タブレットを長く使っていると、「動きが遅い」「アプリが落ちる」「誰かに譲る予定がある」といった場面に出くわすことがあります。そんなときに役立つのが「リセット(初期化)」です。
でも、「リセットって怖そう」「データが全部消えるって聞いたけど本当?」と不安になる人も多いはず。
この記事では、タブレットをリセットする前に知っておきたい注意点から、実際の手順までを初心者向けにやさしく解説します。どのメーカーのタブレットでも基本の考え方は同じなので、この記事を読めば安心して作業を進められます。
タブレットをリセット(初期化)するとは?
「リセット」や「初期化」とは、タブレットを購入したときの状態に戻すことを意味します。つまり、アプリ・写真・設定・ログイン情報などがすべて消え、まっさらな状態になるということです。
これはスマートフォンと同じ仕組みで、「工場出荷時の状態に戻す」ことから**工場出荷リセット(ファクトリーリセット)**とも呼ばれます。
主な目的は以下のようなものです。
- 不具合の改善(動作が重い、アプリが落ちるなど)
- 売却や譲渡前のデータ消去
- アカウント設定のやり直し
- 紛失・盗難時のデータ保護
リセットは便利な反面、やり方を誤ると大切なデータを失うこともあります。正しい手順を知ることがとても大切です。
リセットの前に必ずやっておくべき準備
タブレットのリセットは「一発勝負」です。取り返しのつかない失敗を防ぐために、以下の準備を必ず行いましょう。
1. データをバックアップする
最初にやるべきはバックアップです。
リセットをすると、アプリや写真、メモ、連絡先など、すべてのデータが削除されます。あとから「戻したい」と思っても、バックアップがなければ復元できません。
バックアップの方法はOSによって異なります。
Androidタブレットの場合:
- 「設定」→「システム」→「バックアップ」→「Googleドライブにバックアップ」をオンにする
- SDカードやパソコンに写真・動画を移動して保存しておく
iPadの場合:
- 「設定」→「Apple ID」→「iCloud」→「iCloudバックアップ」をオンにする
- もしくはパソコンに接続してiTunes(またはFinder)でローカル保存
バックアップを取る際は、Wi-Fi環境と十分な充電を確保しておくとスムーズです。
2. アカウントを解除しておく
AndroidではGoogleアカウント、iPadではApple IDが端末に紐づいています。
これを解除せずに初期化すると、次に使う人が「前の持ち主のアカウントを解除しないと使えない」という状態になってしまいます。
Androidの場合:
- 「設定」→「アカウント」→「Googleアカウント」→「削除」
(機種によっては「ユーザーとアカウント」という表記もあり)
iPadの場合:
- 「設定」→「Apple ID」→「サインアウト」
- 「iPadを探す」をオフにする(アクティベーションロックを防ぐため)
この操作をしておくことで、リセット後のトラブルを防げます。
3. 充電をしておく
リセット中に電源が切れてしまうと、最悪の場合システムが壊れて起動しなくなることも。
充電は70%以上を目安にして、可能なら電源につないだまま実行するのがおすすめです。
4. SDカード・外部ストレージの取り扱い
タブレットによっては、リセットしてもSDカード内のデータは消えません。
個人情報が含まれている場合は、SDカードを取り外すか、別途フォーマット(初期化)しておくと安心です。
Androidタブレットをリセットする方法
Androidタブレットの操作は、メーカーやOSのバージョンで多少異なりますが、基本的な手順はほぼ同じです。
通常のリセット手順
- 「設定」を開く
- 「システム」または「バックアップとリセット」を選択
- 「リセットオプション」→「すべてのデータを消去(工場出荷時リセット)」をタップ
- 確認画面で「すべて消去」を選択
- パスワードやPINを求められたら入力して実行
処理には数分〜十数分かかることがあります。完了すると自動的に再起動し、初期セットアップ画面が表示されます。
