「バッテリーの持ちが悪くなったな」「画面にヒビが入っちゃった」——そんな時、真っ先に浮かぶのは正規の修理サービスに出すことかもしれません。でも、ちょっと待ってください。
最近では、自分でiPhoneを分解して修理する「セルフ修理」を選ぶ人が増えています。Apple自身も「セルフサービス修理プログラム」を始めて、公式に部品を販売する時代になりました。修理代を節約したい、愛着のあるiPhoneをできるだけ長く使いたい、あるいは単に内部構造に興味がある——理由は人それぞれです。
でも、いきなり「よし、分解しよう!」と思い立つのはちょっと危険。iPhoneは精密機器の塊です。正しい知識と準備なしに挑むと、取り返しのつかないことになりかねません。
この記事では、[iPhone 分解]を考えているあなたに向けて、必要な工具からモデル別の注意点、よくある失敗談まで、まるごと全部お伝えします。初めての人でも「これならできそう」と思えるように、できるだけわかりやすく解説していくので、最後まで付き合ってくださいね。
そもそもiPhoneを分解するメリットとリスク
まずは冷静に、自分で分解することの良い面と悪い面を整理しておきましょう。
自分で分解する最大のメリットは、なんといってもコスト削減です。正規修理店に頼むと、バッテリー交換でも1万円前後、画面修理なら3万円以上かかることも珍しくありません。ところが、純正部品を自分で買って交換すれば、工賃分がまるっと浮く計算になります。
それから、「修理する権利」という考え方も広がっています。自分が買った製品をどうするかは自分で決められる——このシンプルな考え方に共感する人も多いんです。実際に分解してみると、「こんなふうに作られてるんだ」という発見があって、愛着もひとしおですよ。
ただ、当然リスクもあります。まず間違いなく言えるのは、自分で開封した時点でAppleの保証は無効になります。AppleCare+に入っていても、これは同じです。
それから、防水性能はほぼ確実に落ちます。工場で貼られている防水シールは専用の機械で圧着されているので、手作業で完全に再現するのは至難のわざ。水没のリスクが高まることは覚悟しておきましょう。
最悪の場合、分解中に基板を傷つけて本体ごとお釈迦——なんてケースも実際にあります。「自分でやる」という選択は、すべて自己責任だということを、最初にしっかり心に刻んでおいてくださいね。
分解前に絶対に揃えたい工具リスト
さて、それでも「挑戦してみよう」と思ったあなたに、必要な工具を紹介します。適当なドライバーで代用しようとすると、ネジをなめてしまう原因になるので注意してください。
【絶対に必要な基本工具】
- Pentalobeドライバー(星形):iPhoneの底部にある謎の星形ネジを外すためのもの。これがないと話になりません。
- Phillipsドライバー(プラス):本体内部の小さなネジ用。#000や#00といった極小サイズが必要です。
- 吸盤:画面を持ち上げるために使います。しっかりと吸引力のあるものがいいですね。
- 開口ピック:開いた隙間に差し込んで、接着剤を剥がすのに使います。丈夫で薄いものがベター。
- ピンセット:細かいケーブルやネジをつまむのに必須です。先端が細くて曲がっていないものを選びましょう。
- スパッジャー(こじ開け工具):樹脂製のヘラのような道具。コネクタを外すときや、画面を持ち上げるときに大活躍します。
【あると作業がぐっと楽になる便利工具】
- ヒートガン(またはヘアドライヤー):画面を固定している接着剤を柔らかくするために使います。温度調整できるヒートガンがあれば理想的ですが、ドライヤーでも代用可能です。
- 静電気防止用リストストラップ:冬場など乾燥している時期は静電気で基板の電子部品を破壊するリスクがあります。地味に大事なアイテムです。
- 耐熱マットと磁気マット:作業台を傷つけず、ネジを整理整頓するのに便利。iPhoneはネジの種類が多く、場所によって長さも違うので、磁気マットに並べておくと「あれ、このネジどこだっけ?」が防げます。
【初心者向けおすすめ工具セット】
初めてなら、最初から修理キットを買うのが一番簡単です。Amazonで「iPhone 修理キット」と検索すると、先ほど挙げた工具が一式入ったセットが2,000円〜3,000円で手に入ります。
