「ゲーミングPCをつけっぱなしにしたら、電気代ってどれくらいかかるの?」
──ゲーム好きなら一度は気になったことがあるはず。
高性能パーツを積んだゲーミングPCは、一般的なノートPCやオフィス用デスクトップよりもはるかに消費電力が高い。だからこそ、電源を切らずに長時間つけっぱなしにしていると、電気代は思っている以上に膨らんでいく。
この記事では、実際の消費電力をもとに1日・1か月単位でどのくらいのコストになるのかをわかりやすく計算しつつ、節電のコツまで紹介していく。
ゲーミングPCの電気代を決める基本の仕組み
電気代は「消費電力量 × 電気料金単価」で決まる。
消費電力量は「消費電力(W)」を「使用時間」で割り算して求められる。
たとえば500WのPCを1時間動かすと、0.5kWh(=500W ÷ 1000)を使うことになる。
これに電気料金単価31円/kWh(全国平均的な目安)をかけると、0.5 × 31 =15.5円。
つまり1時間あたり約16円前後が電気代というわけだ。
これが24時間続けば、16円 × 24時間=384円。
1か月(30日)続ければ、384円 × 30日=約1万1,500円ほどになる。
もちろんこれはざっくりした計算だが、実際の金額感をつかむには十分だ。
ゲーミングPCが電気を食う理由
普通のPCより電気代が高くなる最大の理由は「パーツの性能差」だ。
ゲーミングPCには高性能なGPU(グラフィックボード)とCPUが搭載されている。
特にGPUはゲーム処理の要であり、RTXシリーズなどのハイエンドモデルだと単体で300〜450Wを消費することも珍しくない。
CPUも負荷が高いゲームを長時間動かすと100W以上になる。
加えて、RGBライティング、冷却ファン、複数のストレージ、モニターなどが電力を取り合う。
「PCをつけているだけでも熱い」と感じるのは、まさに電気が熱に変わっている証拠だ。
スペック別に見る!つけっぱなしの電気代目安
ここでは、スペックごとの消費電力をざっくりと3タイプに分けて計算してみよう。
- エントリーモデル(300W)
1時間あたり約9円、1日約220円、1か月で約6,600円。 - ミドルスペック(500W)
1時間あたり約16円、1日約370円、1か月で約1万1,000円。 - ハイエンド(800W)
1時間あたり約25円、1日約600円、1か月で約1万8,000円。
この差は単純なスペック差だけでなく、プレイするゲームの重さ、冷却方式、周辺機器の数などによっても変わってくる。
「つけっぱなし」にした場合のリアルなコスト感
仮に500WのミドルスペックPCを24時間稼働させたとしよう。
0.5kW × 24h = 12kWh。
電気単価31円をかけると、12 × 31 =372円。
1日372円なら、1か月で372 × 30 =約1万1,000円。
年間だと13万円を超える計算になる。
これはもはやサブスクをいくつか契約できる金額だ。
もちろん、ゲーム中は高負荷で消費が上がり、放置やスリープ中は下がる。
しかし「完全につけっぱなし」状態が続くと、常にファンや電源が稼働し、アイドル時でも100〜200Wほど消費してしまう。
実際の使用パターン別シミュレーション
より現実的な比較をしてみよう。
- 1日3時間プレイする場合(500W)
0.5kW × 3h × 31円 = 約46.5円/日。
1か月=約1,400円。 - 1日5時間プレイする場合(500W)
0.5 × 5 × 31 = 約78円/日。
1か月=約2,300円。 - 24時間つけっぱなし(500W)
前述の通り、約11,000円/月。
この差を見ると、使っていない時間に電源を落とすだけで月8,000円以上の節約になることがわかる。
つけっぱなしのデメリットは電気代だけじゃない
電気代以外にも、24時間稼働にはいくつかのリスクがある。
- パーツの寿命が縮む
CPUやGPUは高温にさらされ続けると劣化が早まる。ファンやHDDなどの機械部分も摩耗が進む。 - ホコリが溜まりやすくなる
長時間の稼働は吸気・排気ファンが動き続けるため、内部にホコリが溜まりやすい。放置すると冷却効率が下がり、さらに発熱・消費電力が増える悪循環に。 - 火災や故障リスク
電源部やケーブルが劣化している場合、熱やホコリでショートするリスクが上がる。定期的なメンテナンスやシャットダウンは安全対策としても重要だ。
節約しながら安全に使うための工夫
「電気代を抑えつつ快適に使う」ためのちょっとした工夫も覚えておこう。
- 使わない時はスリープやシャットダウン
30分以上席を離れるならスリープ、就寝時はシャットダウン。これだけで大きく電力が減る。 - 電源ユニットの効率を見直す
「80PLUS GOLD」などの高効率電源を使うと、同じ出力でもロスが少なくなる。 - モニターの明るさ設定を下げる
意外とモニターも電気を食う。明るさを少し落とすだけで省エネに。 - バックグラウンドアプリを整理
ゲーム中以外の常駐アプリを減らすとCPU負荷が下がり、消費電力も低下。 - 電気料金プランを見直す
深夜電力が安いプランや、基本料金の低いプランに変更するのも一つの手。
ちょっとした意識で、毎月のコストを無理なく減らすことができる。
まとめ:ゲーミングPCをつけっぱなしにした時の電気代は意外と高い
ゲーミングPCを24時間つけっぱなしにした場合、
1日で300〜600円、1か月では6,000〜18,000円程度が目安。
「少しの時間だから大丈夫」と思っていても、積み重ねると年間10万円を超えることもある。
高性能なPCほど電力を使うという事実を理解したうえで、使わないときはこまめにスリープや電源オフを心がけよう。
節電は財布にもPCの寿命にも優しい習慣だ。
そして、次にPCを起動したとき、その静かなファンの音が少し誇らしく聞こえるはず。
──今日から「つけっぱなし」は、やめてみよう。
