「通話の声がこもって聞こえる」「相手に自分の声がこもると言われる」──
ワイヤレスイヤホンを使っていると、こんな経験をしたことがある人も多いはずです。音楽再生はクリアなのに、通話になると急に音質が落ちてこもる。実はこれ、イヤホン側や通信環境など、いくつかの要因が重なって起こる現象なんです。
ここでは、なぜ通話中に声がこもるのか、その原因と改善方法、さらに通話品質に優れたおすすめモデルまで、分かりやすく紹介します。
通話中に「声がこもる」とはどういう状態？
「こもる」とは、簡単に言えば声が明瞭に伝わらず、くぐもった音に聞こえる状態のことです。
相手から「聞き取りづらい」と言われたり、自分の声が遠く感じたりするのが特徴。
イヤホンのマイクで拾った音が、加工や通信の過程で劣化してしまうことで起こります。
この“こもる”現象には、いくつか典型的な原因があります。ひとつずつ見ていきましょう。
原因1：マイク穴やイヤホン内部の汚れ・遮蔽
最も多いのが、マイク部分にホコリや皮脂が詰まっているケース。
ワイヤレスイヤホンは耳に密着して使うため、皮脂・汗・耳垢などがマイク穴に入りやすく、音を拾う能力を下げてしまいます。
また、装着角度がズレてマイクが口元を向いていない場合や、マスクや髪の毛がマイクを覆ってしまう場合も、声がこもる原因に。
特にカナル型のイヤホンは密閉度が高いため、マイク位置が少しずれるだけでも音の入り方が変わります。
まずはイヤホンの掃除と装着チェックを。
乾いた綿棒やマイクロファイバークロスでマイク周辺を優しく拭き取り、口元方向にマイクが向くように装着するだけで、改善することがあります。
原因2：Bluetooth通信の仕組みと音声プロファイル
意外と知られていませんが、通話時の「こもり」はBluetoothの仕組みによるところも大きいです。
Bluetoothには、音楽再生用（A2DP）と通話用（HFP／HSP）という2つのプロファイルがあり、通話中は自動的に低音質の通話モードへ切り替わります。
この通話モードでは帯域が狭くなり、高音や細かい声のニュアンスが削られてしまうため、「こもった音」に聞こえるのです。
さらに、周囲のWi-Fiや他のBluetooth機器と干渉して通信が不安定になると、音声データの欠落が発生してよりこもりやすくなります。
特にオフィスやカフェなど、無線機器が多い環境では要注意。
原因3：ノイズキャンセルや音声処理の影響
最近のワイヤレスイヤホンには、周囲の雑音をカットする「ノイズキャンセル」や「通話ノイズリダクション（ENC）」が搭載されています。
便利な機能ですが、声と雑音を分ける処理が強くかかりすぎると、肝心の声の一部まで削られてしまうことがあります。
たとえば、風の音やカフェの雑音を消そうとして、声の高音成分まで抑えられ、結果的に「モコモコ」した声になるというパターンです。
特にオンライン会議アプリや通話アプリを使う際は、アプリ側のノイズ抑制とイヤホン側のノイズキャンセルが重複しないよう注意しましょう。
原因4：ファームウェアや端末設定の不具合
通話時のこもりが突然起きた場合、ソフトウェアやファームウェアの不具合が関係していることもあります。
・イヤホンのファームウェアが古い
・スマホのOSアップデート後に相性不良が起きた
・Bluetooth設定が壊れている
こうしたケースでは、以下のような対応を試してみてください。
- イヤホンのペアリングを解除して再登録する
- スマホを再起動する
- イヤホンのアプリを最新バージョンに更新する
- イヤホン自体をリセット（初期化）する
簡単な操作で改善することが多いので、試してみる価値はあります。
改善方法：今すぐできる6つの対処法
原因を理解したら、実際にどう直すか。
以下の6つを順に試すと、多くのケースで音質が改善します。
- マイク部分を掃除する
柔らかい布や乾いた綿棒でマイク穴・スピーカー部を軽く清掃。水やアルコールはNG。 - 装着位置を調整する
マイクが口元に向くように角度を調整。髪やマスクが被っていないかも確認。 - 静かな場所で通話する
強い雑音下ではノイズ処理が過剰に働き、声が潰れる原因に。 - Bluetooth接続をリセットする
ペアリングを解除し、再登録。干渉機器はなるべくオフにする。 - 最新ファームウェアに更新する
メーカーアプリで最新の状態かチェック。アップデート後に通話品質が改善されることがあります。 - アプリ設定を見直す
通話アプリ側のノイズ抑制やエコーキャンセル機能をオン・オフして最適化。
これでも改善しない場合は、イヤホン自体のマイク性能が十分でない可能性があります。
通話に強いワイヤレスイヤホンの選び方
音楽重視のイヤホンと、通話重視のイヤホンでは設計思想が少し異なります。
通話メインで使うなら、次のポイントを意識して選ぶのがおすすめです。
- デュアルマイク以上
複数マイクで周囲の雑音と声を分離。ビームフォーミング対応モデルだとよりクリア。 - ENC（通話ノイズキャンセル）搭載
自分の声だけを相手に届ける機能。外でも声が明瞭に伝わる。 - Bluetooth 5.3以上対応
通信の安定性・遅延の少なさが大きく向上。 - マイク位置が口元方向に配置されている
完全ワイヤレスでもスティック型など、マイクが下向きに伸びるタイプは声を拾いやすい。 - ファームウェアの更新サポートがしっかりしているメーカー
音質改善のアップデートが期待できるブランドを選ぼう。
通話がこもりにくいおすすめワイヤレスイヤホン
1. Sony WF-1000XM5
業界トップクラスのノイズキャンセル性能と高精度マイク。AIによる音声分離技術で、環境音を抑えながら声をクリアに伝える。屋外通話でも安定。
2. Apple AirPods Pro（第2世代）
Appleデバイスとの連携が強く、マイクの指向性制御が優秀。通話中でも自然な声で伝わる。風の影響も受けにくい。
3. Anker Soundcore Liberty 4 NC
コスパ重視で通話品質も良好。ENC対応でノイズの多い環境でもこもりにくい設計。マイク性能を重視する人におすすめ。
4. Jabra Elite 10
通話特化設計で、クリアな声を届けるマルチマイク構造を採用。長時間のビデオ会議にも最適。
これらのモデルはいずれも、通話音質・マイク性能・装着感のバランスが取れており、「こもりにくさ」を重視する人に向いています。
まとめ：ワイヤレスイヤホン通話がこもる原因と対策を知って快適に
ワイヤレスイヤホンの通話で声がこもるのは、マイクの汚れや位置ズレ、Bluetooth通信の制約、ノイズ処理の影響など、さまざまな要素が絡みます。
まずは掃除や装着確認、ペアリングの見直しなど簡単な対処から試してみましょう。
それでも改善しない場合は、通話性能に優れたモデルへ買い替えるのもひとつの方法です。
クリアな通話音質は、仕事の印象や会話のストレスに直結します。
原因を正しく理解して、こもらない快適な通話環境を手に入れましょう。