口コミをチェックするときは、「ドライバーの精度が高い」「磁力が強い」といったコメントがあるものを選ぶといいですよ。あまりに安すぎるセットは、ネジをなめてしまう原因になるので注意してください。
【モデル別】分解の核心とここだけの注意点
ここからが本番です。とはいえ、全モデルの全手順を書き出すと本一冊分になるので、ここではモデルごとに最も注意すべきポイントに絞ってお伝えします。実際の分解手順は、後で紹介する参考リンクと併せて確認してくださいね。
iPhone 16シリーズの場合
最新モデルの最大の特徴は、バッテリーの脱着方式が変わったこと。従来は引っ張って剥がす強力な接着テープが使われていましたが、iPhone 16では「電気的反応で剥がれる接着剤」が採用されています。
具体的には、バッテリーに低電圧の電流を流すと接着剤が柔らかくなって剥がしやすくなる仕組み。これは画期的なんですが、うっかり通電のタイミングを間違えるとバッテリーを傷める危険もあります。
また、新しく追加された「カメラコントロールボタン」のフレキシブルケーブルも要注意。サイドボタン周りはケーブルが密集しているので、無理に引っ張らないようにしましょう。
iPhone 15シリーズの場合
iPhone 15 Proシリーズはチタニウムフレームを採用していますが、内部構造自体はそこまで大きく変わっていません。ただ、チタニウムと内部のアルミニウムシャーシの間にゴム製のダンパーが入っているので、こじ開けるときに無理な力を加えると位置がずれる可能性があります。
それと嬉しいポイントとして、背面ガラスの交換が以前より簡単になっています。従来はほぼ全分解が必要だった背面ガラス交換が、一部のモデルでは背面だけ剥がせるように設計変更されました。うっかり落として裏面を割ってしまった人には朗報ですね。
iPhone 14シリーズの場合
実はこの世代から、背面ガラスの交換が劇的に簡単になりました。iPhone 14と14 Plusは、本体のフレーム構造が見直されて、中央から開ける方式に変更。これにより、ディスプレイ側からも背面ガラス側からもアクセスできるようになったんです。
バッテリー交換をする場合、従来はディスプレイを完全に外さないとアクセスできませんでしたが、モデルによってはディスプレイを開けたままバッテリーに到達できるようになっています。これは修理のしやすさという点で大きな進歩と言えるでしょう。
全モデル共通の最重要ポイント
どのモデルでも気をつけるべきことを、いくつかまとめておきます。
ディスプレイの取り外しが最初の山場です。画面と本体の間には頑丈な接着剤が塗ってあるので、まずはヒートガンで十分に温めて柔らかくします。吸盤で引っ張り上げてわずかに隙間ができたら、そこに開口ピックを差し込んで、ゆっくりと接着剤を切り離していきます。
このとき、絶対に深くピックを入れすぎないでください。深く入りすぎると、内部のフレキシブルケーブルを傷つけてしまいます。特にFace IDのケーブルは細くて断線しやすいので、慎重に作業しましょう。
バッテリー交換の際の最大の注意点は、古いバッテリーを剥がすとき。強力な両面テープで固定されているので、無理にこじったり、金属製の工具でバッテリーを突き刺したりすると発火の危険があります。必ず樹脂製のスパッジャーを使い、端から少しずつ剥がしていくのが鉄則です。
そして絶対に忘れてはいけないのが、ネジの管理。iPhoneは長さや太さが微妙に違うネジが何種類も使われています。間違った場所に長いネジを締めると、基板を貫通して故障する原因になります。磁気マットに「ここに置いたネジはどこから外したか」を書き留めておくのがおすすめです。
よくある失敗とその対処法——知らないと後悔するリアルな声
実際に分解に挑戦した人たちの「やってしまった…」という声を集めてみました。これらを知っておくだけでも、失敗の確率はぐっと下がります。
「ネジをなめてしまった」「ネジを失くした」
これは本当によくある話。ドライバーのサイズが合っていなかったり、力を入れすぎるとネジの頭がつぶれて「なめた」状態になります。こうなると普通のドライバーでは外せません。
対処法としては、「ネジザウルス」という特殊な工具を使うか、修理ショップに相談するのが現実的。予防策としては、高品質なドライバーを使い、ネジに対して垂直に力を加えることを意識しましょう。
