最近、「スマートウォッチで心電図を測れる」と聞いたことがある人は多いと思います。でも、その機能って日本でも本当に使えるのでしょうか? また、どのスマートウォッチなら安心して使えるのか。この記事では、日本における心電図(ECG)機能付きスマートウォッチの認可状況と、最新の対応機種について、わかりやすく整理して紹介します。
そもそも「心電図機能」は特別な機能
心拍数や血中酸素濃度を測るスマートウォッチはたくさんありますが、「心電図機能(ECG)」は少し特別です。
なぜなら、心臓の電気信号を測定するこの機能は、医療的な検査と似た性質を持っているからです。
日本では、医療目的で心電図を計測するアプリや機器は「医療機器」に分類され、販売・提供には厚生労働省の承認が必要です。
つまり「心電図付きスマートウォッチ」とうたうためには、正式な医療機器プログラムとしての認可を受けていなければなりません。
このため、海外では使える心電図機能が、日本では制限されていたり、アプリが使えなかったりするケースもあります。
日本で初めて認可されたのはApple Watch Series 11
最初に日本で心電図機能が正式に使えるようになったのは、Apple Watch Series 11です。
Appleは自社の「心電図アプリ」と「不規則な心拍の通知機能」を医療機器プログラムとして厚生労働省に申請し、2021年に承認を取得しました。
この承認により、Apple Watch Series 4以降のモデルで日本国内でも心電図測定が可能に。
家庭用心電計としての信頼性を持つ、初のスマートウォッチとなったのです。
測定はシンプル。Apple Watchを装着したまま、デジタルクラウンに指を当てるだけで、30秒ほどで心電図波形が表示されます。
記録はiPhoneの「ヘルスケア」アプリにも保存でき、異常があれば医師に見せることもできます。
2025年現在、心電図機能が使える主なスマートウォッチ
2025年の今では、Apple以外にも心電図機能を正式に提供できるスマートウォッチが増えています。
それぞれ特徴があるので、代表的なものを紹介します。
Apple Watch Series 11シリーズ(Series 9〜11、Ultraシリーズ)
Apple Watch Series 11は引き続き王道の選択肢です。
ECG測定はもちろん、不整脈検知、心拍数アラート、血中酸素、睡眠、ストレス管理などの健康機能が一通り揃っています。
特に最新のSeries 11やApple Watch Ultra 3では、センサー精度やバッテリー持ちも向上しています。
Google Pixel Watch 4
Androidユーザー待望の選択肢。Google Pixel Watch 4は2025年に日本でも心電図機能が正式対応しました。
Fitbitアプリと連携して測定データをPDFで出力できるなど、医療・健康管理の橋渡しになる機能が特徴です。
シンプルな操作性とGoogle連携の利便性も強み。
HUAWEI WATCH D2 / HUAWEI WATCH GT 5 Pro
HUAWEIは日本で心電図アプリの医療機器承認を取得した数少ないメーカーです。
HUAWEI WATCH D2は血圧と心電図を同時に測れるモデルとして注目され、心房細動の兆候検出にも対応しています。
HUAWEI WATCH GT 5 Proはスポーツ志向ながら、ECG測定を含む多彩な健康モニタリングを実現しています。
Garminスマートウォッチ(2025年春対応)
ランナーやアスリートに人気のGarminも、ついにECG機能を搭載。
日本では2025年にGarmin心電図アプリが医療機器認可を取得し、対象モデルで心電図の計測が可能になりました。
トレーニング計測と健康モニタリングを両立したい人に向いています。
認可がある機種とない機種の違い
通販サイトなどを見ていると、「心電図対応」や「ECG搭載」と書かれた格安スマートウォッチが多く並びます。
しかし、それらの多くは医療機器としての認可を受けていません。
認可があるスマートウォッチは、医療機器として厚生労働省に届出・審査を経て承認を得ています。
つまり、測定データの信頼性や法的な安心感があるわけです。
一方、認可のない機種では「健康管理の参考値」として提供されるにとどまり、診断や治療の補助としては使えません。
例えば、商品ページの注意書きに「医療機器ではありません」と明記されているものがこれに該当します。
認可を得るにはどういう仕組み?
