ゲーミングPCって、つい「電源を切るのが面倒だからつけっぱなしでいいか」と思うことありますよね。
でも、ふと気になるのが「このままつけっぱなしにしておくと寿命が縮むんじゃ…？」という不安。
今回は、そんな疑問を徹底的に掘り下げます。
つけっぱなし運用の現実：ゲーミングPCはどのくらいもつの？
まず前提として、一般的なデスクトップPCの寿命はおおよそ5〜7年ほどといわれます。
ただし、ゲーミングPCは高性能なパーツを使っているぶん、発熱や消費電力が多く、冷却性能やメンテナンス次第で寿命が前後します。
つまり「どのくらいもつか」は“使い方”に大きく左右されるということ。
特に「つけっぱなし」かどうかは、その寿命を左右する一つの要因になります。
つけっぱなしにするメリットもある？
実は、PCをつけっぱなしにしておくメリットもあります。
- アップデートやダウンロードを自動で完了できる
- ゲームや配信をすぐに再開できる
- 起動・シャットダウンを繰り返さないことで電圧の変動を減らせる
起動時の“電圧サージ”は電子部品に軽いストレスを与えるため、頻繁に電源を入れたり切ったりするより、つけっぱなしの方が機械的には優しいという意見もあります。
特に配信やサーバー運用、リモートアクセスなど「常時起動が前提」の使い方では、つけっぱなしの方が合理的です。
デメリット：寿命に関わるのは“熱”と“稼働時間”
ただし、つけっぱなし運用が寿命に影響する要素も多くあります。
最大の敵は「熱」と「長時間稼働」による部品劣化です。
PCの内部パーツは熱に弱いものが多く、特に電源ユニットやマザーボード上のキャパシタ（コンデンサ）は温度が高いほど寿命が短くなります。
目安として、動作温度が10℃下がると寿命が約2〜3倍になるという研究もあるほどです。
つまり、「つけっぱなし＝常に温度が高い状態で動いている」なら、確実に部品の劣化は進みます。
CPUやGPUの温度が70〜80℃を超える時間が長い場合は要注意です。
ファン・電源ユニット・ストレージ…つけっぱなしで痛みやすい部品たち
1. 冷却ファン
ファンは常に回転しているため、物理的な摩耗が最も早く進みます。
特にスリーブベアリングタイプは熱に弱く、長時間の連続回転で軸が摩耗しやすい傾向があります。
異音や回転数の低下が見られたら早めに交換しましょう。
2. 電源ユニット（PSU）
電源ユニットはPC全体の安定稼働を支える要。
内部の電解コンデンサは温度と通電時間に比例して劣化します。
高品質な80PLUS認証モデルや日本製コンデンサ搭載タイプを選ぶことで、つけっぱなし運用にもある程度耐えられる設計になります。
3. ストレージ（HDD・SSD）
HDDの場合、常に回転していることでモーターやヘッドが摩耗します。
逆にスピンダウンを頻繁に繰り返すほうが寿命を縮めるという意見もあり、一概に悪とは言えません。
SSDは可動部がないため物理的摩耗は少ないものの、長時間高温で稼働するとコントローラやNANDの劣化が進みやすくなります。
熱対策が寿命を左右する
結局のところ、寿命を延ばす最大のコツは「熱をためないこと」。
ゲーミングPCは性能が高いほど発熱も激しく、冷却が追いつかないとパーツ全体が早く傷みます。
つけっぱなしにするなら、以下の点を意識すると良いでしょう。
- ケース内部の埃をこまめに掃除する
- ケーブルを整理して空気の流れを妨げない
- 高温期はエアコンで室温を下げる
- CPUクーラーやグリスを定期的にメンテナンスする
- ファンを静音モードではなく「温度制御モード」で運用する
小さなことの積み重ねで、熱ストレスを大幅に減らせます。
スリープ・休止状態の活用がベストバランス
「完全につけっぱなし」と「毎回シャットダウン」、どちらにも一長一短があります。
そこでおすすめなのがスリープや休止状態の活用です。
スリープなら、作業再開がすぐできるうえに消費電力も少なく、パーツへの負荷も軽い。
休止状態なら電源を切った状態に近く、メモリ内容を保存して復帰もスムーズです。
どちらも、つけっぱなしのように電気を食わず、頻繁な起動・停止のような負担も避けられます。
電気代と環境への影響も無視できない
つけっぱなしのままだと、アイドル時でもおよそ60W前後の電力を消費します。
24時間×30日だと、約43kWh。
1kWhあたり30円で計算すると、月に1,300円前後の電気代です。
しかも、PCは発熱するぶん室温も上がりやすく、冷房費にも影響します。
金額的には小さく見えても、1年続ければ約1.5万円。
長期的に見れば無視できません。
長持ちさせるための運用ポイント
ゲーミングPCを長く使いたいなら、「つけっぱなし前提」であっても運用を工夫することが重要です。
- 定期的に再起動してシステムをリフレッシュする
- 月1回は完全シャットダウンして埃をチェック
- 電源タップに雷サージガードを導入
- 高温多湿を避け、通気性のいい場所に設置
- ファンや電源ユニットの劣化を3〜4年目で点検する
また、負荷が高い時間が続くとGPUやVRM（電源回路）に熱ダメージが蓄積するため、夏場は特に温度モニタリングツールを使うと安心です。
実際のところ、つけっぱなしは寿命を縮めるのか？
結論から言えば、**「条件次第」**です。
冷却が十分で、埃対策ができていて、高品質パーツを使っていれば、24時間稼働でも問題ないケースは多くあります。
ただし、
・部屋が暑い
・ファンが弱っている
・埃が溜まっている
このような環境でつけっぱなしにすると、確実に寿命が縮まります。
つまり、「つけっぱなし運用＝悪」ではなく、「管理されていないつけっぱなし運用＝悪」。
きちんとメンテナンスしていれば、むしろ安定して長く使えることもあります。
ゲーミングPCをつけっぱなしにすることで寿命はどうなる？最後のまとめ
ゲーミングPCをつけっぱなしにしても、即寿命が縮むわけではありません。
ただし、熱・埃・稼働時間という“見えない負担”は確実に蓄積します。
- 熱対策と冷却管理が寿命を左右する
- 可動部品（ファン・HDD）は摩耗が進む
- スリープや休止モードを上手に活用する
- 定期的な再起動とメンテナンスを忘れない
この4点を押さえれば、「つけっぱなしでも長持ちするゲーミングPC」を実現できます。
大切なのは、電源を切ることよりも“どう動かすか”“どう冷やすか”。
あなたのゲーミングPCも、ちょっとした気配りでずっと快適に動き続けるはずです。
