タブレットを選ぶとき、「どのCPU(SoC)が入っているか」で迷う人は多いはず。
動作の軽快さ、アプリの立ち上がり、バッテリーの持ち、動画編集やゲームの快適さ——そのすべてに関わってくるのがSoC(System on a Chip)です。
この記事では、最新のタブレット向けCPUを徹底比較し、それぞれの特徴やおすすめ用途をわかりやすく紹介します。
難しい用語はなるべくかみ砕いて説明するので、購入を検討している人も、違いを知りたい人も参考にしてみてください。
SoCとは?CPUと何が違うの?
まず押さえておきたいのが、「SoC」という言葉。
CPUは演算を担当する頭脳の部分ですが、タブレットやスマートフォンのチップは、CPUだけでなくGPU(画像処理)、メモリコントローラ、AI処理ユニット、通信モデムなどをひとまとめにした「SoC(System on a Chip)」という形で搭載されています。
つまり、SoCが良ければCPUもGPUも通信性能もバランスよく高くなり、快適に使えるということ。
逆にSoCの性能が低いと、アプリがもたついたり、複数タスクが重くなったりするわけです。
Apple Mシリーズ:iPadのパフォーマンスを引き上げた存在
Appleは独自開発のSoC「Mシリーズ」を iPad Proに採用しています。
M1から始まり、現在はM3、M4、さらには次世代のM5が登場し、性能と効率が進化し続けています。
M1:iPadを“PCに近づけた”最初のチップ
M1は2021年に登場。 iPad Proや iPad Airに搭載され、当時のAndroidタブレットを圧倒する性能を見せました。
動画編集や画像加工、3Dアプリもサクサク。8コアCPUと8コアGPU、ユニファイドメモリによって、デスクトップ級の処理をモバイルで実現したのです。
M3〜M5:高性能と省電力の両立
M3ではGPUとメモリ帯域が強化され、クリエイティブ作業での処理速度がさらに向上。
M4やM5になると、AI処理(ニューラルエンジン)の性能も伸び、4K動画編集や3Dレンダリングも軽快に動きます。
Mシリーズの最大の特徴は、単一コア性能が非常に高く、処理のキビキビ感が際立つこと。
また、発熱が少なく、バッテリー持ちも優秀。iPadで長時間作業しても快適さが続く理由です。
Snapdragonシリーズ:Androidタブレットの主力SoC
Android陣営で最もシェアが高いのが、Qualcomm(クアルコム)の「Snapdragon」シリーズです。
エントリーからハイエンドまで幅広く展開されており、性能と安定性のバランスが良いのが特徴です。
ハイエンド:Snapdragon 8 Genシリーズ
最新のSnapdragon 8 Gen 5や8 Eliteは、ゲームやクリエイティブ用途にも十分対応できる超高性能チップです。
AnTuTuスコアは300万点台後半に達し、GPU性能では一部のAppleチップを上回る場面もあります。
3Dゲーム、動画編集、マルチタスクを難なくこなし、5GやWi-Fi 7といった最新通信にも対応しています。
ミドルレンジ:Snapdragon 7シリーズ
Snapdragon 7+ Gen 3などのミドルレンジチップは、コストを抑えつつ快適な日常利用ができる優等生。
動画視聴、SNS、軽いゲームなら十分スムーズで、バッテリー効率も良好です。
Snapdragonの強みは、幅広い価格帯で安定したパフォーマンスを提供できること。
特に通信モデムの品質や互換性に優れており、タブレットの使い勝手を支える縁の下の力持ちです。
MediaTek Dimensityシリーズ:高コスパの新勢力
台湾のMediaTekが展開する「Dimensity」シリーズは、近年Androidタブレットでも存在感を増しています。
特にDimensity 9400や9500は、性能面でSnapdragonと肩を並べるレベルに到達しました。
Dimensity 9500は8コア構成で、AI処理とGPU性能が大幅に向上。
映像やゲーム、マルチタスク処理でバランスの良い快適さを発揮します。
価格に対して性能が高く、コストパフォーマンスを重視するユーザーから注目を集めています。
MediaTekのSoCは電力効率にも優れ、長時間駆動を求めるタブレットとの相性も良好です。
