですが、「144fpsで滑らかに動かしたい」という目的なら、グラボを積んだ構成が必要です。
「まず内蔵GPUで始める」という選択肢もあり
とはいえ、最初からハイエンド構成を買う必要はありません。
**“まずは内蔵GPUで始めて、後からグラボを追加する”**というのも賢い戦略です。
今のCPUなら、映像出力も軽いゲームプレイもこなせるレベルにあるので、しばらく遊びながら予算を貯め、後にグラフィックボードを増設すればOK。
BTOパソコンでも「グラボなしモデル」が選べる場合があります。
この構成をベースに、将来RTXシリーズなどを追加すれば、段階的に“本格ゲーミングPC”に育てられます。
その際は、電源容量(できれば550W以上)とケースサイズ、冷却性能をあらかじめ余裕を持たせておくのがおすすめです。
グラボなしゲーミングPCが向いている人
次のような人には、グラボなし構成がかなりマッチします。
- 軽いゲーム中心で遊ぶライトゲーマー
- 初期コストを抑えたい人
- 静音・省電力・コンパクトなPCが欲しい人
- 自作やBTOに挑戦してみたい初心者
- 将来の拡張も見据えたい人
逆に、以下のような人はグラボ搭載構成を強くおすすめします。
- 最新3Dゲームを高画質でプレイしたい
- 動画編集や配信を快適にしたい
- 144Hz以上のゲーミングモニターを活かしたい
- 長期間アップグレードせずに使いたい
どちらの選択が良いかは、「どんなゲームを、どんな設定で遊びたいか」によって決まります。
購入時のチェックポイント
グラボなしゲーミングPCを検討する際は、次の点を確認しましょう。
- CPUの内蔵GPU有無を確認
型番末尾に「F」がつくIntel CPUは非搭載なので注意。 - メモリ構成はデュアルチャネルで
内蔵GPUはメインメモリを使うため、2枚挿しで帯域を確保。 - 冷却と電源の余裕を見ておく
将来グラボを追加するなら、550W以上の電源がおすすめ。 - 解像度とモニター設定を考慮
フルHD・中設定で遊ぶなら十分、4Kは非現実的。 - ケースサイズと拡張性を確認
小型PCを選ぶと後からグラボを載せられない場合もある。
これらを意識すれば、「後悔しないグラボなし構成」を組むことができます。
グラボなしゲーミングPCは買うべき?結論
結論として、**グラボなしゲーミングPCは“アリ”**です。
ただしそれは、「自分がどんなゲーム体験を求めるか」によって変わります。
ライトゲーマーや予算重視派にとっては、今の内蔵GPU性能で十分。
コストを抑えつつ、静かでシンプルな環境を手に入れられます。
一方で、最新タイトルを高画質で快適に楽しみたい人には、専用グラボがやはり不可欠です。
最初から無理に高額なGPUを買わず、まずは内蔵GPUで始めるのもひとつの賢い選択肢。
今後のCPU進化を見ても、グラボなし構成の価値はますます高まっていくでしょう。
まとめ:グラボなしゲーミングPCは進化した“新しい選択肢”
「グラボなしゲーミングPCは買うべき?」という問いへの答えは、**“自分のスタイル次第”**です。
軽めのゲームを楽しみたい人、コスパを重視する人には最適な選択。
ハイエンドゲーマーには物足りないかもしれませんが、技術の進化でその差は確実に縮まっています。
内蔵GPUはもう「おまけ」ではありません。
あなたの遊び方に合ったPC選びをすれば、グラボなしでも十分に“ゲーミング”を楽しめる時代です。
