最近、街中でも「スマートウォッチ」を身につけている人が増えました。健康管理や通知確認のために使っている人が多いですが、実はスマホがなくても通信や通話ができる「SIM内蔵スマートウォッチ」というタイプがあるのをご存じでしょうか?
この記事では、SIM内蔵スマートウォッチの仕組みや対応キャリア、選び方や注意点までをわかりやすく解説します。
スマートウォッチにSIMを内蔵すると何ができるの?
通常のスマートウォッチは、スマートフォンとBluetoothでつなぐことで通知を受け取ったり、アプリを連携してデータを同期したりします。
しかしSIMを内蔵したスマートウォッチ(セルラーモデル/LTEモデル/eSIM対応モデル)は、通信モジュールを本体に搭載しており、スマホが手元になくても単体で電話をかけたり、メッセージを送受信したり、インターネットに接続できます。
簡単にいえば、「腕に装着できる小さなスマートフォン」と言ってもいいでしょう。
たとえばランニング中にスマホを持ち歩かなくても、スマートウォッチだけで通話や音楽ストリーミングができる。そんな自由さが人気の理由です。
物理SIMとeSIMの違いを知っておこう
SIM内蔵スマートウォッチといっても、すべて同じ仕組みではありません。主に2種類の方式があります。
- 物理SIMスロット搭載型:nanoSIMカードを直接ウォッチに挿入するタイプ。海外製モデルやAndroid系に多く見られます。
- eSIM内蔵型:本体にあらかじめ組み込まれたSIMチップに、契約情報(プロファイル)をダウンロードして使うタイプ。Apple WatchやGalaxy Watchの最新モデルはこちらが主流です。
eSIMはカードの抜き差しが不要で、オンラインで設定できる手軽さが魅力。通信の安定性も高く、今後はこちらが主流になっていくと考えられています。
日本国内で使える主な対応キャリア
SIM内蔵スマートウォッチを使うには、対応する通信キャリアとの契約が必要です。ここでは代表的な4社のサービスを紹介します。
ドコモ:ワンナンバーサービス
スマホと同じ電話番号をウォッチでも使えるサービス。月額550円ほどで利用でき、通話・メッセージ・データ通信に対応。Apple Watchや一部のWear OSモデルで利用可能です。
au:ナンバーシェア
auのスマホ契約者が追加料金(約385円)でウォッチを同番号で使えるサービス。Apple Watch向けに最適化されており、iPhoneユーザーに人気があります。
ソフトバンク:モバイル通信サービス
こちらもスマホの番号を共有するタイプで、月額385円前後。Apple WatchやGalaxy Watchが対象です。
楽天モバイル:電話番号シェアサービス
楽天モバイルの回線を使って、Apple Watchで単体通信が可能。料金は月額550円程度。まだ対象機種は限られますが、eSIM対応で設定が簡単です。
どのキャリアも共通しているのは、「スマホと同じ番号を使えること」と「追加の月額費用がかかること」。また、キャリアによっては特定機種にしか対応していないため、購入前に必ず確認しましょう。
格安SIMでも使える?MVNO利用の現状
近年は格安SIM(MVNO)でもeSIMサービスを提供する会社が増えてきました。
IIJmio、povo、LINEMOなどがその例ですが、スマートウォッチ対応はまだ限定的です。スマホと同番号で使える「番号シェア」はほとんどが大手キャリア限定で、MVNOではウォッチ専用の回線を契約して使うケースが一般的です。
料金は安く済む一方で、通話が制限される、動作保証がないといった注意点も。コスト重視でチャレンジする価値はありますが、安定性やサポートを求めるなら、現状は大手キャリアのプランを選ぶ方が安心です。
SIM内蔵スマートウォッチのメリット
1. スマホなしで通話や通信ができる
最大の魅力はこれです。スマホを持ち歩かなくても、通話・メッセージ・音楽ストリーミングなどをウォッチだけで利用可能。スポーツや散歩、買い物など、身軽に動きたいシーンで便利です。
2. 子どもや高齢者の見守りにも
位置情報共有やSOS機能を備えたモデルもあり、家族の安全確認にも役立ちます。特に小学生向けの通信ウォッチは、親のスマホから見守りアプリで連携できるものもあります。
3. 緊急時の通信手段として
スマホの電池が切れた、忘れたというときも、ウォッチが通話可能なら緊急連絡が取れます。日常的な安心感が増すのも大きな利点です。
デメリットと注意点もチェック
バッテリーの減りが早い
常に通信を行うため、スマホ連携モデルよりも電池の消耗が早い傾向があります。1日〜2日に一度の充電が必要になるケースも多いです。
月額費用がかかる
回線契約が必要なため、スマホ料金に加えて月数百円〜千円程度のコストが増えます。ランニングや出張など特定の場面でしか使わない人は、コスパを考えるとGPSモデルで十分かもしれません。
対応キャリア・機種の制限
国内キャリアがすべてのスマートウォッチに対応しているわけではありません。特に海外製のAndroidウォッチは動作確認が取れていない場合があるため、購入時に要チェックです。
購入前に確認したいポイント
- 通信方式:LTEモデルかeSIM対応かを確認。
- 対応キャリア:契約予定の通信会社で利用可能か調べる。
- OS互換性:iPhone用/Android用など、スマホとの連携可否。
- 用途:ランニング・見守り・通話など、自分の目的に合うか。
- 料金:月額費用・初期設定料・データ容量を把握しておく。
特に「スマホなしで通話できる」といっても、アプリの通知や一部機能はスマホと連携しないと使えない場合があります。どこまで単体で完結できるかは機種によって異なります。
実際の設定と使い方の流れ
- 購入:HUAWEI WATCH 4などのセルラーモデルやeSIM対応モデルを選ぶ。
- 契約:キャリアのナンバーシェアサービスなどを申し込む。
- 設定:スマホアプリからeSIMをアクティベートし、プロファイルをダウンロード。
- ペアリング:スマホとウォッチをBluetoothで接続し、各種設定を同期。
- 利用開始:通話・通知・音楽・ヘルスケア機能を試す。
設定自体は難しくありません。特にApple WatchやGalaxy Watchは、アプリの指示通りに進めるだけで簡単に完了します。
今後の進化と展望
スマートウォッチ市場は、健康管理から通信端末としての役割へと進化しています。
eSIM技術の普及により、今後は「スマホを持たないライフスタイル」がより現実的になるでしょう。海外ではすでに、ウォッチ単体での決済や本人確認が一般化しつつあり、日本でも同様の流れが進むと考えられます。
また、子どもやシニア向けの「見守りウォッチ」、企業での業務用通信端末など、用途の幅も広がっています。
通信技術(5GやLPWA)の発展によって、より小型で高性能なスマートウォッチが登場するのも時間の問題です。
まとめ:SIM内蔵スマートウォッチとは?対応キャリアや使い方を徹底解説
SIM内蔵スマートウォッチは、スマホに縛られない自由な通信デバイスです。
物理SIMやeSIMを内蔵し、通話やメッセージ、データ通信を単体でこなせるのが大きな魅力。ドコモ・au・ソフトバンク・楽天モバイルなど主要キャリアが対応しており、番号シェアや専用プランを利用すれば、誰でも気軽に始められます。
一方で、バッテリー消費や月額費用、対応機種の制限など、注意すべき点もあります。
それでも、「スマホを持たずに動ける便利さ」を一度体験すれば、その快適さに驚くはず。
これからの時代、腕一本で通信できる生活が、あなたの新しいスタンダードになるかもしれません。