Snapdragonと比べると若干発熱しやすい世代もありますが、最近は冷却設計の工夫により改善されています。
エントリーモデル:日常使いなら十分な性能
1万円台〜2万円台のタブレットに多いのが、Unisoc(ユニソック)やMediaTek Helioシリーズなどのエントリー向けSoCです。
これらはCPU性能こそ控えめですが、動画視聴や電子書籍、ネット閲覧、SNSなどには十分なスペックを備えています。
ライトユーザーやサブ機として使う人にはコスパの良い選択肢。
ただし、高解像度ゲームや動画編集には力不足なので、用途に合わせて割り切ることが大切です。
ベンチマークで見る最新SoCの実力
ベンチマークはSoCの性能を数値で比較できる指標です。
代表的なAnTuTuやGeekbenchを基準に見てみると、2025年現在の傾向は以下のとおりです。
- Snapdragon 8 Elite Gen 5:約380万点(AnTuTu 10)
- Dimensity 9500:約350万点
- Apple M3:CPU単一スレッド性能が非常に高く、実使用での反応が速い
- Snapdragon 7+ Gen 3:200万点前後(中上位帯)
- Helio / Unisoc系:50万〜80万点(エントリー)
この数字だけを見るとSnapdragonやDimensityが上位に感じられますが、ベンチマークはOSや最適化の違いで単純比較できない点に注意。
iPadOSとAndroidでは処理方式が異なるため、実際の体感は必ずしもスコア通りにはなりません。
用途別おすすめSoCの選び方
1. 動画・SNS・ネット中心なら
ミドルレンジSoC(Snapdragon 7系やDimensity 800〜900番台)で十分。
価格を抑えつつ、ストレスのない操作感が得られます。
2. ゲームやエンタメ重視なら
Snapdragon 8シリーズやApple M3以上が理想。
3D描画や高リフレッシュレート表示にも対応し、発熱もコントロールされています。
3. クリエイティブ作業・学習用なら
動画編集やデザイン、プログラミングなどを行うならApple Mシリーズ一択。
高いCPU・GPU性能に加え、メモリ帯域の広さが作業効率を大きく左右します。
4. サブ機・子ども用なら
HelioやUnisocなどのエントリーSoCが最適。
YouTube視聴や学習アプリなら性能的に十分で、価格面の負担も少なめです。
タブレット選びでSoC以外に見るべきポイント
SoCが重要なのは間違いありませんが、それだけで快適さが決まるわけではありません。
あわせて注目しておきたいのが次の要素です。
- メモリ(RAM):最低でも6GB以上、余裕があれば8GB以上が望ましい
- ストレージ速度:UFS規格対応ならアプリの起動が速い
- ディスプレイ:リフレッシュレート90Hz以上で滑らか表示
- 放熱性能:特に高性能SoCは冷却設計が大切
- OS最適化:iPadOSはアプリ対応が豊富で安定、Androidは柔軟性が魅力
SoCとこれらのバランスが取れているタブレットが、実際に“快適に使える”製品と言えます。
今後のタブレットCPU進化の方向性
2025年以降、タブレット向けSoCは「AI処理」と「電力効率」を中心に進化すると見られています。
各メーカーはAIエンジンを強化し、写真の自動補正、リアルタイム翻訳、音声認識などをより高速・省電力に行えるよう開発を進めています。
また、チップ製造プロセスの微細化(3nm〜2nm世代)により、熱を抑えながら性能を上げることが可能に。
結果として、より薄く軽いタブレットでも高性能が維持できる時代が近づいています。
タブレットCPUを徹底比較!自分に合ったSoCを選ぼう
タブレットの使い勝手を決める最重要パーツ、SoC。
AppleのMシリーズは圧倒的なCPU効率と安定感を誇り、SnapdragonやDimensityは高性能と通信性能、コスパのバランスで支持を集めています。
一方、ライトユーザーにはエントリーSoCでも十分満足できるケースが多いでしょう。
「自分は何に使うのか」を基準にSoCを選ぶことで、価格と性能のバランスを最適化できます。
高性能を求めるのも、手軽さを重視するのも正解。
タブレットCPUを徹底比較!最新SoCの実力と用途別おすすめを解説して、自分のスタイルにぴったりの一台を見つけてください。