失くした場合は、ネジ単品で販売しているサイトもあるので、モデル名と「交換ネジ」で検索してみてください。
「フレキシブルケーブルを断線させた」
これはかなり深刻です。特にディスプレイと本体をつなぐケーブルは細くて脆弱。開けるときに勢いよくパカっと開けようとすると、ケーブルが切れてしまいます。
断線してしまった場合、そのケーブルだけを交換するのは非常に難しいので、部品ごと(例えばディスプレイ全体)の交換が必要になるケースがほとんどです。これを防ぐには、コネクタを外すまでは画面を90度以上開かないこと。これ、本当に基本中の基本です。
「組み立てたら画面が映らない/タッチが効かない」
原因の多くは、コネクタの接触不良です。しっかりカチッと奥まで刺さっていなかったり、保護カバーを正しく締めていなかったりします。一度すべてのコネクタを外して、再度丁寧に付け直してみましょう。
それでもダメなら、静電気で基板の部品が壊れた可能性も。これは個人での修理はほぼ不可能です。
「純正部品ではありませんって警告が出た」
最近のiOSには、交換した部品を認証する仕組みが組み込まれています。たとえ純正のリビルト品(再生品)でも、正規の手順で交換しないとこの警告が出ることがあります。
Appleのセルフサービス修理プログラムを利用して正規部品を購入し、交換後に「システム設定」から診断を完了させれば、この警告は消えるはずです。サードパーティ製の互換部品を使った場合は、警告が出続けることを覚悟しておきましょう。
「防水性能が全然ダメになった」
工場出荷時には専用のプレス機で貼られた防水シールを、手作業で完全に再現するのは不可能に近いです。市販の防水接着テープを丁寧に貼っても、元通りとはいきません。
水回りでの使用が多い人は、自己修理後に防水性能が落ちていることを常に意識しておく必要があります。最悪の場合、水没による全損もあり得るというリスクは、受け入れた上で挑戦しましょう。
「これはプロに任せるべき」というサインの見極め方
自分でできることと、プロに任せるべきことの線引きも大切です。以下のようなケースは、素人が手を出すのは危険です。
- 基板レベルの故障が疑われるとき(電源は入るけど起動しない、一部の機能だけ動かないなど)
- マイクロハンダ付けが必要なとき(コネクタが基板から剥がれた、ICチップの交換が必要など)
- 水没させてしまったとき(すぐに電源を切って、乾燥させる前に修理店へ!)
こういった場合は、無理に自分で直そうとせず、実績のある修理店に相談した方が、結果的に安く済むことも多いんですよ。
分解から見えるiPhoneの進化と未来
せっかく分解するなら、内部構造の進化にも注目してみましょう。
最近のiPhoneを見ていると、バッテリーの大型化と基板の高密度化が顕著です。特にProモデルは、ロジックボードが小さく折りたたまれるように実装されていて、その技術力には驚かされます。
また、放熱対策も年々進化しています。グラフェンシートやベイパーチャンバーといった放熱部材が採用されるようになり、ゲームなど高負荷な処理をしても熱がこもりにくくなりました。
Appleは「修理する権利」に対して、以前よりはオープンな姿勢を見せるようになってきました。セルフサービス修理プログラムの拡大や、部品供給の改善など、今後もユーザーにとって修理しやすい環境が整っていく可能性は高いです。
まとめ:準備と知識があればiPhone分解は怖くない
いかがでしたか? [iPhone 分解]と一口に言っても、必要な工具、モデルごとの注意点、そして潜むリスクまで、知っておくべきことはたくさんあります。
この記事で一番伝えたかったのは、「挑戦するな」ということではなく、「正しい知識と準備をすれば、セルフ修理は十分可能だ」ということです。
もし今回の内容を読んで「自分にはちょっと難しそうだな」と感じたら、それはそれで正しい判断です。信頼できる修理店に依頼するという選択肢もありますからね。
逆に「よし、やってみよう」と思えたなら、次は実際の分解ガイドを見ながら準備を始めてみてください。iFixitのサイトには、モデル別の詳細な手順が写真付きで公開されています。Appleの公式修理マニュアルも、セルフサービス修理プログラムのページからダウンロードできますよ。
最後にもう一度だけ。作業は慎重に、そして自己責任で。あなたのiPhoneが、また新たな気持ちで長く使えるようになることを願っています。
