ゲームをするとき、PC本体にモニター、スピーカー、ルーター、充電器…と、つい電源をたくさん使ってしまいますよね。気づけばコンセントが足りず、電源タップをいくつもつなげて“タコ足配線”状態に。
でもそのままにしておくと、発熱やトラブルの原因になることがあります。この記事では、ゲーミングPCでタコ足配線がなぜ危険とされるのか、そして安全に電源を取るための正しい方法をわかりやすく紹介します。
タコ足配線とは?まずは基本を整理しよう
タコ足配線とは、延長コードや電源タップに複数の機器をつなぎ、さらにそこに別のタップをつなぐなど、電源を何重にも分岐させる配線方法のこと。
名前の通り、タコの足のようにケーブルが広がっている状態を指します。
この配線方法は一見便利に見えますが、電気的にはかなりリスクの高い行為です。特にゲーミングPCのように電力消費が大きい機器を使う環境では、少しの油断が過負荷や発火につながる恐れがあります。
ゲーミングPC環境でタコ足配線が危険な理由
ゲーミングPCが普通のパソコンよりもタコ足配線に弱いのには、ちゃんとした理由があります。
1. 消費電力が圧倒的に大きい
ハイスペックなゲーミングPCは、高性能CPUやGPUを搭載しているため消費電力が大きく、300〜600Wを超えることも珍しくありません。
これに加えて、モニターやスピーカー、外付けHDD、ゲーム機などを同じタップにまとめると、すぐに1,000Wを超える負荷がかかります。
一般家庭のコンセントは「最大1,500W(15A)」が目安。余裕を持たせて1,200Wくらいまでに抑えるのが安全です。これを超えると、コードが発熱したり、ブレーカーが落ちたり、最悪の場合は火災に至るケースもあります。
2. 電圧が不安定になりやすい
タコ足配線では、コードの長さや分岐が増えるほど抵抗が大きくなり、電圧降下が起きやすくなります。
その結果、PCへの電力供給が不安定になり、動作が不安定になることも。
「ゲーム中に突然再起動した」「配信中にPCが落ちた」という経験がある人は、配線が影響している可能性もあります。
3. 配線やタップの劣化・発熱
電源タップや延長コードは消耗品です。長期間使うと内部の金属部分が摩耗し、接触不良や発熱が起こることがあります。
そこに高負荷をかけると、発火リスクが一気に上昇します。
特にタップを重ねて使う「多段タップ」は熱がこもりやすく、埃がたまるとトラッキング火災の原因にもなります。
過負荷による危険なサインを見逃さない
配線の危険信号はいくつかあります。次のような症状が出ていたら、すぐに見直しを。
- プラグやコードが熱い・柔らかくなっている
- タップから焦げ臭いにおいがする
- 差し込み口がゆるい、ぐらつく
- ケーブルが束ねられたまま熱を持っている
- ブレーカーがよく落ちる
これらはすべて過負荷や接触不良のサインです。使い続けるのは危険なので、早めの交換や配線の改善が必要です。
安全に電源を取るための正しい方法
危険を避けるために、今すぐできる具体的な対策を紹介します。
1. 消費電力を把握する
まず、自分の機器がどれくらい電力を使っているかを把握しましょう。
PC、モニター、スピーカー、ルーター、充電器などの合計を出し、「1,200W以下」に収めるのが理想です。
取扱説明書や裏面のラベルに「W(ワット)」表示があるので確認を。もし不明な場合は、消費電力測定器を使うのもおすすめです。
2. 定格容量を確認する
電源タップや延長コードにも「定格容量」があります。
家庭用なら多くが「1,500W」ですが、安価なものだと1,200W以下のタイプもあります。
これを超えて使うとタップ内部が熱を持ち、発火する危険があります。
3. 高品質な電源タップを使う
長時間稼働させるゲーミングPC環境では、安全機能付きのタップを使うのが鉄則です。
おすすめは以下のような機能を持つもの。
- 雷ガード付き
- 過電流ブレーカー搭載
- ホコリ防止シャッター付き
- 絶縁キャップ付きプラグ
安物のタップを使うよりも、信頼できるメーカー品を選びましょう。価格差以上の安心が得られます。
4. 延長コードの長さにも注意
長い延長コードを何本もつなぐのはNG。電圧降下を起こしやすく、発熱リスクが高まります。
必要な長さ+少し余裕がある程度にとどめましょう。
5. ケーブルを束ねない・隠さない
コードを束ねたり、家具やカーペットの下に隠すのは避けましょう。
熱がこもり、被覆が劣化しやすくなります。
見た目をスッキリさせたいなら、ケーブルホルダーやスパイラルチューブなど“通気性を保てる整理グッズ”を使うのが安全です。
6. 配線を分散させる
「タコ足配線をやめる=全部別のタップにする」というのは極端ですが、分散接続を意識することが大事です。
たとえば、PC本体は壁コンセント直挿し、モニターやスピーカーは別のタップに分けるなど。
家電(エアコンや電子レンジなど)と同じ回路に繋がないこともポイントです。
タコ足配線でも“安全に使う”ための条件
「タコ足配線=即アウト」というわけではありません。
次の条件を守れば、一定の安全性を保って使用できます。
- 定格容量を超えないこと
- タップを二重につながない(多段接続しない)
- 発熱・焦げ・異臭がないか定期的にチェックする
- ホコリや湿気を防ぐ環境で使う
- 数年ごとにタップを買い替える
つまり、「正しく理解して安全に扱えば、タコ足でも問題は起きにくい」ということ。
危険なのは、容量や使い方を意識せずに“なんとなく”つなげてしまうケースです。
ゲーミングPC環境でおすすめの電源管理スタイル
最後に、筆者が考える理想的なゲーミングPC用電源環境を紹介します。
- PC本体は壁コンセントに直接接続
最も安定した電源供給が得られます。延長コードを挟まないのがベスト。 - モニターや周辺機器は高品質タップで分散接続
消費電力が少ない機器は、雷ガード付きのタップにまとめてもOKです。 - 部屋の別コンセントを活用する
別の壁面や回路のコンセントを使えば、電流の偏りを避けられます。 - コード類は見える場所に設置し、定期的に点検
熱を持っていないか、プラグが緩んでいないかをチェックする習慣をつけましょう。
こうした小さな工夫で、安全性も快適さも大きく変わります。
まとめ:ゲーミングPCにタコ足配線は危険?安全な配線で快適プレイを
ゲーミングPCの環境では、タコ足配線は“便利だけどリスクが高い”存在です。
消費電力の把握、定格容量の確認、タップの品質、そして定期的な点検。
これらを意識するだけで、電気トラブルの多くは防げます。
ゲームのパフォーマンスを最大限に引き出すには、ハードウェアの性能だけでなく「電源の安定」も欠かせません。
安全でスマートな配線を整えて、思いっきりゲームを楽しみましょう。
