ノートパソコンの動作が最近重いと感じていませんか? ブラウザのタブをたくさん開くとフリーズしそうになる、動画編集やオンライン会議で音声が途切れる――そんな経験があれば、それはメモリ増設が解決のカギかもしれません。
特にビジネス向けとして人気の高いLenovoノートパソコン(ThinkPadやThinkBookなど)は、ユーザー自身でのアップグレードが比較的容易な設計になっているモデルが多いんです。
この記事では、「増設すれば本当に速くなるの?」「自分のパソコンに合うメモリはどれ?」「自分でやるのは難しそう…」といった疑問に全てお答えします。最終的には、失敗しない製品選びと安全な増設作業の方法を、具体的にご紹介します。
増設する前に知るべきこと:効果がある場合・ない場合
まず大前提として、メモリ(RAM)を増やせばどんなパソコンも劇的に速くなる、というわけではありません。効果が目に見えて現れるのは、メモリ容量そのものが足りていない状態のときです。
こんな症状なら、増設が効果大!
次のような症状が日常的にあるなら、メモリ不足の可能性が高いです。
- 複数の作業を同時に行うと極端に重くなる:メール、ブラウザ(タブ多数)、Word、Excel、動画プレイヤーなどを同時に立ち上げているとき。
- 作業中に突然「応答なし」と表示される:特に、大容量のExcelファイルや画像編集ソフトを使っているとき。
- 起動や切り替えに時間がかかる:ブラウザのタブを切り替えるだけなのに、一瞬「真っ白」になったり、回転マークが表示されたりする。
- タスクマネージャーでメモリ使用率を確認すると常に90%以上:WindowsならCtrl+Shift+Escで開くタスクマネージャーの「パフォーマンス」タブで、メモリ使用率を確認できます。高い状態が続いているなら、メモリが逼迫している証拠です。
逆に、こんな場合は効果が薄いか、他の対応が必要
メモリを増やしても、以下のようなケースでは思ったような効果が得られないことがあります。
- 根本的にCPUが古く、処理能力が低い:メモリは作業机の広さ、CPUはそこで働く人の頭の回転速度に例えられます。机を広げても、働く人の処理能力に限界があれば、全体のスピードは上がりません。
- ストレージがHDDのまま:OSやソフトの起動、ファイル保存の速さは、主にストレージ(SSD/HDD)が影響します。HDDを使っている古いモデルでは、メモリ増設よりもSSDへの換装の方が体感速度の向上に直結することがほとんどです。
- すでに十分な容量がある:日常的に8GBも使っていないのに16GBに増設しても、体感できる変化は少ないでしょう。
- OSが32ビット版:非常に古いパソコンだと、32ビット版のWindowsが搭載されていることがあります。これは原則として4GBを超えるメモリを認識できません。増設する前にOSの種類を確認しましょう。
失敗しないための第一歩:自分のLenovoパソコンの仕様を確認
効果がありそうだと思ったら、次は自分のパソコンに互換性があるメモリを探します。これが最も重要で、間違えると認識しないばかりか、最悪の場合は故障の原因にもなりかねません。
まずは、お持ちのLenovoパソコンの正確なモデル名を確認してください。ノートの底面やバッテリー取り外し部分に貼られているシール、またはWindowsの設定画面から確認できます。
そのモデル名をもとに、以下の4つのポイントを調べましょう。Lenovoの公式サポートページで仕様を検索するか、メモリメーカーの互換性検索ツールを利用するのが確実です。
- 最大搭載容量:パソコンが認識できるメモリの上限です。スロットが空いていても、この容量を超えるものは装着できません。最近のビジネス向けモデル(ThinkPad X/T系列、ThinkBookシリーズなど)は、最大32GBや64GBまで対応しているものが増えています。
- メモリ規格(DDR世代):現在の主流はDDR4とDDR5です。世代が違うと切り欠きの位置が異なり、物理的に挿すことができません。自分のパソコンがどちらに対応しているか、必ず確認してください。
- 動作周波数(速度):2666MHz、3200MHz、4800MHzなどの数値で表されます。パソコンがサポートする最大速度を超えるメモリを買っても、その速度では動作せず、下げられて認識されます。予算と相談して選びましょう。
- メモリスロット数と空き:内部にスロットが2つあるのが一般的で、既にメモリが1枚挿さっているなら、あと1つ空きがあるケースが多いです。この場合、同じ規格・速度のメモリを買い足す(デュアルチャネル構成にする)と、性能面でメリットがあります。スロットが1つしかないモデルや、既に2枚で上限まで埋まっているモデルは、既存メモリを大容量のものに換装する必要があります。
自分でやる! Lenovoノートパソコンへのメモリ増設手順
いよいよ実践です。正しい手順で行えば、パーツ交換の中でも比較的簡単な作業です。ここでは大まかな流れと、絶対に外せない注意点をご説明します。
