「音楽をもっと自分の好みの音で聴きたい」。iPhoneで音楽を楽しむあなたなら、一度は思ったことがあるのではないでしょうか。iPhoneには、実は標準でかなり本格的なイコライザ機能が搭載されています。でも、設定の場所が分かりにくかったり、23種類もあるプリセットからどれを選べばいいのか迷ったり…。結局、最初から触ったことないという人も多いかもしれません。
この記事では、あなたの「この曲をこんな風に聴きたい!」を叶える、iPhone標準のイコライザ設定の全てを解説します。設定方法の基本から、23のプリセットそれぞれの特徴、そして「ボーカルを聴き取りたい」「深夜に音楽を楽しみたい」「持っているイヤホンの音質を底上げしたい」といった具体的な目的にピッタリ合った選び方まで、まるごとお伝えしていきます。
iPhoneのイコライザ、どこにあるの?基本設定をマスター
まずは、そのイコライザ機能がどこに隠れているのかを確認しましょう。操作はとても簡単です。
- iPhoneの「設定」アプリを開きます。
- 下にスクロールして「ミュージック」をタップします(iOSのバージョンによっては、「サウンド」など別の場所にある場合もありますが、基本的には「ミュージック」アプリの設定内にあります)。
- 「ミュージック」の設定画面の中に、「イコライザ」という項目があります。ここをタップしてください。
これで、23種類のプリセットがズラリと並んだ画面が表示されます。初期状態では「オフ」になっているので、ここでお好みのプリセットを選択するだけで、すぐに音が変化します。
ここで大事なポイントが2つあります。
まず、このイコライザの設定は、Apple純正の「ミュージック」アプリで再生する音楽にのみ効果があります。SpotifyやYouTube Musicなどのサードパーティアプリでは、それぞれアプリ内に独自のイコライザ設定がある場合がほとんどなので、そちらを調整する必要があります。
次に、イコライザは音楽の原音の周波数バランス(低音、中音、高音の配分)を変化させる機能です。音そのものを劇的に高品質に変える魔法のツールではなく、「味付け」や「調整」のツールと考えるとよいでしょう。
目的で選ぶ!iPhoneイコライザ23プリセット活用ガイド
さて、いよいよ本題です。23種類もあると「結局どれがいいの?」と混乱してしまいますよね。ここでは、あなたの「聴きたい音」や「シチュエーション」から、最適なプリセットを選べるように、主要なものをカテゴリー別にご紹介します。
「歌や言葉をクリアに聴きたい」時に使うプリセット
ポップスやボーカルがメインの楽曲、ポッドキャスト、オーディオブックを聴く時に特におすすめです。
- Vocal Booster(ボーカルブースター):その名の通り、人の声が含まれる中音域を中心に強調してくれます。ボーカルが前に出てきて、歌詞や話し言葉がグッと聴き取りやすくなります。音楽だけでなく、トークコンテンツを聴く時にも重宝します。
- Spoken Word(スポークンワード):こちらも言葉を明瞭にするプリセット。Vocal Boosterと似ていますが、さらに会話や朗読に特化して中音域を最適化している印象です。オーディオブックを聴くなら、まず試してみたい設定です。
「音楽のジャンルや雰囲気を強調したい」時に使うプリセット
ロックやヒップホップなど、ジャンルの特徴を引き立てたい時に効果的です。
- Rock(ロック):低音のパンチと高音のキラキラ感を同時に上げ、迫力と疾走感を増してくれます。ロックやメタルはもちろん、エレクトロニックなどエネルギー感のある音楽全般に合います。
- Hip Hop(ヒップホップ):ビートの効いた低音(キックやベース)をしっかりと強調しつつ、中音~高音域もバランスよく持ち上げるため、全体にパワフルで現代的なサウンドになります。ヒップホップ、トラップ、エドムなどにぴったりです。
- Jazz(ジャズ):低音のコントラバスやドラムのシンバルの余韻、管楽器のニュアンスを生き生きとさせます。音の立体感や臨場感が増し、ジャズクラブでライブを聴いているような雰囲気を味わえます。
- Classical(クラシック):全体的な音のバランスを整え、コンサートホールのような広がりと繊細さを演出します。オーケストラの細かいニュアンスを聴き取りたい時に。
「使用する機器や環境に合わせて音を最適化したい」時に使うプリセット
