ゲーム中にPCのファンが「ブォーッ」と唸り始めて、ちょっと気になった経験はありませんか？
最近のゲーミングPCは性能が高い分、冷却も本格的。けれどそのぶん「音の大きさ」が気になるという人も多いようです。この記事では、ゲーミングPCの音がどのくらいなのか、静音PCとの違い、そして静かに使うためのポイントをわかりやすく紹介します。
ゲーミングPCの音はどのくらい？数値で見る目安
まずは目安から。
PCの音は「デシベル（dB）」という単位で表されます。
日常生活の音で比べると、静かな図書館が30dB前後、冷蔵庫の作動音が35〜40dB、普通の会話が40〜50dB程度。
この感覚で見ると、PCの騒音がどれくらいかイメージしやすいでしょう。
ゲーミングPCの場合、アイドル時（何もしていない状態）で30〜40dBくらい。
ゲームを起動してGPUやCPUに負荷がかかると、40〜50dB、場合によっては60dB近くに達することもあります。
50dBというと、静かな部屋ではしっかり耳に届くレベル。
「冷却ファンが回ってるな」と明確にわかる音量です。
ただしこの数値はあくまで平均的な目安。
PCの構成、ケース、ファンの数、冷却方式などによってかなり差があります。
なぜゲーミングPCは音が大きくなりやすいのか
理由はシンプルで、「高性能パーツは熱を出す」から。
CPUやGPUが高い性能を発揮するためには、電力を大量に使い、それに比例して熱が発生します。
その熱を逃がすために、ファンが勢いよく回転し続ける。
この回転音こそが、ゲーミングPCの“音の正体”なんです。
さらに、ゲーミングPCには複数のファンが搭載されています。
ケースファン、CPUクーラー、GPUクーラー、電源ユニットのファンなど、合計で5〜7基ということも珍しくありません。
冷却力が高いほど静かとは限らず、「風を多く送る＝音も出やすい」というトレードオフが存在します。
もう一つ見逃せないのが、電源やGPUの「コイル鳴き」。
これはパーツ内の電気コイルが高負荷時に微振動して「ジーッ」と鳴る現象です。
デシベル的には大きくなくても、高音で耳障りに感じることがあります。
静音PCの音はどのくらい？その違いを感じるレベル
一方、静音PCはその名の通り「静かさ」を最優先に設計されています。
アイドル時で20〜30dB、負荷時でも40dBを超えない構成が理想的とされます。
30dB以下なら、ほぼ“無音”に近い世界。
耳を澄まさないとファンの回転音が聞こえないレベルです。
静音PCは、単にファンを減らしたり回転数を落としたりしているだけではありません。
・大口径ファンを低回転で回す
・防振ゴムや吸音パネルをケース内部に配置
・熱を効率的に逃がすエアフロー設計
・HDDをSSDに置き換えて回転音を排除
といった複合的な対策で「静かさ」を作り出しています。
特に最近は「静音ゲーミングPC」というジャンルも登場しています。
これはゲーミング性能を保ちながら、静音パーツを組み合わせたモデル。
価格はやや高めですが、動画配信や深夜プレイでも気にならないレベルの静けさを実現しています。
音の感じ方は人それぞれ。環境でも変わる
同じ50dBでも、「気になる／気にならない」は人によって大きく違います。
たとえば、普段からテレビや音楽を流している部屋ならPCのファン音は埋もれやすいですが、静かな寝室やワンルームではかなり気になります。
また、音の種類によっても印象は変わります。
低く穏やかな風の音は気になりにくいですが、「ジー」「キーン」といった高音や断続音は不快に感じやすい傾向があります。
さらに注意したいのが「測定距離」。
PC本体から10cmの距離で測るか、1m離れた位置で測るかで数値が大きく変わります。
メーカーやレビュー記事のdB表記を見るときは、この条件にも注目しましょう。
静音化したい人ができること
今のPCの音が気になるなら、次のような方法で静音化を検討してみましょう。
1. ファンの回転数を下げる
マザーボードの設定や専用ソフトでファンの回転数を調整できます。
「静音モード」や「PWM制御」を活用すると、負荷が低いときはファンを止めることも可能です。
2. 大口径ファンに交換する
120mmより140mmなど、より大きなファンに変えることで、同じ風量でも低回転で済みます。
結果として音がかなり抑えられます。
3. ケースを防音タイプにする
内部に吸音材が貼られた“静音ケース”を選ぶと、ファン音や振動音を外に漏らしにくくなります。
4. HDDをSSDに換装する
HDDの回転音や振動は意外と大きいもの。
ストレージをSSDにするだけでも体感的な静音効果があります。
5. 電源ユニットやGPUを静音モデルにする
最近の高効率電源（80PLUS GOLD以上）や上位GPUは「ファン停止モード（0RPM）」を備えており、軽負荷時は無音で動作します。
こうした対策を組み合わせることで、今使っているゲーミングPCでも静音性を大きく改善できます。
ゲーミングPCで“音”とどう付き合うか
性能を求めれば音が増える。
静音を求めれば冷却力を抑える必要が出る。
この両立こそがゲーミングPCの永遠のテーマです。
大切なのは、自分の使い方と許容ラインを明確にすること。
たとえば、FPSやMMOなど常に高フレームレートを出したい人は、ある程度のファン音は避けられません。
一方で、配信や動画編集を静かな環境で行いたいなら、静音志向の構成を選ぶ価値があります。
また、部屋の環境も工夫できます。
PCをデスク下や足元に置く、壁から少し離して反響を防ぐ、マットで振動を吸収する。
たったこれだけでも体感的な静かさは大きく変わります。
静音化の落とし穴と注意点
静かにしようとしすぎて、冷却が不足してしまうのは本末転倒です。
温度が上がると、CPUやGPUの性能が自動で下がる「サーマルスロットリング」が発生することも。
静音と冷却のバランスを見極めることが大切です。
また、静音ファンや防音ケースは一般的な製品より高価です。
コストをかけるほど静かにはなりますが、「完全に無音」にはなりません。
あくまで「気にならない程度に抑える」のが現実的なゴールです。
ゲーミングPCの音を理解して快適なプレイ環境を
改めてまとめると、ゲーミングPCの音は状況によって大きく変わります。
アイドル時で30〜40dB、ゲーム中で40〜50dB前後。
静音PCはそれより一段静かで、負荷時でも40dBを超えない設計が理想です。
つまり、静音PCとゲーミングPCの差はおおむね10dBほど。
数字だけ見るとわずかですが、体感ではかなり違います。
もし今のPCが「うるさい」と感じるなら、構成や環境を少し見直すだけで大きく改善できます。
ファン設定を調整する、ケースを変える、静音パーツを導入する。
自分のプレイスタイルに合わせて“ちょうどいい静けさ”を探すのがポイントです。
最後にもう一度。
ゲーミングPCの音はどのくらい大きい？静音PCとの違いを比較すると、性能と静けさはトレードオフの関係にあります。
でも、少しの工夫でそのバランスは確実に良くできる。
静かで快適な環境で、思い切りゲームを楽しんでいきましょう。
