「ゲーミングPCのメモリって、結局なんなの?」──そう感じたことはありませんか。CPUやグラボの話はよく聞くけれど、「メモリが大事」と言われてもピンと来ない。
でも実は、メモリはゲームの快適さを左右する“縁の下の力持ち”なんです。この記事では、メモリの役割から選び方まで、初心者にも分かりやすく解説します。
メモリ(RAM)とは?簡単に言うと「作業台」
PCの「メモリ」とは、正確にはRAM(ランダムアクセスメモリ)と呼ばれるパーツのこと。
CPUが今まさに使うデータを一時的に置いておく場所で、電源を切ると中身は消えます。
イメージするとわかりやすいのが「作業台」です。
作業台が広ければたくさんの資料を広げて効率よく作業ができますが、狭いと片付けながら進める必要があり、時間がかかります。
ゲームの場合も同じで、メモリが足りないと必要なデータを頻繁にストレージ(SSDやHDD)から読み込むことになり、ロードが遅くなったりカクついたりします。
ゲーム性能にどんな影響があるの?
1. ロード時間と快適さ
ゲームを起動したり、マップを読み込んだりする時、メモリが十分にあるとデータを一気に読み込んでサクサク動作します。
逆に容量が少ないと、都度ストレージから呼び出すため「ロード画面が長い」「急にカクつく」といった現象が起こります。
最近の3Dゲームはテクスチャや効果音など膨大なデータを扱うため、メモリ容量の余裕が快適さに直結します。
2. フレームレート(FPS)への影響
「メモリでFPSは上がるの?」という質問はよくあります。
結論から言うと、“足りていない場合”は大きく改善することがあります。
メモリ不足が原因でCPUやGPUがデータ待ちになると、フレームレートが不安定になります。
しかし、すでに十分な容量があれば速度の向上幅は限定的。大きなFPS改善はCPUやGPUの性能次第というケースがほとんどです。
3. マルチタスク環境での安定性
配信をしながらゲームをしたり、Discordやブラウザを開いたり──そんな環境ではメモリ使用量が一気に増えます。
16GBだとギリギリ、32GBあれば余裕を持って同時作業ができます。
「ゲームが重くなった」「音声が途切れる」といった不安定さは、メモリが圧迫されているサインかもしれません。
ゲーミングPCに必要なメモリ容量の目安
メモリは「どれくらい必要なの?」と迷うポイント。用途別に目安を紹介します。
- 8GB:軽いオンラインゲームや古めのタイトル向け。最新ゲームには厳しい。
- 16GB:現在の標準。ほとんどのゲームを快適に動かせる。
- 32GB:高画質設定・配信や録画も同時にしたい人に最適。将来性もあり。
- 64GB以上:ゲーム以外に動画編集や3D制作などを行う人向け。
2025年時点では、16GBが“最低ライン”、32GBが“理想ライン”と言えます。
今後のタイトルはより高精細になるため、余裕を持って選ぶのが賢い判断です。
メモリの「速さ」も大事?クロックとレイテンシ
メモリには「容量」だけでなく「速度」もあります。
たとえば「DDR5-6000MHz」のような表記を見たことがあるかもしれません。
- MHz(メガヘルツ):1秒あたりのデータ転送回数。数値が大きいほど速い。
- レイテンシ(CL値):データを呼び出すまでの待ち時間。小さいほど速い。
高速メモリを使えば、CPUやGPUがデータを待たずに処理できるため、動作のキビキビ感が増すこともあります。
とはいえ、劇的にFPSが上がるわけではありません。容量が十分あるうえで「ワンテンポ速くしたい」ときに意識すべき要素です。
メモリの種類と規格:DDR4とDDR5の違い
現在主流なのが「DDR4」と「DDR5」という2種類の規格。
DDR5は新世代規格で、転送速度が速く、将来的にも主流になります。
ただし、マザーボードとCPUが対応していないと使えません。
「とりあえず新しいほうがいい」と思っても、互換性を必ず確認しましょう。
対応していない環境でDDR5を挿しても動作しないので注意です。
デュアルチャネル構成で性能を引き出す
メモリは1枚より2枚挿し(デュアルチャネル)の方が性能を発揮します。
2本で同時にデータをやり取りできるため、帯域が広がり処理がスムーズになるからです。
たとえば16GBを1枚よりも、8GB×2枚の構成のほうが効率的。
購入時は「2枚セット(キット)」を選ぶと間違いがありません。
また、BIOS設定で「XMP(Intel)」や「EXPO(AMD)」を有効にすることで、メモリが本来の速度で動作する場合があります。
初期状態では性能を活かせていないこともあるので、設定をチェックしてみましょう。
メモリ不足のサインと改善方法
ゲーム中に以下のような症状が出ているなら、メモリが足りていないかもしれません。
- ロード時間が異常に長い
- 途中でカクつく・止まる
- 他のアプリを開くと動作が不安定になる
- メモリ使用率が常に90%以上
解決方法はシンプルです。
まずは不要なアプリを閉じる。
それでも改善しなければ、メモリを増設する。
増設の際は、既存メモリと同じ規格・速度のものを選びましょう。
異なるものを混在させると、遅い方に合わせて動作するか、最悪の場合認識されないこともあります。
将来を見据えたメモリ選び
今のゲームだけでなく、2〜3年先のタイトルも視野に入れると安心です。
AAA級ゲームやVRタイトルでは、より大容量・高速なメモリが求められる傾向にあります。
「今は16GBで十分でも、将来重くなるかも」
そんな不安があるなら、最初から32GBを選んでおくのがおすすめです。
あとから増設するより、最初から揃えた方が安定性も高く、コスパも良いです。
まとめ:ゲーミングPCのメモリとは?性能を支える縁の下の力持ち
ゲーミングPCのメモリとは、ゲーム中のデータを素早く扱うための作業領域。
容量が足りないとカクつきやロードの遅さにつながり、速度が遅いとCPUやGPUの性能を引き出せません。
ポイントを整理すると——
- メモリは「作業台」。広くて速いほど快適。
- 16GBが標準、32GBが理想。
- DDR5時代に突入しつつあるが、互換性は要確認。
- デュアルチャネル構成で性能を最大化。
- XMP/EXPO設定で本来の速度を活かす。
- メモリ不足はカクつきや不安定さの原因になる。
ゲームを楽しむ上で、メモリは派手さこそないものの欠かせない存在。
PCを組むときもアップグレードするときも、「メモリをどうするか」を意識するだけで、ゲーム体験は確実に変わります。