これは多くの人に見逃されている、実は超実用的なカテゴリーです。
- Small Speakers(スモールスピーカー):iPhoneの内蔵スピーカーや、小さな Bluetoothスピーカーなど、物理的に低音が出しにくい機器で使うことを想定したプリセットです。不足しがちな低音と中音を補強して、貧弱な音をしっかりと肉付けしてくれます。
- Late Night(レイトナイト):これ、かなり便利な隠れ玉です。夜、家や寝室で音楽を聴く時、大きな低音が壁を通して響いたり、ヘッドホンで聴いていても耳が疲れやすくなったりしますよね。この設定は強い低音を抑制し、全体的に柔らかくマイルドな音に整えてくれます。静かな環境で長時間聴くのに最適で、耳への負担も軽減してくれます。
- Treble Reducer(トレブルリデューサー):高音が「耳に刺さる」「キンキンする」と感じる方におすすめです。高音域を全体的に抑えることで、耳障りな感じを和らげ、長時間のリスニングでも疲れにくい音に調整できます。
その他のこだわり設定
- Bass Booster(ベースブースター)/ Bass Reducer(ベースリデューサー):文字通り低音を強化または削減します。好みや曲によって使い分けを。
- Flat(フラット):全ての調整をせず、原音をそのまま再生します。高音質なヘッドホンやスピーカーをお持ちで、アーティストやエンジニアが意図したままの音を聴きたい方に。
さらなる音質アップ!イコライザと組み合わせたい設定
iPhoneには、イコライザと合わせて使うことで、さらに音質を自分好みに調整できる機能が他にもあります。
- 「音量を自動調整」をオフにしてみる:「設定」>「ミュージック」内にあるこの機能(Sound Check)は、曲間の音量差を平準化する便利な機能ですが、オンにしているとイコライザの効果が意図したほど感じられない場合があります。イコライザの変化を最大限に味わいたい時は、一度オフにしてみることをお試しください。
- 「ヘッドフォン調整」で耳に合わせた最適化を:「設定」>「アクセシビリティ」>「オーディオ/ビジュアル」と進むと、「ヘッドフォン調整」という機能があります。これをオンにすると、あなたの聴力特性に合わせて音を補正してくれます。中でも「ボーカルの聞き取り向上」設定は、イコライザの「Vocal Booster」と相乗効果を発揮し、驚くほどクリアなボーカルを実現してくれます。
- AirPodsユーザーは「空間オーディオ」もチェック:AirPods ProやAirPods Maxをお使いなら、「設定」>[AirPods]から「パーソナライズされた空間オーディオ」を有効にしてみてください。イコライザの調整と組み合わさって、より没入感のあるサウンドを体験できるかもしれません。
標準機能では物足りない人へ!カスタムEQアプリの世界
iPhone標準のイコライザはプリセット選択のみで、自分で細かい周波数をイジることはできません。「もっと細かく調整したい!」というこだわり派の方は、サードパーティ製のEQアプリの世界を覗いてみるのも一手です。
App Storeには「Boom」や「Equalizer Fx」など、10バンド以上のパラメトリックEQを備え、好みの音を自分で精密に設計できるアプリがあります。多くのアプリは、Apple Music以外のサービス(ファイルで読み込んだ楽曲や、アプリ内で再生する音楽)に対して強力な効果を発揮します。有料のものも多いですが、自分の耳にぴったり合う「マイサウンド」を追求したい方には、投資する価値があるかもしれません。
あなたの音楽体験を変える、iPhoneイコライザ設定のすすめ
いかがでしたか? iPhoneのイコライザは、設定アプリの奥にひっそりとあるものの、一度その使い方を知ってしまえば、あなたの音楽ライフをぐっと豊かにしてくれる味方です。
今日からできる第一歩は、まずお気に入りの一曲を流しながら、イコライザのプリセットを「Vocal Booster」「Late Night」「Rock」の3つだけ、順番に切り替えて聴き比べてみることです。同じ曲がこれほど印象を変えるのか、と驚くはずです。
音楽を聴く環境、使う機器、聴きたいジャンル、その時の気分。それら全てに合わせて、iPhoneのイコライザ設定を自在に操ってみてください。あなただけの、最高のサウンド体験がそこにあります。
