ゲーミングPCを組むとき、パーツ選びやRGBライティングにはこだわるのに、ケーブル配線はつい後回しにしてしまう――そんな人、意外と多いのではないでしょうか。
でも実は、ケーブルの通し方ひとつでPCの「冷却性能」や「静音性」、そして「見た目の完成度」まで変わってくるんです。
この記事では、誰でも今日から実践できるケーブル配線の基本と、スッキリした見た目とエアフロー改善を両立するコツを、初心者にもわかりやすく解説します。
ケーブル配線が大切な理由
まず最初に、「なぜケーブル整理をするのか?」を押さえておきましょう。
理由は大きく3つあります。
1. 冷却効率を上げる
ケースの中でケーブルがごちゃごちゃしていると、ファンが吸い込む空気の流れ(エアフロー)が乱れます。
熱い空気がこもりやすくなり、CPUやGPUの温度が上がりやすくなるんです。
逆に、ケーブルを整えて空気の通り道を作ってあげると、温度は数度下がることもあります。
冷却性能が上がれば、パーツの寿命や安定性にも良い影響があります。
2. 見た目が圧倒的に美しくなる
透明なサイドパネルのPCケースを使っている人ならなおさら、ケーブル配線の仕上がりは印象を大きく左右します。
無造作に伸びたケーブルよりも、整然と束ねられたケーブルの方が、まるでプロが組んだように見えます。
RGBライティングもケーブルに邪魔されず、パーツの光が際立ちます。
3. メンテナンスがしやすくなる
掃除やパーツ交換のたびにケーブルの山をかき分けるのは大変ですよね。
配線を整理しておけば、どのケーブルがどこにつながっているのか一目でわかるので、後からの作業も楽になります。
ケーブル整理の前に知っておきたい準備と考え方
配線は「後で直せばいい」ではなく、組み立て前の計画が大切です。
ここでは、準備段階で意識しておきたいポイントを紹介します。
ケースの構造を理解する
最近のPCケースは、背面配線やケーブルを隠せるスペースが確保されています。
グロメット(ケーブルを通すゴム穴)やタイラップを通せるポイントを確認しておきましょう。
電源ユニットが見えないように覆う“PSUシュラウド”があるケースなら、余ったケーブルを隠すのにも便利です。
ケーブルの種類を整理する
ケーブルの種類と行き先を把握しておくと、配線時に迷いません。
主に以下のようなケーブルがあります。
- マザーボード電源(24ピン)
- CPU補助電源(8ピン)
- GPU電源(6ピンまたは8ピン)
- ストレージ用SATA電源・データケーブル
- フロントパネル・USB・オーディオケーブル
- ファンやRGBコントローラーのケーブル
一度すべてのパーツを並べ、どのルートで通すかをイメージしておきましょう。
モジュラー電源ユニットを選ぶと楽になる
使わないケーブルを取り外せる「フルモジュラー」または「セミモジュラー」電源ユニットを選ぶと、配線が格段に楽になります。
不要なケーブルがケース内に残らないので、見た目もエアフローもスッキリします。
実践!きれいに見せるケーブル配線テクニック
準備ができたら、いよいよ配線作業です。
「どう通すか」「どうまとめるか」で仕上がりは大きく変わります。
背面ルートをフル活用する
マザーボード裏にはケーブルを逃がすスペースがあります。
電源やSATAケーブル、フロントパネル用の細いケーブルなどは、なるべく裏から回して表に出す位置を最小限にしましょう。
見える部分が減るほど、全体の印象が締まります。
ケーブルを束ねて整理する
複数のケーブルはひとまとめにして動かないよう固定します。
タイラップ(結束バンド)でも良いですが、マジックテープ式のケーブルバンドを使うと、後から外しやすく再利用も可能です。
ケーブルをギュッと締めすぎると断線の原因になるので、少しゆとりを持たせるのがコツです。
余ったケーブルは隠す
長さが余るケーブルは、電源カバーの下や背面の隙間などにまとめて収納します。
小さな束を何か所かに分けて固定すると、後から調整しやすくなります。
見えない場所に押し込むよりも、風の通りを邪魔しない位置を選ぶことが重要です。
直線的なラインを意識する
ケーブルの流れが“すっきり直線的”だと、それだけで美しく見えます。
マザーボード24ピンやGPU補助電源のように目立つケーブルは、曲げを少なくして自然な弧を描くように整えましょう。
ケーブルスリーブや延長ケーブルを使えば、よりプロっぽい見栄えになります。
エアフローを妨げない配置の考え方
配線を整える目的のひとつが「冷却効率の確保」です。
そのためには、空気の流れをイメージしながら配置することが大切です。
- 吸気と排気のルートを塞がない
前面や底面から空気を吸い込み、背面や上部から排出する流れを意識しましょう。
ファンの前にケーブルが垂れ下がっていると、吸気が弱まり冷却性能が落ちます。 - GPUの下は特に注意
グラフィックカードの真下は熱がこもりやすい場所。
ケーブルを通す場合は、できるだけ壁際を這わせて、カードの排熱を妨げないようにします。 - 束ねたケーブルは風下に
余剰ケーブルの束をエアフローの通り道に置くと、熱が滞留します。
吸気口の裏や排気ファンの近くではなく、風が流れにくい背面や下部にまとめましょう。
外部ケーブルの整理でデスク周りもスッキリ
PCケースの中をきれいにしても、デスクの上がケーブルだらけでは台無しです。
モニター、キーボード、マウス、オーディオ機器など、外部ケーブルの整理も一緒に行いましょう。
- ケーブルクリップや配線ダクトを使う
デスク裏や脚にケーブルを沿わせるだけで、足元がスッキリします。 - 電源タップを固定する
床に置きっぱなしだとほこりがたまりやすく掃除も面倒です。
両面テープでデスク裏に取り付けると、見た目も安全性も向上します。 - ケーブルを色や太さでまとめる
白・黒・グレーなどの共通色で統一すると、視覚的にも整って見えます。
よくある失敗と注意点
最後に、配線作業でやりがちな失敗を紹介します。
- 完璧を目指しすぎる
隙間に無理やり押し込んだり、タイラップで締めすぎると断線やコネクタ破損の原因になります。
多少のたるみや緩さは許容しましょう。 - 風の流れを意識しない
配線を優先しすぎて、ファンの前をケーブルが横切るケースはよくあります。
見た目よりもまずエアフローを優先してください。 - 掃除や交換を想定していない
ケーブルをガチガチに固定すると、後からパーツ交換が大変になります。
ベルクロタイプのストラップを使うなど、再調整しやすい方法を選びましょう。
ゲーミングPCのケーブル配線術!見た目スッキリでエアフローも改善 ― まとめ
ケーブル配線は、見た目だけでなくPCの性能や快適さにも関わる大切な作業です。
ポイントは次の3つ。
- 背面ルートと束ね方を工夫して、見える部分を最小限に。
- エアフローを意識して、空気の流れを邪魔しない。
- 将来的なメンテナンスを考えて、無理のない整理を心がける。
美しく整理されたゲーミングPCは、それだけで満足感が違います。
冷却も安定し、長く快適に使える――まさに一石二鳥です。
今日からあなたも、配線マスターを目指してみませんか?
