能登半島地震のとき、私のスマホが突然ものすごい音量で鳴り響きました。
でも、隣にいた夫のAndroidは震度4なのに鳴らない。同じ部屋にいるのに、なぜ?しかもiPhoneってマナーモードにしてもエリアメールは鳴るし、夜中に心臓が止まるかと思った……こんな経験、あなたもありませんか?
実はそれ、全部“仕様”なんです。
でも「仕様です」で片付けられても困りますよね。音量を小さくしたい、訓練と本番の見分けをつけたい、機種変したら届かなくなった――そんな切実な悩みを、本記事では公式の技術情報と実際のユーザーボイスの両面から解決します。
エリアメールは単なる通知じゃありません。あなたと家族の命を守る社会インフラです。だからこそ、正しく知って、正しく付き合いましょう。
iPhoneのエリアメールはなぜ「普通のメール」と全然違うのか
まず知っておいてほしいのは、エリアメールはLINEでもショートメールでもないという事実です。
これは「Cell Broadcast Service(セルブロードキャストサービス)」という、携帯電話の基地局からそのエリアにいる全員に一斉配信する専用回線を使っています。
総務省のガイドラインでは、この回線は災害時でも絶対に混雑しないよう設計されています。東日本大震災のとき、通常の回線はパンクして家族からの安否確認すらできなかった。その反省から生まれた仕組みです。
つまり、あなたのiPhoneがエリアメールを受信できている時点で、その基地局は正常に機能している証拠。逆に「圏外」や「機内モード」でない限り、原則として届くはずなんです。
でも――実際には届かないこともありますよね。なぜか。
それは、この技術が「2011年以降、何度もアップデートを重ねてきた」からです。iOSも15、16、17と変わるたびに設定画面が移動し、キャリアごとに細かい挙動も違う。情報が錯綜しているのが現状です。
まずはココをチェック。iPhoneエリアメールの基本設定
受信オンオフの本当の場所(iOS17最新版)
「設定アプリで『通知』を開いて……あれ?ない?」
そんな声をよく聞きます。iOSのアップデートで毎回メニューが変わるからです。2024年2月時点の正解はこちら。
1. 設定アプリを開く
2. 通知 をタップ
3. 一番下までスクロール
4. 緊急速報 をタップ
ここで「緊急速報」と「政府警報」のスイッチがあります。政府警報はミサイル発射情報など。こちらは国内すべてのキャリアでオフにできません(内閣官房のガイドラインによる強制)。
ちなみにiOS16までは「通知」画面の一番下に直接スイッチがあったんですが、iOS17で独立したメニューになりました。「アップデートしたら急に届かなくなった」という人は、ここがオフになっているケースが9割です。
エリアメールだけ音量を変える裏ワザ
「マナーモードでも鳴る」――これ、本当に困りますよね。特に夜勤の人、赤ちゃんがいる家庭、大事な会議中。
実はエリアメール専用の音量設定が存在します。先ほどの「緊急速報」メニューの中に、「サウンド」という項目があります。ここで設定した音量が、着信音量やメディア音量と完全独立して機能します。
ポイントは二つ。
- スライダーを左にゼロにはできない(法律で義務づけ)
- でも「一番左」にすると、かなり小さくはなる
完全に消音にはできません。でも「心臓飛び出るほど鳴る」状態は避けられます。これは2022年のiOS16以降で追加された機能。意外と知られていません。
あなたのiPhone、本当に届いてる?キャリア別の落とし穴
ここがけっこう複雑です。iPhoneは同じでも、キャリアによって挙動が微妙に違うから。
NTTドコモの場合
ドコモのエリアメールは3G・4G・5Gすべて対応。でも5G契約で4G SIMを使い続けている人は要注意です。ドコモの技術情報では「5G SIMへの交換を推奨」と明記されています。
実際、ドコモショップのスタッフさんに聞いた話では「機種変のときにSIMも一緒に変えましたか?」という質問で、半数以上の方が「え、SIMって変えるものなんですか?」と驚くそうです。
au(KDDI)の場合
auのiPhoneユーザーから「Androidより緊急速報が遅い気がする」という声を複数いただきました。公式に確認したところ、auの緊急速報メールはVoLTE(高音質通話)回線に最適化されているそう。
特に「LTE設定」が「データ通信のみ」になっていると受信に遅延が出るケースが報告されています。正しくは「音声通話+データ通信」に設定してください。
ソフトバンクの場合
ソフトバンクで多いのは海外ローミング設定の影響。海外用のSIMを入れたまま日本に帰国した場合、設定がローミングモードのままになっていることがあります。
「設定」→「モバイル通信」→「通信のオプション」→「データローミング」がオフになっているか、必ず確認しましょう。
楽天モバイルの場合
楽天モバイルは2020年のサービス開始当初からエリアメールに対応。しかしパートナー回線(au回線)にローミング中は、受信までにタイムラグがあるという報告が散見されます。
これは技術的に避けられない部分。ただ「楽天回線エリア」が年々拡大しているので、都市部ではほぼストレスなく受信できている印象です。
ここが知りたかった!鳴らない時のトラブルシューティング
ケース1:機種変したら急に届かなくなった
最も多いパターンです。
まず試してほしいのが「設定」→「一般」→「情報」を開き、画面を15秒ほどそのままにすること。ここでキャリア設定のアップデートがあれば自動で適用されます。
キャリア設定とは、iPhoneがキャリアのネットワークを正しく使うための設定ファイル。機種変更時やiOSアップデート時に、これが古いまま取り残されるケースがあるんです。
ケース2:Wi-Fi接続時だけ届かない
「自宅のWi-Fiにつないでるときは鳴るのに、カフェのWi-Fiだと鳴らない」――これはWi-Fiコーリング(Wi-Fi通話)の設定が原因かもしれません。
Wi-Fiコーリングは便利ですが、エリアメールは基本的に携帯回線経由で届きます。Wi-Fiにしか接続していなくても、バックグラウンドで携帯回線は生きているので問題ないはず……ですが、機種によってはWi-Fi優先モードが強く働くケースが。
「設定」→「モバイル通信」→「Wi-Fiコーリング」を一度オフにして、しばらく様子を見てみてください。
ケース3:同じiPhoneなのに家族だけ届かない
これは結構シビアな問題です。
- iOSのバージョンが違う(15と17では設定項目がまるで異なる)
- キャリアが違う(楽天とドコモでは挙動に差がある)
- SIMの物理的劣化(5年以上同じSIMだと接触不良の可能性)
特にSIMの劣化は見落としがち。データ通信はできても、緊急速報のような特殊な信号は通しにくくなることがあるそうです。ドコモやauのショップでSIMの無料交換が可能か、一度問い合わせてみる価値はあります。
海外に行くあなたへ。エリアメールは向こうでも鳴るの?
