「ゲーミングPCの配線、延長コードは何でもいいの?」
——そんな疑問を持つ人、意外と多いですよね。見た目のスマートさや距離の都合で選んでしまいがちな延長コードですが、実はゲーミング環境では選び方ひとつで“パフォーマンス”と“安全性”が大きく変わります。
この記事では、延長コード選びの基本から安全な使い方まで、ゲーミングPCユーザーが知っておくべきポイントをわかりやすく解説します。
高性能ゲーミングPCこそ、延長コード選びが重要な理由
ゲーミングPCは一般的なノートPCや事務用デスクトップと比べて、圧倒的に消費電力が大きいです。
高性能GPU・CPUを搭載し、モニタも複数台、冷却ファンやLED照明、外付けオーディオなどが加われば、1系統で1,000Wを超えることも珍しくありません。
このような高負荷環境では、延長コードや電源タップに以下のリスクが生まれます。
- 過負荷による発熱・絶縁劣化
- 電圧降下によるPCの動作不安定
- アース不良やサージ(雷)による故障リスク
つまり、「ただ電源を取るだけ」の役割に見えても、延長コードは電源品質を左右する大切な要素。
安全性と安定動作を両立させるには、仕様・素材・構造の理解が欠かせません。
延長コードを選ぶときに絶対に確認すべきポイント
定格電流と定格電力をチェック
延長コードや電源タップには「定格15A/1,500W」などの表記があります。
この定格値を超えると内部が過熱し、最悪の場合、火災の原因になります。
たとえば、
- ゲーミングPC本体:約700〜1000W
- モニタ2枚:約150〜200W
- 周辺機器や照明:約100W前後
これらを合わせると合計1,200Wを超えることもあり、一般的な安価タップでは限界ギリギリ。
余裕をもって定格15A(1,500W)クラスのモデルを選びましょう。
コードの太さと長さを意識する
延長コードは「太く・短く」が基本です。
細いコードや長い延長は、抵抗が増えて電圧が下がりやすく、発熱の原因にもなります。
目安としては、
- コード長はできるだけ短く(3m以内)
- 導線の太さは1.25mm²以上(または14ゲージ以上)
長距離配線が必要な場合は、太線仕様の高耐久タイプを選ぶと安心です。
アース付き(3極プラグ)を選ぶ理由
アース付きプラグは、漏電時に電気を逃がすことで感電を防ぎ、同時にノイズ対策にも効果があります。
特にグラフィックボードやオーディオ機器を使用する場合は、ノイズ低減や静電気対策としてアース付きがおすすめです。
もし自宅の壁コンセントが2極タイプなら、アース付き延長タップを導入して、壁の接地端子へ接続するのが理想です。
サージ保護機能は必須クラス
雷や停電、電力会社の送電切り替えなどで発生する瞬間的な高電圧——これが「サージ電圧」です。
ゲーミングPCは精密機器の集合体。サージによってマザーボードや電源ユニットが一瞬で破損することもあります。
そのため、サージ保護機能付きタップは必須といえます。
さらに、過負荷遮断ブレーカー付きなら、定格超過時に自動で電源が切れるので安全性がより高まります。
安全規格マーク(PSE)を確認
日本で販売される電気用品には「PSEマーク」が義務付けられています。
これは、国が定める安全基準を満たしている証。
安価な輸入品やノーブランド製品には未取得のものもあるため、購入時には必ずPSEマークの有無を確認しましょう。
ゲーミング環境に合わせた延長コードの選び方
1. 機器構成を洗い出す
まず、自分の環境をざっと書き出しましょう。
「PC本体・モニタ2枚・スピーカー・LEDライト・充電器…」といった具合に、接続予定機器を一覧化します。
これにより、必要な差込口数や定格容量を具体的に把握できます。
2. 配線経路をイメージする
机の下・壁際・モニタ裏など、コードを通す経路を考えます。
