ゲーミングPCを選ぶときに、必ず迷うのが「メモリは16GBで足りるのか、それとも32GBにすべきか」という問題。
最近のゲームは年々要求スペックが上がっており、配信や録画をしながらプレイする人も増えています。
では、実際どちらが“最適”なのか。この記事では、用途別にわかりやすく比較していきます。
メモリ（RAM）ってそもそも何をしているの？
PCにおけるメモリは、いわば「作業机の広さ」です。
CPUが作業をするためのデータを一時的に置いておく場所であり、この机が狭いと、頻繁にデータを入れ替える必要が出て処理が遅くなります。
ゲームを起動すると、マップやキャラクター、テクスチャなど膨大な情報がメモリ上に読み込まれます。
メモリが少ないとこれらが入りきらず、ディスクを使って一時的にデータを出し入れする「スワップ」が発生。結果として、カクつきやスタッター（動作の引っかかり）が起こるのです。
つまり、メモリ容量は「ゲームの滑らかさ」に直結する要素といえます。
16GBのゲーミングPCは今でも通用する？
結論から言うと、多くのタイトルではまだ16GBで十分動作します。
特にフルHD（1080p）やWQHD（1440p）解像度でプレイする場合、16GBで大半のゲームを快適に楽しめます。
CPUやGPUの性能がしっかりしていれば、FPSやロード時間にも大きな支障はありません。
例えば『Apex Legends』『VALORANT』『フォートナイト』などの人気タイトルでは、16GBで問題なく動作します。
また、エントリークラスのゲーミングPCでは、コストを抑える意味でも16GB構成が一般的です。
ただし注意したいのは、「限界まで使い切っている」ケースが多いという点。
最近のAAAタイトルでは、16GB中15GB以上を使用することもあり、バックグラウンドで他のアプリを立ち上げると動作が不安定になることがあります。
ブラウザのタブを複数開いたり、チャットアプリを同時に使うだけでも、余裕は一気に減っていきます。
32GBのゲーミングPCはどんな人に向いている？
32GBを選ぶメリットは、「余裕」です。
単純にゲームを快適にするだけでなく、マルチタスクをこなす余力をもたらします。
たとえば以下のような使い方をする人には、32GBがおすすめです。
- ゲームを配信・録画しながらプレイする
- DiscordやOBS、ブラウザを同時に開く
- 4K解像度やウルトラ設定で遊ぶ
- MODを多数導入してプレイする
- 動画編集や3Dモデリングなども行う
こうした使い方では、16GBだとすぐにメモリが上限に達し、カクつきや遅延が出やすくなります。
一方、32GBなら余裕があるため、他のアプリを起動してもパフォーマンスが安定。ストレスなくプレイできます。
また、将来的なアップグレードを考えても32GBは有利です。
近年はゲームエンジンの大型化が進み、推奨メモリが16GBを超えるタイトルも増えています。
今後数年は32GBが“新しい標準”になる可能性が高いでしょう。
メモリ容量だけでなく速度や構成も大切
容量が大きければそれで良い、というわけではありません。
メモリの性能は「クロック（動作周波数）」や「レイテンシ（遅延時間）」でも変わります。
同じ32GBでも、速度が遅いメモリでは性能を活かしきれない場合があります。
特に、最近のCPUはメモリ速度の影響を受けやすいため、DDR4よりもDDR5を選ぶことで体感的に速くなることもあります。
また、「デュアルチャネル構成（2枚組）」にすることで帯域が広がり、シングル構成よりも処理がスムーズになります。
もし将来的に増設を考えるなら、マザーボードのスロット数や対応メモリ規格も確認しておきましょう。
用途別：16GBが最適な人・32GBが最適な人
ここでは、実際の使用スタイルごとに、どちらのメモリ容量が合うのかを整理してみましょう。
■ 16GBで十分なケース
- ゲームだけをプレイ（配信や録画はしない）
- 解像度は1080p〜1440p程度
- 軽量・中量級のタイトル中心
- コストを重視し、まずは入門用PCが欲しい
このような場合は、16GBでも快適に動作します。
特にGPUやCPUにしっかり投資したいなら、まずは16GB構成でバランスを取るのもアリです。
後からメモリを増設できる構成にしておくと、将来的なアップグレードも容易になります。
■ 32GBをおすすめするケース
- 配信・録画・編集を同時に行う
- 4Kやウルトラ設定でプレイする
- オープンワールド系・高負荷タイトルをよく遊ぶ
- 複数アプリを並行して起動する
- 数年先も快適に使いたい
こうした使い方では、32GBを選ぶことで安定性が大きく向上します。
実際、「Hogwarts Legacy」など一部のタイトルでは、16GB構成だと動作がカクつく報告もあり、32GBにすることで解消された例もあります。
FPSは変わる？体感の違いは？
多くの検証結果を見る限り、16GBから32GBに増やしてもFPS（フレームレート）が劇的に上がるわけではありません。
フレームレートを左右するのは主にGPUやCPUであり、メモリはその補助的な役割を果たしています。
しかし、32GBのメリットは「安定感」にあります。
メモリ不足による一時的な読み込み遅延やスタッターを防ぎ、プレイ全体を滑らかにします。
FPS値が同じでも、実際に操作してみると“引っかかりがない”と感じるのはこのためです。
つまり、「数字よりも体感的な快適さ」を求める人には32GBが有効です。
16GBと32GB、どちらを選ぶべきか？
最後に、判断基準を整理します。
- 予算重視・シンプルプレイ派 → 16GBで十分。
- 配信や編集など複合用途派 → 32GBを推奨。
- 将来を見据えたい・長く使いたい派 → 32GBが安心。
- PC構成を自分で組める人 → とりあえず16GB→後から増設でもOK。
もし迷うなら、「今の使い方」ではなく「これからどう使いたいか」で決めましょう。
最近はメモリ価格も下がっており、32GBを選ぶハードルは以前よりずっと低くなっています。
少しの追加投資で数年先まで快適に遊べるなら、コスパ的にも悪くありません。
ゲーミングPCのメモリは16GBと32GBどっちが最適？最後にまとめ
ゲーミングPCのメモリ選びは、「いま」だけでなく「これから」を見据えるのがポイントです。
16GBでもまだ十分戦えますが、マルチタスクや高負荷環境を考えると32GBが主流になりつつあります。
迷ったら、まずは自分のプレイスタイルを見直してみましょう。
ゲームだけを楽しむのか、それとも配信や動画編集もやるのか。
その答えが、あなたにとっての“最適なメモリ容量”を教えてくれます。
快適なゲーム体験を長く続けたいなら、余裕をもったメモリ構成が結果的に賢い選択です。