絶対必須の事前準備
- 工具を揃える:パソコンの背面カバーを開けるための精密プラスドライバー(#0または#1サイズ)が必要です。カバーの爪を傷つけずに外すためのプラスチック製オープニングツールや、使わなくなったカードがあると便利です。
- データをバックアップ:万が一のトラブルに備え、重要なデータは必ず外付けHDDやクラウドにバックアップを取っておきましょう。
- 静電気対策をする:メモリは静電気で簡単に壊れてしまう精密部品です。作業を始める前に、金属製のもの(机の脚や水道の蛇口など)に触れて、体に溜まった静電気を逃がしてください。理想は静電気防止手袋の着用です。
- 電源を完全に切る:パソコンを完全にシャットダウンし、ACアダプターをコンセントから抜きます。さらに、Lenovoの多くのモデルではBIOS設定内に「内蔵バッテリーの無効化(Disable Built-in Battery)」オプションがあり、これを実行するとより安全です。マニュアルで確認してみてください。
具体的な増設作業の流れ
- 背面カバーを開ける:パソコンを裏返し、カバーを固定しているネジを全て外します(ネジが完全に取れない「脱落防止」タイプもあります)。全て緩めたら、オープニングツールをケースの隙間に差し込み、爪を外しながら慎重にカバーを浮かせて取り外します。
- バッテリーコネクタを外す(推奨):カバーを開けたら、マザーボードに繋がっているバッテリーのコネクタをそっと外し、完全に通電を断ちます。
- 既存メモリの取り外し(換装の場合):メモリスロットの両側にある金属の固定クリップを外側に軽く押し広げると、メモリが斜め(約30度)に浮き上がります。それをまっすぐ引き抜きます。
- 新しいメモリを取り付ける:新しいメモリの切り欠き(スロットの突起と合う部分)を確認し、斜めに差し込みます。奥まで差し込んだら、真上から垂直に、両端が均等に沈み込むまで押し込みます。この時、両側の固定クリップが自動的に「カチッ」と音を立ててロックされるのを確認してください。これが完全にロックされていないと接触不良の原因になります。
- 元に戻す:バッテリーコネクタを再接続し、背面カバーを元の位置に置いて軽く押し、全ての爪がかかったことを確認したら、ネジを締めて固定します。
作業後に必ずやること
電源を入れる前に、ACアダプターを再接続します。電源ボタンを押し、起動画面でF1キーまたはF2キーを押してBIOS設定画面に入ります。システム情報などを見る項目で、新しいメモリの容量が正しく認識されているかを必ず確認してください。その後、Windowsが正常に起動すれば、タスクマネージャーでも確認できます。
よくあるトラブルと、メーカー保証についての疑問
ここでは、気になるあの疑問をまとめてお答えします。
- Q. 起動しない、またはメモリを認識しない
- A. 一番の原因は「接触不良」です。一度メモリを抜き差しし、固定クリップが確実にロックされているかを再確認してください。それでもダメなら、互換性(規格、最大容量)を見直します。
- Q. メモリを増設すると、メーカー保証はなくなる?
- A. Lenovoの多くのビジネス向けノートPCでは、メモリやストレージは「ユーザー交換可能部品(CRU)」として設計されています。正しい方法で交換・増設を行い、それ自体が原因で他の部分を壊さなければ、メーカー保証は継続されます。ただし、心配な方は、公式サポートページで保証ポリシーを確認するか、有償でサポートセンターに依頼する選択肢もあります。
- Q. 既存メモリと新しいメモリのメーカーや速度が違っても大丈夫?
- A. 可能ですが、完全に同一仕様のものを組み合わせるのが最も安定します。特に動作速度(周波数)の異なるメモリを混在させると、全てが遅い方の速度に合わせられ、時として不安定になることもあります。できれば同じ規格・速度のものを選びましょう。
最後に:Lenovoメモリ増設で、パソコンライフをもっと快適に
ここまで、Lenovoノートパソコンにおけるメモリ増設の効果の見極め方から、具体的な製品選び、安全な作業手順までをご紹介してきました。
メモリ増設は、パソコンのパフォーマンスをアップさせる方法の中でも、費用対効果が高く、比較的挑戦しやすいアップグレードのひとつです。
大切なのは、自分のパソコンが本当にメモリ不足なのかを見極め、確実に互換性のあるパーツを選び、落ち着いて慎重に作業を行うこと。
この記事が、あなたのLenovoパソコンを、もう何年も快適に使い続けるための一助となれば幸いです。まずは、タスクマネージャーを開いて、今のメモリ使用率をチェックすることから始めてみませんか?
免責事項:本記事の情報は一般的な解説を目的としており、すべての機種・状況を保証するものではありません。作業は自己責任で行い、確信が持てない場合は専門家に相談してください。メーカー保証の詳細は、各製品の公式保証規定をご確認ください。