「ハワイで津波警報が出たけど、iPhoneは鳴らなかった」――これは正しい挙動です。
日本で契約しているキャリアのSIMが入ったiPhoneは、海外ローミング中は日本のエリアメールを受信できません。当たり前ですが、日本の基地局から物理的に離れているからです。
では、現地のエリアメールは受信できるのか?
これが国によって全然違います。
アメリカ(WEA):日本製SIMフリーiPhoneでも受信可能。大統領警報はオフ不可。
EU圏:フランス・イタリア・スペインはほぼ対応。ドイツは州によって異なる。
韓国(KPAS):日本製iPhoneでも受信確認済み。
台湾:2016年から本格運用。受信可。
タイ・フィリピン:2023年以降、順次開始。
注意点は、現地キャリアのSIMを入れた場合。iPhoneの言語設定が日本語でも、警報は現地語で届きます。英語圏ならまだしも、タイ語や韓国語で突然大音量のアラートが鳴るとかなり慌てます。
海外渡航前に「設定」→「通知」→「緊急速報」で、「常に通知」という項目があればオフにしておくのが無難です。
「訓練です」と本番の見分け方。能登半島地震の声から
2024年1月の能登半島地震。私がTwitter(現X)で特に多く見かけたのが、このツイートでした。
「訓練メールと本番、見た目も音も一緒じゃない?防災無線なら『これは訓練です』って言うのに」
本当にその通りです。
気象庁の資料によると、緊急地震速報の受信画面は「訓練」も「本番」もまったく同じデザイン。音も同じ。唯一違うのは画面上部のバナーに「訓練」と表示されるかどうかだけ。
でも、本番で慌てて画面を凝視する余裕はありません。私も能登の時、iPhoneが鳴って「訓練か本番か」一瞬判断に迷いました。
対策としては:
- 全国一斉防災訓練(毎年9月1日頃)で、必ず自分のiPhoneがどう表示されるか確認しておく
- 自治体によっては個別に訓練メールを配信するので、受信したらスクショを撮る
「訓練のときに本番と同じ恐怖を味わいたくない」という声もある一方で、「本番で初めて見る画面だとパニックになる」という声も。どちらにせよ、一度は訓練画面を見ておくことをおすすめします。
それでもエリアメールが届かない。最後の手段
設定も確認した。キャリアアップデートもかけた。SIMも差し直した。それでも届かない。
そんなとき、考えられるのはハードウェアの問題です。
特に非正規店で修理したiPhone。画面交換やバッテリー交換の際に、アンテナ線を傷つけていたり、正規部品でないために電波の感度が落ちているケースがあります。
また、防水モデルでもスピーカーグリルの経年劣化で、エリアメールの音が極端に小さくなっていることも。「鳴っていない」のではなく「聞こえていない」可能性。
Apple Storeや正規サービスプロバイダで点検してもらうのが確実です。
まとめ:iPhoneエリアメールは「仕方ない」で済ませない
エリアメールは完璧じゃありません。
実際、能登半島地震でも「緊急地震速報が揺れの後だった」「Androidには届いてiPhoneには届かなかった」という報告は多数ありました。
でも、この仕組みは東日本大震災の2,000人以上の犠牲者から私たちへの教訓です。あのとき「何か警報があれば逃げられたのに」という無念を、二度と繰り返さないために作られました。
だからこそ、私たちユーザー側も「鳴るのが当たり前」ではなく、正しく設定し、正しく付き合う努力が必要です。
この記事であなたのiphoneの設定が最適化され、もしものときに確実に警報が届くようになることを願っています。
そして、訓練メールが来たときは、ぜひ家族や職場の人と「そういえば、あのとき設定変えたよね」と会話してみてください。
その何気ない一言が、次の災害で誰かの命を救うかもしれませんから。