曲げやすいタイプを選ぶか、太線で頑丈なタイプにするかはここで判断。
また、椅子のキャスターや足元を通さないよう、ケーブルカバーやケーブルトレーの使用も検討しましょう。
3. 将来の拡張も見越す
ゲーミング環境は進化します。
モニタを増やしたり、外部ストレージを追加したり——。
現状ピッタリではなく、1〜2口余裕のあるタップを選んでおくと後悔しません。
延長コードを安全に使うための注意点
タップの多重接続はNG
「延長コードに電源タップをつなぐ」「タップをタップで延ばす」
——これは絶対に避けましょう。
いわゆる“デイジーチェーン接続”は、発熱や電圧降下、最悪の場合の火災につながります。
どうしても延長が必要な場合は、1本で必要な長さのものを選ぶのが鉄則です。
カーペットや家具の下を通さない
見た目をすっきりさせようとしてコードを隠すのは危険です。
通気性が悪くなり、熱がこもって被覆が劣化する原因になります。
延長コードは見える位置・風通しの良い位置に設置しましょう。
定期的な点検を忘れずに
長期間使っていると、コードの曲げ癖や接触不良が起きやすくなります。
特に次のサインが出たら交換を検討してください。
- コードが熱い・柔らかくなっている
- プラグが焦げている・変色している
- 差し込みがゆるい
タップや延長コードにも寿命があります。目安は3〜5年、使用頻度が高ければさらに短くなる場合もあります。
壁コンセントに直結するのも選択肢
ゲーミングPC本体の電源だけは、延長コードを使わず壁のコンセントに直結する方法も有効です。
これにより電圧降下を防ぎ、電源ユニット(PSU)への負荷を軽減できます。
周辺機器のみをタップに接続し、電力ラインを分散させるのもおすすめです。
日本の電源事情と安全基準を理解しておこう
日本の家庭用電圧は100Vで、地域によって50Hz/60Hzと周波数が異なります。
海外向けのPCや電源タップをそのまま使うと、定格電圧やプラグ形状の違いでトラブルを起こすことがあります。
また、**電気用品安全法(PSEマーク)**に適合していない延長コードを使用すると、感電や火災だけでなく法的にも問題が生じる可能性があります。
日本国内で使用する際は、必ず国内認証製品を選ぶようにしましょう。
よくあるトラブルと対処法
延長コードが熱くなる
→ 定格超過か、コードが細い・束ねて使用している可能性あり。
使用を中止し、より太線・短尺のコードに交換しましょう。
PCが急に再起動する
→ 電圧降下や接触不良、アース不良が原因のことも。
壁直結またはサージ保護付きタップに変更を検討。
差込口が足りなくなる
→ 後からタップを追加せず、最初から余裕あるモデルを選ぶ。
「8口+USBポート付き」などの多機能モデルが便利です。
安心して使うための小さな工夫
- タップ位置を目線より下・ホコリが溜まりにくい場所へ
- ケーブルを束ねる際はマジックテープバンドを使用
- 掃除機をかけるときに誤って抜かないようケーブルルートを固定
- ゲーム配信や長時間稼働時はコードの温度をときどき触って確認
これらを意識するだけで、事故のリスクは大幅に下がります。
ゲーミングPCに最適な延長コードの選び方と安全な使い方まとめ
最後にもう一度、ポイントを整理します。
- 定格15A(1,500W)以上・太線仕様を選ぶ
- アース付き・PSEマーク付きで安全性を確保
- サージ保護・過負荷遮断機能付きが理想
- 短く・太く・通気の良い場所で使う
- デイジーチェーン禁止・定期点検を習慣化
延長コードは「電源を伸ばすだけ」のシンプルな道具に見えて、実はゲーミングPC環境の“安定と安全”を支える縁の下の力持ち。
信頼できる製品を選び、正しい使い方を心がけることで、あなたのPCライフはもっと安心で快適になります。
