雷の季節になると、ふと不安になるのが「もし落雷したら、ゲーミングPCは大丈夫なのか？」ということ。高性能なパーツを詰め込んだ愛機が一瞬で沈黙したら、ダメージは金銭的にも精神的にも計り知れません。この記事では、ゲーミングPCを守るために知っておくべき雷対策を、わかりやすく解説します。
雷がゲーミングPCに与えるダメージとは？
まず押さえておきたいのは、「雷が直接PCに落ちる」わけではないという点。実際の被害は、雷が建物や電線に落ちた時に発生する「雷サージ（過電圧）」が原因です。このサージが電源ケーブルやLANケーブルを通ってPC内部に侵入し、電源ユニットやマザーボード、グラフィックボードを焼いてしまうのです。
症状はさまざま。突然電源が入らなくなったり、マザーボードが焦げ臭くなったり、SSD内のデータが消えることも。中でもゲーミングPCは高電力を使うため、被害を受けやすい環境にあります。
なぜゲーミングPCこそ雷対策が必要なのか
理由はシンプルで、「高価で壊れやすい機材が多いから」です。
ゲーミングPCはグラフィックボード、CPU、電源ユニット、モニターなど、ひとつひとつが高額です。さらに配信機器やサウンドボードなど、接続機器の数も多い。そのぶん雷サージの侵入経路が増え、リスクが高まります。
また、雷は夏場だけではなく、秋口や冬の乾燥期にも発生します。急な停電や瞬間的な電圧変動が起きた際、稼働中のPCは特にダメージを受けやすいです。
つまり、ゲーミングPCにとって雷対策は“季節限定の問題”ではなく、“通年で考えるべき安全対策”なのです。
一番確実な雷対策：コンセントを抜く
結論から言えば、雷対策の中で最も効果的なのは「コンセントを抜く」ことです。
電気の流れを物理的に断ち切れば、どんなに強いサージもPCには届きません。雷が鳴り始めたら、PCをシャットダウンし、壁のコンセントから電源ケーブルを抜く。LANケーブルやモニター、外付けストレージなども同様に外すのが理想です。
シンプルですが、これ以上に確実な方法はありません。雷雲が近づいたら“即抜く”を習慣にしておくと安心です。
電源タップの「雷ガード」はどこまで信じていい？
「雷ガード付き電源タップを使ってるから安心」という人も多いでしょう。
確かに、サージ吸収素子（MOV）が内蔵されたタップは、軽度の雷サージを吸収し、機器へのダメージを軽減してくれます。しかし、万能ではありません。直撃雷クラスのエネルギーを受けた場合、サージ素子が焼き切れ、保護機能を失うこともあります。
選ぶ際は次の点に注目しましょう。
- ジュール値（J）：サージ吸収容量。2000J以上が理想。
- アース付きプラグ：サージを地面に逃がす経路を確保。
- 表示ランプ付き：保護機能の有無を目で確認できる。
そして重要なのは、サージタップにも寿命があるということ。数年に一度は買い替えるつもりで、定期点検を習慣にしましょう。
無停電電源装置（UPS）でデータを守る
雷サージ対策だけでなく、停電時のデータ保護にも役立つのが無停電電源装置（UPS）です。
停電や電圧の低下を検知すると、自動的にバッテリーから電力を供給してくれるため、数分間の猶予が生まれます。その間に安全にシャットダウンすれば、データの破損やOSエラーを防げます。
無停電電源装置（UPS）の中には、雷サージ吸収機能付きのモデルもあります。価格は1万円台からとやや高価ですが、データやPCを失うリスクを考えれば十分に投資価値があります。
分電盤レベルの「SPD（サージプロテクタデバイス）」で家ごと守る
より本格的な雷対策としておすすめなのが、「SPD（サージプロテクタデバイス）」の設置です。
これは住宅の分電盤に取り付けるタイプの雷保護装置で、建物全体の電気回路を守ります。サージが侵入した際、アースへ逃がす仕組みになっており、PCだけでなく家電全体を保護できます。
設置には電気工事が必要で、費用は6万円前後。ただし、ゲーミング環境に限らず、家庭内のテレビやルーター、冷蔵庫などの被害も防げるため、長期的に見ればコスパの良い対策です。
LANケーブル・通信機器からの侵入にも注意
意外と見落とされがちなのが、LANケーブルや通信機器を通じた雷サージ。
モデムやルーター、スイッチングハブなどの通信機器も雷の経路になりやすく、そこからPCに逆流するケースがあります。対策としては、LAN用のサージプロテクターを導入するのがおすすめです。
もしくは、雷の時だけLANケーブルを抜くというのも効果的です。
また、Wi-Fiを利用している場合は、有線接続より安全度が高いものの、ルーター自体が被害を受けるリスクはゼロではありません。雷鳴が近づいたら、電源を切ってプラグを抜くことが理想です。
アース（接地）の確認も忘れずに
「アース付きコンセント」を使っていますか？
アースがあることで、万が一サージが流れ込んでも電気を地中に逃がすことができます。
古い住宅やアパートではアースが未設置の場合も多いので、一度確認してみましょう。
アース端子がなければ、電気工事士に依頼して増設することも可能です。
雷からデータを守る日常習慣
どんなに対策をしても、自然現象を完全に防ぐことはできません。だからこそ「被害が起きても復旧できる準備」をしておくことが重要です。
- 外付けHDD・SSDやクラウドに定期的なバックアップを取る
- 雷雨の予報が出たらゲームや配信を控える
- 雷の音が聞こえたら即シャットダウン→電源を抜く
- 雷後は焦げ臭や異音がないかPCの状態をチェック
これだけでも被害を大幅に減らせます。特に配信者やクリエイターは、データ消失のダメージが大きいため、バックアップ体制の強化は必須です。
よくある誤解と落とし穴
- 「避雷針があるから安心」 → 避雷針は建物を守りますが、室内機器までは保護しません。
- 「雷ガード付きだから完全防御」 → 軽度のサージには有効でも、直撃級のエネルギーには限界があります。
- 「雷が鳴っていない時は大丈夫」 → 雷サージは遠くの落雷でも発生するため、油断は禁物。
- 「安い電源タップで十分」 → 安価な製品はサージ耐量が低く、保護機能が不十分なこともあります。
こうした誤解を正し、複数の対策を組み合わせることが重要です。
ゲーミングPCの雷対策は「重ねがけ」が正解
最後にもう一度まとめましょう。
ゲーミングPCを雷から守るには、単一の対策では不十分です。
効果的なのは、複数の防御を“層”として組み合わせることです。
- 雷雲が近づいたらコンセント・LANケーブルを抜く
- 雷ガード付き電源タップを導入する
- 無停電電源装置（UPS）でデータを守る
- 家全体にはSPD（サージプロテクタデバイス）を設置
- 定期的にアース・タップ・ケーブルを点検する
そして何より、「備えは平常時にこそ整える」こと。雷が鳴ってからでは遅いのです。
今日からできる対策を少しずつ始めて、大切なゲーミングPCを安全に守りましょう。
ゲーミングPCの雷対策はこれで決まり！安全対策を徹底解説
雷サージは見えない敵ですが、正しい知識と準備があれば恐れる必要はありません。
サージプロテクターや無停電電源装置（UPS）、アース環境の整備など、できることから一歩ずつ。
ゲーミングPCの雷対策を万全にして、安心してプレイや配信を楽しみましょう。
