「タブレットとスマホ、どっちが目に悪いの？」
こんな疑問を感じたことはありませんか？
SNSや動画、仕事や勉強まで、今や私たちの生活は画面と切っても切れない関係です。
けれど、「目が疲れる」「最近ピントが合いづらい」などの違和感を覚える人も増えています。
この記事では、眼科専門家の意見や国内外の研究結果をもとに、スマホとタブレットの“目への影響”をわかりやすく解説します。
どちらがより負担をかけやすいのか、そしてどうすれば目を守れるのか、一緒に見ていきましょう。
画面を見ることで起こる「デジタル眼精疲労」とは？
スマホやタブレット、パソコンなどの画面を長く見続けると、目が重い・しょぼしょぼする・かすむ・頭痛がする——。
これらは「デジタル眼精疲労（デジタルアイストレイン）」と呼ばれる症状です。
原因は、長時間の画面注視によるピント調整筋の緊張や、瞬きの減少によるドライアイ。
特に集中しているとまばたきの回数が通常の半分以下になると言われており、角膜が乾きやすくなります。
つまり、デバイスそのものが“目を悪くする”というより、使い方次第で負担が増すということ。
では、スマホとタブレット、それぞれの特徴を比べてみましょう。
スマホの特徴：近距離で見ることで負担が増える
スマホは小型で手元に持つため、自然と顔との距離が近くなります。
平均すると20cm前後で見る人が多いとされ、この“近距離視”が目の筋肉を酷使する最大の要因です。
目の中にはピントを合わせる「毛様体筋」という筋肉があります。
近いものを見続けると、この筋肉がずっと収縮した状態になり、疲労や焦点のズレを引き起こします。
その結果、夕方になると遠くがぼやける「仮性近視（調節緊張）」が起きることも。
さらに、スマホは手元で操作するため、姿勢が前のめりになりがちです。
首や肩の筋肉も緊張し、血流が悪化することで目の疲れがより強く感じられます。
タブレットの特徴：距離を取りやすく目への負担は軽め
タブレットはスマホより画面が大きく、目との距離を30〜40cm程度に保ちやすいのが特徴です。
距離が取れる分、毛様体筋への負担は比較的少なくなります。
また、文字や映像が大きく表示されるため、ピント調整の微妙な動きが減るという利点も。
特に読書や動画視聴のように長時間使う場合、スマホよりも目の疲れを感じにくい傾向があります。
ただし、タブレットでも明るさが強すぎたり、寝転がって使うなどの姿勢が悪いと、やはり目に負担がかかります。
つまり、“距離が取れるから安心”とは限らないということですね。
スマホとタブレット、どちらが近視を進めやすい？
近年の研究では、画面を見る時間が長いほど近視が進行しやすいという結果が出ています。
特に子どもや若年層では、長時間の近距離作業が近視の発症リスクを高めることがわかっています。
近視は、遺伝的要素に加えて「環境因子」が大きく関わるとされます。
スマホのように顔に近づけて使う習慣は、目の成長過程にある子どもには特に影響が出やすいと指摘されています。
一方、タブレットは比較的距離を保ちやすいため、条件が同じならスマホより近視リスクは低めと考えられています。
ただし、使用時間が長すぎるとどちらでも影響は避けられません。
目の健康を守るためには、「距離・時間・休憩」の3つを意識することが大切です。
ブルーライトは「視力を落とす光」ではない
「スマホのブルーライトは目に悪い」という言葉をよく聞きますが、
医学的には、スマホやタブレットの光が網膜を傷つけるという明確な証拠はありません。
ブルーライトはエネルギーの高い可視光線で、まぶしさを感じやすい波長です。
長時間浴びると疲れやすくなることはありますが、失明や視力低下に直結するものではありません。
むしろ問題なのは、夜間に強い光を浴びることで睡眠リズムが乱れること。
寝る直前までスマホやタブレットを使うと、眠りが浅くなったり寝つきが悪くなったりするため、
目だけでなく全身の健康にも影響が出やすいのです。
専門家がすすめる「目を守る使い方」
距離を保つ
スマホやタブレットは30cm以上離すのが理想的。
近づきすぎるほど筋肉の負担が増えるため、自然と姿勢も正すように心がけましょう。
休憩を取る
有名な「20–20–20ルール」があります。
20分画面を見たら、20フィート（約6m）先を20秒見る。
この習慣を続けることで、ピント調整筋がリラックスします。
明るさを調整する
周囲の照明より明るすぎる画面は、瞳孔の収縮を強制し疲れの原因になります。
オート調整機能を使う、ナイトモードを活用するなどして、目に優しい明るさを意識しましょう。
まばたきを意識
集中しているときは瞬きの回数が減り、ドライアイの原因になります。
意識的に「軽く目を閉じる」時間をとるだけでも、涙膜が安定しやすくなります。
子どもの場合は特に注意が必要
成長期の子どもの目は、まだ柔軟で変化しやすい状態です。
そのため、スマホを近くで長時間使う習慣がつくと、近視が進行しやすくなる傾向があります。
親ができるサポートとしては、
- 使用時間を決める（1回30分以内を目安）
- 画面を顔から離す習慣をつける
- 屋外で過ごす時間を増やす
などが効果的です。
外で自然光を浴びることは、近視の進行を抑える可能性があるといわれています。
スマホとタブレット、どちらが「目に悪い」と言えるのか？
ここまでの内容を整理すると、結論は次のようになります。
- スマホは近距離で見ることが多く、目の筋肉への負担が大きい
- タブレットは距離を保ちやすく、文字も大きいため比較的楽
- ただし、どちらも長時間・至近距離で使えば目に悪影響
- つまり、「どっちが悪いか」よりも「どう使うか」がカギになる
スマホもタブレットも、使い方を工夫すれば目に優しいツールになり得ます。
距離を取り、こまめに休憩を入れ、夜間の使用を控える——。
たったこれだけで、疲れ目のリスクをぐっと減らすことができます。
まとめ：タブレットとスマホはどっちが目に悪い？
最後にもう一度整理しましょう。
結論としては、一般的にスマホのほうが目に負担がかかりやすいです。
理由は、画面が小さく視距離が短くなりやすいから。
一方で、タブレットは距離をとって使うことができ、視線も自然に広がります。
ただし、どちらを使う場合でも、長時間の使用や姿勢の悪さが最大の敵です。
ブルーライトカットやフィルターなどの工夫も一つの方法ですが、
根本的な対策は「正しい距離」「適度な休憩」「明るさの調整」にあります。
スマホもタブレットも、上手に付き合えば目の健康を保ちながら快適に使えるツールです。
今日から少しだけ意識を変えて、あなたの目を守っていきましょう。
