ゲーム中、PCのファンが全力で回りっぱなしだったり、CPU温度が90℃近くまで上がっていたりしませんか？
そんなとき、意外な救世主になるのが「グリス（サーマルペースト）」の塗り替えです。
冷却性能の根幹を支えるこの小さな存在を見直すだけで、PCの温度が数℃下がることも珍しくありません。
ここでは、ゲーミングPCのグリス塗り替えによる効果、タイミング、注意点、そしておすすめ製品までを一気に紹介します。
そもそもグリスって何？なぜ塗り替えが必要なの？
グリス（サーマルペースト）は、CPUとクーラーの間に塗る熱伝導材のこと。
CPUの表面は一見ツルツルですが、ミクロレベルで見ると微細な凹凸があります。
そこに空気が入り込むと熱が伝わりにくくなるため、グリスで隙間を埋めて「熱の橋渡し」をするわけです。
しかし、このグリスには寿命があります。
長年の使用で乾燥したり、熱膨張で劣化したりして、最初の性能を発揮できなくなるのです。
特に高負荷が続くゲーミングPCでは、グリスの劣化が早い傾向にあります。
つまり、冷却効率を取り戻すために「塗り替え」が必要になるというわけです。
グリス塗り替えで本当に温度は下がるの？
結論から言うと、「はい、確実に下がる可能性があります」。
もちろん劇的に10℃以上下がるわけではありませんが、一般的には3〜7℃ほどの温度低下が報告されています。
たとえば、数年放置していたPCに高性能グリスを塗り直した場合、
・アイドル時で2〜3℃
・高負荷時で5〜7℃
の改善が見られることが多いです。
このわずかな温度差が、ファンの騒音を抑えたり、サーマルスロットリング（熱による性能低下）を防いだりと、快適さに大きく影響します。
ゲーム配信や長時間プレイをする人ほど、恩恵を感じやすいでしょう。
交換のタイミングはいつ？
「今すぐ塗り替えるべき？」と迷う人も多いですが、次のような症状が出ていれば交換時期のサインです。
- ゲーム中のCPU温度が以前より5℃以上上がっている
- ファンが常に全開で回っている
- PCケース内の清掃をしても熱がこもる
- CPUクーラーを取り外した（再利用した）
- 使用から2年以上経過している
グリスは経年で固化し、熱伝導効率が落ちていきます。
「温度が上がってきた」と感じたら、まずグリスの状態を疑ってみるといいでしょう。
塗り替えの効果を最大化するコツ
塗り替えの効果は、実は「やり方」で大きく変わります。
単に塗るだけではなく、以下のポイントを押さえるのがコツです。
1. 古いグリスをしっかり除去する
アルコール（イソプロピルアルコール）と綿棒またはクロスを使い、CPUとクーラーの両面を丁寧に拭き取ります。
この工程をサボると、新しいグリスが均一に伸びず、逆に冷却性能が下がります。
2. 適量を塗る
よく「米粒1つ分」と言われますが、CPUサイズやグリスの粘度によって調整が必要です。
少なすぎると隙間が埋まらず、多すぎるとあふれて他の部品に付着する恐れも。
中央に少量を置き、クーラーの圧力で自然に広げるのが失敗しにくい方法です。
3. 均一に固定する
ヒートシンクの取り付けネジは、対角線上に少しずつ締めていきます。
偏った圧力をかけるとグリスの厚みにムラができ、接触が悪くなります。
グリス塗り替えで得られるメリット
塗り替えの手間はありますが、得られるメリットは意外と大きいです。
- 温度が下がる：3〜7℃の改善で安定動作
- ファンが静かになる：冷却が追いつくことで回転数が低下
- 性能維持につながる：熱によるクロック低下を防止
- パーツ寿命の延長：高温状態を避けることで長持ち
- オーバークロック耐性の向上：発熱余裕ができ、動作が安定
特にゲーミングPCでは、CPU・GPUの両方が高温になりやすいため、グリスの状態が快適さを左右します。
注意点：万能ではないことを理解する
グリスを塗り替えればすべて解決、というわけではありません。
温度が高い原因は、ケース内のエアフロー不足、ホコリの蓄積、ファンの劣化なども関係します。
また、グリス自体にも品質差があり、粗悪品を使うと逆効果になることも。
特に注意したいのは、「導電性のあるグリス」。
液体金属タイプは熱伝導率が非常に高いものの、塗布ミスで基板に触れるとショートの危険があります。
初心者は、非導電タイプ（セラミック系・カーボン系）を選ぶのが安全です。
ゲーミングPCにおすすめのグリス
ここからは、信頼性と実績のある人気グリスを紹介します。
どれもゲーミングPC用途に十分な性能を持つ定番モデルです。
Thermal Grizzly Kryonaut
オーバークロック界隈で定番の高性能グリス。
熱伝導率12.5W/mKと高く、ハイエンドCPUやGPUにも対応。
少し高価ですが、「とにかく冷やしたい」人に最適です。
Noctua NT-H2
扱いやすさと安定性で人気のモデル。
粘度がちょうどよく、初心者でもムラなく塗れます。
長期間性能が落ちにくい点も魅力。
Arctic MX-6
コスパ重視派におすすめ。
前モデルMX-4より改良され、伝導率・耐久性ともに向上。
容量が多く、複数回使えるのもメリット。
Thermalright TFX
粘度が高く、圧力に強い設計。
空冷・水冷どちらにも合い、コスパも良好。
国内ショップでも入手しやすい定番グリスです。
実際に塗り替えた後の変化
実際のユーザー体験をもとにすると、以下のような結果が多く報告されています。
- CPU温度が5℃前後下がった
- ファンの音が静かになった
- ゲーム中のフレームレートが安定した
- 夏場の熱暴走が起きにくくなった
「たった数℃」の差ですが、その効果は意外と大きい。
ファンの音が抑えられるだけでも、長時間プレイ時のストレスが減ります。
まとめ：グリス塗り替えは“地味だけど確実な冷却強化”
ゲーミングPCのグリス塗り替えで温度が激変する――これは誇張ではありません。
正しく塗り替えれば、確実に冷却性能が改善します。
もちろん、ケース内清掃やエアフローの最適化も大切ですが、グリスの劣化は見落としがちな盲点。
数千円の投資と1時間ほどの作業で、PCの快適性と寿命を取り戻せるなら、やってみる価値は十分あります。
最後にもう一度。
「ゲーミングPCのグリス塗り替えで温度が激変！効果とおすすめ製品」
冷却のカギは、意外と小さな一滴にあります。
