2025年に登場したガーミン「Venu X1」は、ブランドの新しい方向性を象徴するモデルだ。これまでの丸型・スポーツ特化型のイメージを一新し、スクエア型の大画面とスマート機能を融合させた“日常で使えるスマートウォッチ”として注目を集めている。この記事では、その実力や特徴、そして従来モデルとの違いをじっくり見ていこう。
デザインとディスプレイ —— スマートウォッチとしての完成度
Venu X1でまず目を引くのは、2インチのAMOLEDディスプレイだ。従来のGarmin製品では丸型が主流だったが、このモデルではスクエア型を採用。これにより表示領域が広がり、通知や地図、ワークアウトデータなどが見やすくなっている。
解像度は448×486ピクセルで、発色が非常に鮮やか。サファイアクリスタルレンズを使っているため傷に強く、日常使いでも安心だ。ケースの厚みは7.9mmと薄型で、重量も約40gと軽い。長時間装着しても疲れにくく、スーツにもスポーツウェアにも合うデザインだ。
スマート機能 —— 通話も決済も、時計だけで完結
Venu X1はGarminの中でも「最もスマートウォッチらしい」モデルだと言える。スピーカーとマイクを内蔵し、スマホに接続すれば通話や音声コマンドの操作が可能。手元で電話を取れるのは想像以上に便利だ。
また、Suicaをはじめとする非接触決済にも対応。ちょっとした買い物や改札通過も時計だけで済ませられる。さらに、32GBのストレージに音楽を保存してオフライン再生ができるため、ランニング中にスマホを持たなくても音楽が楽しめる。
地図表示機能も充実しており、フルカラーのTopoActiveマップでナビゲーションが可能。夜間のトレーニングやキャンプでも役立つLEDフラッシュライトも搭載している。こうした機能の組み合わせが、Venu X1を“日常+アクティブ”両対応の万能モデルにしている。
健康管理とトレーニング機能 —— Garminらしい精度と多機能性
Garminといえば、健康・スポーツデータの精密な計測で知られている。Venu X1もその例に漏れず、心拍数・血中酸素濃度(SpO₂)・ストレスレベル・体温・呼吸数など、日々のコンディションを細かく記録できる。
さらに睡眠トラッキングでは、就寝時の体の動きや睡眠段階を自動で分析。スコアとして可視化してくれるので、翌朝の体調チェックにも役立つ。薄型で装着感が軽いため、寝ている間もストレスが少ないのは嬉しいポイントだ。
トレーニング面でも、Venu X1は非常に幅広い。
- 100種類以上のスポーツアプリをプリインストール
- Garmin Coachによるパーソナルプランの作成
- トレーニングレディネス、持久力スコア、ヒルスコアなどの高度なデータ解析
これらの機能を駆使すれば、ランニングや筋トレ、ヨガ、サイクリングといった幅広い活動を科学的にサポートできる。
バッテリー性能と使い勝手 —— 日常利用で1週間安心
Venu X1のバッテリーは、スマートウォッチモードで最大約8日間持続する。常時表示(AOD)をオフにすれば、さらに長く使える。GPSを使用したトレーニング時でもおよそ14〜16時間稼働し、日常的なジョギングやサイクリングなら十分な性能だ。
充電スピードも速く、1時間ほどで満充電に近い状態まで回復する。急いでいる朝でも、支度の間にチャージが完了するのは地味に便利だ。
着け心地も高評価で、軽量ボディと柔らかなバンドが肌になじむ。ナイロン製バンドは通気性もよく、長時間の使用でも蒸れにくい。睡眠中も違和感なく装着できるため、健康データを途切れず取得できるのも魅力だ。
Venu 3など最新モデルとの違い
Venu X1の登場により、Garminのスマートウォッチラインナップは大きく整理された。前モデル「Venu 3」と比較すると、進化点は以下のようにまとめられる。
- ディスプレイ:丸型→スクエア型へ変更(2インチの大型化)
- スピーカーとマイク性能の強化
- ストレージ容量が約2倍に増加(32GB)
- LEDライトの追加
- 軽量化・薄型化による装着感の改善
一方で、Venu 3に搭載されていたECG(心電図)機能はX1では非対応。このため、医療用途や心拍異常検知を目的とするユーザーには物足りないかもしれない。
Venu X1はあくまで「スマートウォッチ寄り」の立ち位置。スポーツ特化のForerunnerシリーズやアウトドア向けのFenixシリーズとはターゲットが異なり、ライフスタイル全体を支えるバランス型モデルと言える。
実際の評判とレビューから見える実力
発売直後から多くのレビューサイトやユーザーがVenu X1を高く評価している。特に挙げられるのは次の点だ。
良い点
- ディスプレイが明るく、地図や通知が見やすい
- 通話・決済・音楽再生など日常機能が充実
- 睡眠トラッキングや健康データの精度が高い
- 軽くて装着感が良く、睡眠中も快適
気になる点
- GPS使用時のバッテリーはもう少し伸びてほしい
- タッチ操作が汗や雨で反応しにくいときがある
- 価格が高めで、入門機としてはハードルがある
総合的に見ると、「スマートウォッチとして完成度が高く、健康管理も妥協しない」という評価が多い。Garminらしい信頼性を保ちながら、日常生活により寄り添った設計が好評を得ている。
どんな人に向いているか
Venu X1は、次のような人に特におすすめだ。
- 健康管理をしっかり行いたいが、ゴツいスポーツウォッチは避けたい人
- 通勤や日常でスマートウォッチを活用したい人
- スマホを出さずに通話や決済を済ませたい人
- デザイン性と実用性を両立した時計を探している人
一方で、ウルトラマラソンや長時間登山など「過酷な環境でのGPS使用」を想定している場合は、Enduroといった上位シリーズの方が向いている。
ガーミンVenuX1の実力を総まとめ
Venu X1は、Garminが築いてきた“トレーニングウォッチ”の世界を超え、日常生活までシームレスにつなげた新しい形のスマートウォッチだ。
2インチの大画面、軽量設計、豊富なスマート機能、精度の高い健康モニタリング。これらが絶妙なバランスで融合している。価格はやや高いが、その分長く使える完成度を備えている。
ガーミンVenuX1は、「健康」「便利」「スタイル」のすべてを求める人にこそふさわしい1本だ。
スマートウォッチ選びで迷っているなら、ぜひ一度手に取ってその実力を確かめてみてほしい。