リカバリーモードでリセットする(操作できないとき)
画面が固まって操作できないときは、リカバリーモードを使って初期化します。
- タブレットの電源を切る
- 「電源ボタン+音量ボタン(上または下)」を同時に長押し
- 「Androidリカバリーモード」が表示されたら、音量ボタンで「Wipe data/factory reset」を選択
- 電源ボタンで決定
- 「Yes」を選び、初期化を開始
終わったら「Reboot system now」で再起動します。これでシステム全体がクリーンになります。
iPad(iPadOS)のリセット手順
iPadはApple IDとの連携が強いため、特にアカウント周りの操作を丁寧に行うことが大切です。
- 「設定」→「一般」→「転送またはiPadをリセット」
- 「すべてのコンテンツと設定を消去」をタップ
- Apple IDのパスワードを入力して確認
- 自動的に初期化が開始
数分で完了し、初回設定画面が表示されます。iCloudバックアップを取っていれば、ここでデータを復元できます。
Fireタブレットなど特殊なケース
AmazonのFireタブレットや一部中華タブレットでは、メニューの表現が異なります。
Fireタブレットでは
「設定」→「端末オプション」→「リセット」から実行可能です。
画面がフリーズしている場合は、電源+音量アップキーを長押しして強制リセットモードに入ります。
リセット後に起こることと注意点
初期化をすると、基本的には以下が削除されます。
- アプリ・設定
- 写真・動画・音楽
- Wi-Fi情報
- ログイン情報
ただし、SIMカードやSDカードのデータはそのまま残ることがあります。
特にSDカード内に個人情報が残っている場合は、別途フォーマットしておくのがおすすめです。
リセット後の再設定ポイント
リセットが完了したら、最初の設定画面で以下を行います。
- Wi-Fi接続
- GoogleまたはApple IDでサインイン
- バックアップデータの復元を選択
- 各アプリの再インストール
復元を行うと、以前の壁紙や設定、アプリ一覧などが自動的に戻る場合もあります。ただし、一部のアプリデータ(ゲームの進行状況など)は個別のアカウント連携が必要です。
よくあるトラブルと対処法
起動しない・途中で止まる
リセット中に電源が落ちた場合、システムが破損していることがあります。
再度リカバリーモードを試すか、それでもダメならメーカーのサポートへ。
アカウントが解除できない
ログイン情報を忘れていると「この端末は以前使用されていました」と表示されることがあります。
GoogleやAppleの公式サイトからパスワードを再設定しましょう。
データを完全に消去したい
通常のリセットでは復元ツールでデータが残る可能性も。
気になる場合は「暗号化→初期化」または「リセット後にランダムデータを上書きして再度リセット」など、二重消去を行うと安心です。
セキュリティ面で気をつけたいこと
リセットはあくまで「一般的なデータ削除」です。
ビジネス利用や機密データを扱う場合は、以下の対策をおすすめします。
- 初期化前に端末を暗号化しておく
- SDカードを別途フォーマット
- 不要になった端末はリサイクル業者やメーカーに依頼して廃棄
こうした手順を踏むことで、個人情報の流出リスクを大幅に下げられます。
タブレットをリセットする方法と注意点を徹底解説!初心者でも安全に初期化できる手順のまとめ
タブレットのリセットは、使い慣れていない人には少しハードルが高く感じられますが、手順を理解していれば決して難しい作業ではありません。
ポイントをもう一度整理すると——
- バックアップとアカウント解除を必ず行う
- バッテリーは十分に充電しておく
- 操作できないときはリカバリーモードを使う
- リセット後は必要に応じてデータを復元する
これらを守れば、安全かつ確実に初期化が完了します。
動作が重くなったときや、譲渡・売却の前にリセットを行えば、タブレットを新品同様の状態に戻すことができます。
大切なのは「準備」と「確認」。
焦らず、順番に進めていけば、初心者でも安心してリセットできます。
