「ゲーミングPCって、何ワットくらい必要なんだろう?」
自作や購入を考えている人なら、誰もが一度は気になるポイントです。見た目や性能ばかり気にしてしまいがちですが、実は“電源”こそが安定稼働のカギ。ここを甘く見ると、せっかくの高性能パーツも本領を発揮できません。
この記事では、ゲーミングPCの消費電力の目安や、電源(PSU)の選び方をわかりやすく解説します。読後には「自分の構成なら○○ワットで十分」と判断できるようになるはずです。
なぜゲーミングPCの「ワット数」が大事なのか
パソコンの電源は、人間で言えば心臓のような存在。
CPUやGPUに電力を供給し続ける役割を担っています。
もし電源容量が足りなければ、以下のようなトラブルを引き起こすこともあります。
- ゲーム中に突然シャットダウンする
- 負荷がかかるとフリーズする
- 電源ユニット自体が熱を持ちやすくなる
- パーツ寿命が短くなる
つまり、必要なワット数を見誤ると“せっかくのゲーミングPCが安定しない”という本末転倒な結果になってしまうのです。
ゲーミングPCの平均消費電力はどのくらい?
ゲーミングPCの消費電力は構成によって大きく変わりますが、おおよその目安は次のとおりです。
- ライトゲーマー構成(GPUエントリー〜ミドル):300〜500W
- ミドル〜ハイ構成(RTX 4070〜RTX 4080など):500〜700W
- ハイエンド構成(RTX 4090+高性能CPU):700〜1000W以上
CPUやGPUのTDP(定格消費電力)だけでも、最新モデルではかなりの差があります。
たとえば、ハイエンドGPU「RTX 4090」は約450W、上位CPU「Ryzen 9 7950X」なら120W前後。ここにマザーボード・メモリ・ストレージ・冷却ファンなどを加えると、あっという間に合計500〜600Wを超えます。
一方で、軽めのゲームしか遊ばない場合やグラボを搭載しない構成なら、300W前後でも足ります。
つまり、「どんなゲームを、どれくらいの負荷で遊ぶか」で必要なワット数は大きく変わるのです。
構成別・ワット数の目安を知っておこう
自分の構成をざっくり当てはめてみましょう。
1. エントリーゲーミング(〜300W)
このレベルなら、一般的なゲーミングタイトルを中設定で快適にプレイ可能。500Wの電源ユニットを選べば十分余裕があります。
2. ミドルレンジゲーミング(〜500W)
- CPU:Core i7/Ryzen 7クラス
- GPU:RTX 4070〜RTX 4070Tiクラス
- 電源目安:650〜750W
この構成は人気が高く、コスパ重視のゲーマーが多く選びます。
電源は650W前後がちょうどよく、将来的なアップグレードを考えるなら750Wにしておくと安心です。
3. ハイエンドゲーミング(〜800W)
4K解像度やVR、配信・編集までこなしたい人向けの構成。
ピーク時の電力スパイクが大きいため、電源にはしっかり余裕を持たせましょう。ATX 3.0やPCIe 5.0対応のモデルがおすすめです。
電源ユニットの選び方と注意点
ワット数の目安が分かったら、次は「どんな電源を選ぶか」。
ここを間違えると、せっかくの容量も無駄になります。
1. 余裕を持たせた出力を選ぶ
推奨は「必要ワット数+100〜200W」。
たとえば計算上550W必要なら、650〜750Wの電源を選ぶと安心です。
これは、電源は常に最大出力で動作していないため。余裕を持つことで、効率が上がり発熱や騒音も減ります。
2. 80PLUS認証をチェック
電源効率を表す「80PLUS」認証。
Bronze < Silver < Gold < Platinum < Titanium の順で高性能です。
家庭用なら「Gold」以上を選ぶと、変換効率・静音・寿命のバランスが良好です。
3. 規格・コネクタ対応を確認
最新のグラフィックカードでは16ピン(12VHPWR)コネクタを使用するモデルが増えています。
古い電源では変換ケーブルが必要になる場合があるため、購入前に対応を確認しましょう。
また、ATX 3.0対応電源なら将来的なGPUにも対応できるため長く使えます。
4. 信頼できるメーカーを選ぶ
Seasonic、Corsair、Cooler Master、Antec など、品質の高いブランドを選ぶのが基本。
格安ノーブランド品は表示ワット数通りの出力が出ないこともあるため要注意です。
消費電力と電気代の関係
「高性能PCって電気代が高そう…」と感じる方も多いですよね。
実際、消費電力をざっくり計算してみるとこうなります。
例)400W構成で1日4時間プレイ
→ 0.4kW × 4h = 1.6kWh/日
→ 1.6kWh × 30日 × 27円(平均電気単価) = 約1,300円/月
1年続けると約15,000円程度になります。
もちろん、常時フルロードではなくアイドル時間もあるため、実際はこれより少し下がるでしょう。
ハイエンド構成(600〜800W)では月2,000〜3,000円程度になる場合も。
電源効率を上げることで、無駄なロスを減らし節電にもつながります。
電力を節約するための工夫
性能を落とさず電力を抑える工夫もあります。
- 80PLUS Gold以上の電源を選ぶ
- GPUドライバの省電力設定を活用する
- 不要なRGBやファンをオフにする
- アイドル時はスリープモードにする
- 冷却を最適化してファン稼働を減らす
小さな積み重ねでも、年間で見ると電気代にしっかり差が出ます。
将来のアップグレードを見据えておく
ゲーミングPCは長く使うほど、パーツを交換する機会が増えます。
「次世代GPUに変えたら電源が足りない!」というのはよくある話。
購入時に少し余裕のある電源を選んでおくと、数年後も安心です。
また、GPUの消費電力は年々増える傾向があります。
たとえばRTX 3070(220W)からRTX 4090(450W)へ乗り換えるだけで、単純に倍近い電力を要求します。
最初から850W以上の電源を選んでおけば、買い替えコストを抑えられるでしょう。
まとめ:ゲーミングPCは何ワット必要?
最後にもう一度、ゲーミングPCのワット数目安を整理します。
- ライトゲーミング:500W電源で十分
- ミドルレンジ:650〜750Wを推奨
- ハイエンド構成:850〜1000W以上で余裕を持つ
必要な電力は「構成」と「使い方」で変わります。
迷ったら常に“少し上のクラス”を選ぶのが基本。余裕があればトラブルも少なく、長く快適に使えます。
電源は目立たないけれど、PC全体を支える重要パーツ。
しっかり選んで、あなたのゲーミングライフを安定&安心に楽しみましょう。
