突然の停電で、せっかくのゲーミングセッションが中断――そんな経験、ありませんか？
高性能なゲーミングPCほど電力トラブルの影響を受けやすく、データ破損やハードウェア損傷のリスクも高まります。
そんなとき頼りになるのが「UPS（無停電電源装置）」です。この記事では、ゲーミングPCを守るためのUPSの選び方と、失敗しないポイントをわかりやすく解説します。
UPSとは？ゲーミングPCに必要な理由
UPS（Uninterruptible Power Supply）は、停電や瞬時の電圧変動が起きたときに、一時的に電力を供給してPCを安全にシャットダウンさせるための装置です。
つまり、電源トラブルの「保険」。
ゲーミングPCは一般的なPCよりも電力を多く消費し、繊細な電子部品が高密度に詰まっています。そのため、次のような状況ではUPSが真価を発揮します。
- 停電で突然PCが落ち、SSDやOSが破損するリスクを防ぐ
- 電圧の乱れや瞬断から高価なGPU・電源ユニットを守る
- ゲーム配信やオンライン対戦中の「強制離脱」を防止する
UPSは数分間のバックアップ電力を供給し、その間にデータ保存や安全なシャットダウンが可能です。
つまり、「ゲームを続ける」ためではなく「ゲームを守る」ための装置だと覚えておきましょう。
UPSを選ぶときに見るべき6つのポイント
1. 出力波形の種類 ― アクティブPFC電源には純正弦波を
ゲーミングPCの多くは「アクティブPFC電源ユニット」を採用しています。
このタイプの電源は“波形”に敏感で、擬似正弦波のUPSを使うと相性が悪く、異音や動作不安定の原因になることも。
したがって、UPSを選ぶなら「純正弦波出力対応モデル」を選びましょう。
さらに、UPSには主に3種類の方式があります。
- スタンバイ（オフライン）方式：もっとも安価だが、切り替えに数ミリ秒の遅延あり
- ラインインタラクティブ方式：電圧補正機能があり、家庭用では最もバランスが良い
- オンライン（常時インバータ）方式：常に安定した電力を供給、転送時間ゼロだが価格が高め
ゲーミング用途では、「ラインインタラクティブ方式」か「オンライン方式」がおすすめです。
2. 容量の目安 ― VAとワット数を理解する
UPSの性能を表す単位には「VA（ボルトアンペア）」と「W（ワット）」があります。
PC本体・モニター・ルーターなど、接続機器の合計消費電力を見積もり、20〜30％の余裕を持たせて選ぶのが基本です。
おおよその目安は以下の通りです。
- ミドルクラスPC（消費約400W） → 900VA〜1000VA
- ハイエンドPC（消費約600W以上） → 1300VA以上
特にRTX 4080/RTX 4090など高性能GPUを搭載したPCでは、電源瞬間負荷が大きいため余裕をもたせましょう。
3. バッテリー駆動時間 ― 「何分持つか」より「安全に落とせるか」
UPSの駆動時間はモデルや負荷によって異なりますが、多くの家庭用UPSでは5〜15分程度が一般的です。
この時間を「ゲームを続けるため」と考えるのではなく、「セーブして安全に電源を切るため」と考えるのがポイント。
また、外部バッテリー増設対応モデルを選べば、後から駆動時間を延ばすことも可能です。
長時間運用を目的にするなら、そうした拡張性にも注目してみましょう。
4. コンセント数と接続機器の整理
UPSの出力には2種類あります。
- バッテリー対応出力：停電時も電力を供給
- サージ保護のみ出力：雷や過電圧から守るが、停電時は使えない
停電時に動かしたい機器（PC・モニター・ルーターなど）はバッテリー対応側に、
一時停止しても問題ない機器（スピーカー・プリンターなど）はサージ保護側に接続するのが効率的です。
加えて、LCD画面で残量が確認できるモデルや、USB経由でPCに接続して自動シャットダウンできる機種も便利です。
5. メンテナンス性と寿命を考慮
UPSは「使い捨て」ではありません。
内蔵バッテリーには寿命があり、一般的に3〜5年ごとに交換が必要です。
交換可能バッテリー対応モデルを選んでおくと、長期的に運用コストを抑えられます。
また、UPSを高温・多湿な環境に置くとバッテリー劣化が早まります。
通気性の良い場所に設置し、年に1度は自己診断テストを行うと安心です。
6. 保証・サポートも要チェック
UPSメーカーの中には「接続機器保証（Connected Equipment Warranty）」を提供しているところもあります。
これは、UPSが原因で接続機器に損害が発生した場合に補償を受けられる制度です。
高価なゲーミングPCを守るうえで、保証範囲やサポート体制も選定基準に入れておくとよいでしょう。
よくある失敗と注意点
UPS選びでよくある失敗は次のようなケースです。
- 擬似正弦波タイプを買ってPCが不安定になった
- 容量不足で、停電時に数秒で落ちてしまった
- UPSにつなぐ機器を多くしすぎて過負荷になった
- 設置場所が悪く、熱でバッテリー寿命が短くなった
また、UPSを導入したからといって「電力問題は全て解決」と思い込むのは危険です。
雷サージ、コンセントの老朽化、電源タップの品質なども合わせて対策しましょう。
実際に導入するときの流れ
- 消費電力を確認する
PCパーツ構成やモニターの消費ワット数を調べ、合計値を出します。
ワットチェッカーを使うと実測も可能です。 - 必要容量を算出する
合計消費電力の1.2〜1.3倍を目安にUPS容量（VA）を決定。 - 設置場所を決める
通気性があり、振動や高温を避けられる場所に設置。 - 定期点検と交換
半年〜1年に一度は動作テスト。バッテリー交換時期を把握しておく。
この流れを押さえておけば、導入後も長く安心して使えます。
ゲーミングPCにUPSを導入するメリットまとめ
改めて、UPSを導入することで得られるメリットを整理します。
- 停電・瞬停・電圧変動からPCを守る
- データ破損やハードウェア損傷を防止
- 安心してオンライン対戦や配信ができる
- バッテリー時間を活かして安全にシャットダウン可能
- 雷や過電圧からのリスクも低減
導入コストは数万円ですが、守れるものを考えれば安い投資です。
特に、ストリーマーや競技ゲーマーのように“電源が命”の環境では必須といっても過言ではありません。
UPSの選び方！ゲーミングPCを守るための最適なモデルとは【まとめ】
ゲーミングPCの性能を最大限に発揮するためには、安定した電源環境が欠かせません。
UPSはその中核となる存在であり、停電や電圧変動からPCを守る最後の砦です。
選ぶ際は「純正弦波」「余裕のある容量」「適切な接続」「定期メンテナンス」。
この4つを意識すれば、失敗はまずありません。
あなたのゲーミング環境を、UPSで一段上の安心へ。
「UPSの選び方！ゲーミングPCを守るための最適なモデルとは」――
この記事が、あなたの大切なマシンを守るきっかけになれば幸いです。