日本では、スマートウォッチの心電図アプリは「医療機器プログラム」として扱われます。
メーカーはPMDA(医薬品医療機器総合機構)を通じて承認申請を行い、品質・安全性・有効性などの審査を受けます。
承認を得ると、「家庭用心電計プログラム」などの区分で医療機器として登録され、販売や機能提供が可能になります。
AppleやHUAWEIなどがこの手続きを経て、日本国内での正式提供を実現しました。
この制度によって、ユーザーが安心して使える製品が少しずつ増えてきたのです。
「認可された=医療機器」でも万能ではない理由
認可を受けていても、スマートウォッチの心電図はあくまで家庭用。
医療機関の12誘導心電図のような精密さはありません。
スマートウォッチで取得できるのは、基本的に1リード分の波形。
それでも、不整脈や心房細動の兆候を捉えるには十分とされており、セルフチェックには有用です。
ただし、結果を自己判断するのは危険です。
異常が続く、違和感を感じるといった場合は、必ず医療機関を受診するようにしましょう。
なぜ今、対応機種が増えているのか
ここ数年で、心電図機能付きスマートウォッチが急速に増えています。
背景にはいくつかの要因があります。
まず、法制度の整備。
以前は医療機器としての基準が明確でなく、承認までに時間がかかっていましたが、今はスムーズに申請できる環境が整いました。
次に、技術の進化。
センサーの高精度化とAI解析技術の向上により、家庭用でも安定した測定が可能になっています。
そして、健康志向の高まり。
高齢化やリモート医療の普及により、「自分の体を見える化したい」というニーズが一気に拡大しました。
その結果、Appleの独走状態だった市場にGoogleやHUAWEI、Garminが参入し、選択肢が一気に広がっています。
心電図機能を選ぶときのポイント
もしこれから心電図対応スマートウォッチを選ぶなら、以下の3点を意識しましょう。
- 医療機器認可の有無を確認する
製品ページや公式サイトに「医療機器認証番号」や「承認番号」の記載があるかをチェック。 - 連携アプリの信頼性
心電図アプリがどのようにデータを記録・共有できるかを確認。
医療機関にデータを見せられる形式だとより安心。 - 健康全体のバランス
心電図だけでなく、心拍数・睡眠・血中酸素など総合的に測定できる機種が便利です。
健康モニタリングの一環として活用すると効果的です。
注意したい格安モデルの落とし穴
通販サイトでは「日本製センサー搭載」「ECG+PPG測定」などとアピールするスマートウォッチが数多く見られます。
ただし、多くは医療機器ではなく、あくまで「参考データ用」です。
これらの製品を健康状態の診断や医療判断に使うのは誤り。
正しい使い方は、生活習慣を見直すきっかけや、日々の体調変化をチェックする程度にとどめておくことです。
今後の展望とまとめ
2025年の今、日本で心電図機能付きスマートウォッチを選ぶなら、正式に認可を受けた製品を選ぶのが安心です。
現時点で主要メーカーの動向を整理すると、次のようになります。
- Apple:最も早く認可を取得。シリーズを重ねるごとに精度が向上。
- Google:Pixel Watchシリーズで日本正式対応。Androidユーザーに朗報。
- HUAWEI:血圧・心電図の両測定が可能なモデルを展開。
- Garmin:アスリート向けウォッチにECG機能が追加され、健康管理機能を強化。
こうしてみると、今後は「健康管理×ウェアラブル」の分野がますます進化していきそうです。
誰もがスマートウォッチで自分の心臓データを手軽にチェックできる時代が、すぐそこまで来ています。
日本で心電図機能付きスマートウォッチは認可されている?最新対応機種一覧【まとめ】
最後にもう一度、要点を振り返ります。
- 日本では、医療機器として認可を受けたスマートウォッチのみが心電図機能を正式に提供できる。
- Apple、Google、HUAWEI、Garminなどがすでに承認を取得済み。
- 「ECG対応」と書かれた未認可の格安モデルには注意が必要。
- 心電図機能は健康管理の補助に役立つが、診断は医師に相談を。
これから心電図機能付きスマートウォッチを選ぶなら、認可状況をしっかり確認して、自分の生活に合った一台を選びましょう。
心臓のリズムを「見る」ことが、健康を守る第一歩です。
