高性能なゲーミングPCを使っていると、突然スリープできなかったり、シャットダウンしても電源が切れなかったりすることがありますよね。
ファンやLEDが回りっぱなしで、「え、止まらないの?」と不安になる人も多いと思います。
この記事では、そんな「スリープ・シャットダウン問題」の原因と、すぐに実践できる対処法をまとめて紹介します。難しい専門用語はできるだけかみ砕いて、わかりやすく解説していきます。
なぜゲーミングPCはスリープやシャットダウンで不具合が起こるのか
まず知っておきたいのは、スリープやシャットダウンが“単純な電源オフ”ではないということ。Windows 10には複数の電源状態(スリープ、休止、完全オフなど)があり、ドライバやハードウェアの対応状況によって挙動が変わります。
特にゲーミングPCはパーツ構成が複雑で、RGBライト、USBデバイス、ハイパワーなGPUなどが常時動作しているため、普通のPCよりも電源管理がシビアです。
よくある原因は次の通りです。
- 高速スタートアップの影響:シャットダウン時に内部的にハイバネーションが使われ、完全に電源が落ちない。
- USBやLANの“ウェイクアップ設定”:外部デバイスがスリープを妨げる。
- BIOS(UEFI)の設定不備:電源オフ時も通電を続ける仕様になっている。
- ドライバの不整合:古いグラフィックやチップセットドライバがスリープ処理に失敗する。
- **DisplayPort**の逆給電:モニター側からGPUに電流が戻り、電源が切れない。
「高性能=安定」とは限らないのが、ゲーミングPCの難しさでもあります。
症状別に見るトラブルのパターン
スリープできない/すぐ復帰してしまう
スリープを選んでも画面だけ暗くなってファンが回り続ける場合、たいていはデバイスがスリープを妨げています。
マウスやキーボード、ゲームパッド、Bluetoothドングルなどが「このデバイスでスリープ解除を許可する」になっていると、すぐ復帰してしまうことも。
また、電源設定でスリープが無効化されているケースもあります。電源オプションの「詳細設定」でスリープ時間やハイバネーション移行時間を確認しましょう。
シャットダウンしても電源が切れない
電源ボタンを押してもファンが止まらず、ケースのLEDが光り続ける場合。
よくあるのは「高速スタートアップ」が有効になっているケースです。
これを無効化すれば、完全な電源オフになります。
また、BIOSで「ErP Ready」や「S5モード」がオフになっていると、マザーボードが通電を維持してしまいます。
USB常時給電機能も原因になりやすく、マザーボード設定で「シャットダウン時のUSB給電を無効」にしておくのが有効です。
勝手にスリープする/まったくスリープしない
プレイ中や動画視聴中に急に画面が暗くなったり、逆にずっと動き続けてスリープしなかったり。
この場合は電源プランが不適切な可能性があります。
「高パフォーマンス」モードでは省電力機能が無効化されるため、スリープに入らないことが多いです。
逆に省電力モードではアイドル判定が厳しく、少しの無操作でスリープに入ってしまうことも。
ゲーミング用途に合わせて、独自の電源プランを作るのがおすすめです。
まず試したい基本の対処法
1. ドライバとBIOSを最新にする
最初にやるべきは、Windows 11 Update とドライバ更新です。
特にGPUやチップセットのドライバは、スリープや電源制御に関係しています。
また、マザーボードのBIOSアップデートで「電源管理の改善」が含まれていることも多いです。
2. 高速スタートアップを無効化する
コントロールパネル → 電源オプション → 「電源ボタンの動作を選択する」から
「高速スタートアップを有効にする」のチェックを外します。
これで、完全なシャットダウンが可能になります。
3. 周辺機器を一度すべて外す
USB機器や外付けストレージを一旦外して、スリープ・シャットダウンの動作を確認しましょう。
どれか一つのデバイスがトリガーになっていることも多いです。
特にRGBコントローラやセルフパワーUSBハブは要注意。
4. BIOSで電源関連を確認
BIOS設定で次の項目をチェックします。
- ErP / EuP Ready → Enabled(有効)
- USB常時給電 → Disabled(無効)
- Wake on LAN / Wake on USB → Off
- RGB LEDをS5で消灯 → Enabled
これだけで改善するケースは少なくありません。
スリープやシャットダウンが改善しない時の最終手段
最小構成で動作確認
GPUを外し、メモリ1枚・ストレージ1台・キーボードのみという最小構成で起動してみます。
これで正常にスリープ・シャットダウンできる場合、外したデバイスのどれかが原因です。
電源ユニットの不調を疑う
高負荷運用を続けていると、電源ユニットの制御回路が劣化して電源オフが安定しなくなることも。
特に数年使ったPSUでは、コンデンサ劣化による残留電力でファンが止まらないケースがあります。
CMOSクリアでBIOSをリセット
BIOS設定の不整合が原因の場合、CMOSクリアで解決することがあります。
マザーボード上のジャンパピンやボタン電池を外して数分待つだけでリセット可能です。
再設定が必要になるので、事前に現在の設定をメモしておくと安心です。
ゲーミングPC特有の注意点
ゲーミングPCは、性能重視の設計ゆえに電源関連が複雑です。
LED制御ソフト、RGBコントローラ、オーバークロックツールなどが常駐していると、スリープ動作が不安定になります。
- 常駐アプリを減らす
特にマザーボードやGPUの制御アプリは、電源制御を妨げることがあります。
スタートアップを最小限に絞るだけでも効果的。 - DisplayPortのケーブルを抜いて試す
モニターから逆給電していると、PCの電源が完全に切れません。HDMIで試すと改善することも。 - スリープを使わず、完全オフで運用する
長時間ゲームをしないときは、スリープよりシャットダウンのほうが安定します。
ハードウェアを保護する意味でも、完全オフのほうが安心です。
まとめ:ゲーミングPCがスリープやシャットダウンしない時は慌てず順番に確認を
ゲーミングPCがスリープやシャットダウンしないと焦りますが、原因はほとんどが設定や周辺機器の影響です。
順番に確認していけば、たいていは解決します。
- ドライバとBIOSを更新
- 高速スタートアップを無効にする
- 周辺機器を外してテスト
- BIOSで電源設定を見直す
- それでもダメなら電源ユニットや配線を疑う
もし複雑な構成の自作ゲーミングPCを使っているなら、スリープ機能をオフにして「完全シャットダウン運用」にするのもひとつの手です。
電源管理はPCの“健康管理”でもあります。
しっかり整えて、安心してゲームを楽しみましょう。
