ゲーミングPCを組むとき、グラボやCPUにはこだわるのに「電源ユニット」は後回し……そんな人、意外と多いですよね。でも実は、電源こそPCの“心臓部”。性能や安定性、さらには寿命までも左右する超重要パーツなんです。
この記事では、ゲーミングPCの電源ユニット選びで失敗しないための基本とコツを、わかりやすくまとめます。
電源ユニットって何をしているの?
電源ユニット(PSU)は、家庭用のAC電源をPC内部で使えるDC電力に変換し、CPUやGPU、ストレージ、冷却ファンなどに安定した電力を供給します。
たとえるなら、PC全体に血を送る「心臓」です。心臓が不安定だと、どんなに高性能なパーツも本領発揮できません。
特にゲーミングPCは、ハイエンドGPUや高クロックCPUなど、電力を多く消費するパーツが詰まっています。そのため、電源が不足したり品質が低いと、突然の再起動や動作不安定、最悪の場合はパーツ損傷につながることもあります。
まずは「容量(ワット数)」を考えよう
一番最初に考えるべきは、電源ユニットの容量です。
「どのくらいのW(ワット)を選べばいいの?」と迷う方が多いですが、実は目安があります。
おおまかに言うと――
- ミドルクラス構成(RTX 4060/Core i5 など)なら:500〜650W
- ハイエンド構成(RTX 4080/Core i7 以上)なら:750〜850W
- 超ハイエンド構成(RTX 4090/Ryzen 9 など)なら:1000W前後
ただし、これはあくまで目安。実際には「実際の消費電力 × 1.2〜2倍の余裕」を持たせるのが理想です。
なぜなら、電源は50〜60%の負荷時が一番効率よく動くから。ギリギリの容量にすると、熱や騒音が増え、寿命も短くなります。
効率と品質を見分ける「80 PLUS認証」
電源ユニットの箱を見ると「80 PLUS Bronze」「Gold」「Platinum」などのマークを見たことがあるはず。
これは電源の変換効率を示す規格で、高いほどロス(熱)が少なく、安定して長持ちするという指標です。
ランクは以下の順で上がっていきます。
Standard → Bronze → Silver → Gold → Platinum → Titanium
ゲーミング用途なら、最低でもGoldクラスを選ぶのがおすすめです。効率が良いと電気代も下がり、ファンの回転も穏やかになって静音性もアップします。
「+12Vレール」をチェックしよう
少しマニアックに聞こえますが、+12VレールはGPUやCPUなど、電力を最も使う部分に関係しています。
電源ユニットの仕様書に「+12V 〇A」や「+12V出力 〇W」と書かれていますが、ここがしっかりしている製品を選ぶことが大切です。
この数値が低いと、ハイエンドGPUを動かしたときに不安定になりやすいです。
信頼できるメーカーの製品なら、この点も十分な設計がされています。
ケーブルの種類と構成も重要
最近のゲーミングPCでは、電源ケーブルの“見た目”も重要視されています。
スッキリと配線したいなら「フルモジュラー式」を選びましょう。必要なケーブルだけを差し込めるので、ケース内のエアフローも良くなります。
また、最新のGPUでは「12VHPWR(16ピン)」という新しい電源コネクタが主流になっています。RTX 4080・RTX 4090などを使う場合は、対応電源かどうか必ず確認しましょう。
古い電源でも変換アダプタで接続できますが、発熱リスクや断線の懸念もあるため、できればネイティブ対応電源がおすすめです。
静音性と冷却性能にも注目
高負荷で長時間ゲームをプレイすると、電源ユニットも熱を持ちます。
その熱を逃がすためにファンが回るのですが、ここで注目したいのが「静音設計」と「ファン制御モード」。
最近では、低負荷時にファンを止める“セミファンレスモード”を搭載したモデルもあります。
静かな環境で配信や作業をする人にぴったりです。
また、大口径ファン(120mm〜135mm)を採用している電源は、少ない回転数で冷却できるため静かで効率的です。
信頼できるメーカーを選ぶ理由
電源ユニットは「安物買いの銭失い」が本当に起きるパーツです。
価格だけで選ぶと、内部部品の品質が低かったり、保護回路が省かれていたりします。
おすすめは、信頼性の高いブランドを選ぶこと。たとえば――
これらのメーカーは内部コンデンサの品質管理や保護回路(過電流・過電圧・短絡保護など)がしっかりしており、長期保証(5〜10年)が付いているモデルも多いです。
ケースとの相性・サイズも忘れずに
電源ユニットにはサイズ規格があります。
一般的なのは「ATX」、小型ケース用には「SFX」や「SFX-L」などがあります。
高出力モデルは奥行きが200mm近いものもあり、ケースに収まらないことも。
特にケーブル取り回しやエアフローを考えると、ケースの奥行きに20〜30mmの余裕があるとベストです。
将来のアップグレードを見越す設計
今はミドルクラス構成でも、将来的にGPUやCPUをアップグレードする予定があるなら、最初から余裕ある電源を選びましょう。
たとえば、今は650Wでも動く構成でも、数年後にハイエンドGPUを積むと850Wクラスが必要になるかもしれません。
また、ストレージや冷却パーツを増やしたときに電源が足りなくなることもあります。
最初に少し多めの容量を選んでおくと、後々買い替えなくて済むのでコスパも良いです。
避けたい失敗パターン
ゲーミングPCの電源選びでよくある失敗をいくつか紹介します。
- 容量ギリギリで選ぶ → 高負荷時に再起動やブルスクが起きる
- 安価なノーブランド製品 → 劣化が早く、最悪火花や異臭などのトラブルも
- コネクタ不足 → 新しいGPUが接続できない
- サイズ確認ミス → ケースに収まらず、泣く泣く交換
- 効率の低いモデル → 発熱・騒音・電気代が増える
どれもありがちな失敗ですが、事前に知っていれば防げます。
まとめ:電源ユニットは“性能と安心の土台”をつくる
ゲーミングPCを長く安定して使うためには、電源ユニット選びが欠かせません。
容量に余裕を持ち、効率が良く、信頼できるメーカーの製品を選ぶ。
それだけで、トラブルを減らし、静かで快適なゲーム環境が手に入ります。
最後にもう一度。
ゲーミングPC用電源ユニットの選び方完全ガイド!失敗しない電力設計のコツ――
あなたのPCが最高のパフォーマンスを発揮するための、最初で最大のポイントは「良い電源を選ぶこと」。
心臓が強ければ、どんなゲームでも安心して戦えます。
