ワイヤレスイヤホン、便利ですよね。
コードがないから家事の合間にも使いやすく、通勤中も快適。でも、その小ささが思わぬ事故を引き起こすことがあるのをご存じでしょうか。最近、子どもや高齢者による“AirPods”の誤飲事故が実際に報告されています。
この記事では、その実態と原因、そして家庭でできる安全対策を、やさしく丁寧に解説します。
小さなイヤホンが命を脅かす？実際に起きている誤飲事故
近年、医療機関や消費者庁などに寄せられる「イヤホンの誤飲」に関する報告が増えています。
例えば、0歳の赤ちゃんがイヤホンのパーツを飲み込んで食道に詰まったケース、就寝中に大人がイヤホンを口に入れてしまったケースなど、国内外で複数の事例が確認されています。
一見あり得ないように思えますが、ワイヤレスイヤホンは「誤飲しやすい条件」が揃っているのです。
なぜワイヤレスイヤホンが誤飲されやすいのか
1. 小さくて手に取りやすい
完全ワイヤレス型のイヤホンは指先サイズ。乳幼児の手でも簡単につかめます。子どもは「なんでも口に入れて確かめる」時期があり、その対象がイヤホンでも不思議ではありません。
2. コードがないから落ちやすい
コード付きイヤホンなら首やポケットに繋がっていましたが、ワイヤレスは独立しています。机やソファにポンと置いて、うっかり落とす。その拍子に赤ちゃんが拾って口に入れてしまう、というパターンが多いです。
3. 電池入りで見た目が“お菓子っぽい”
光沢のある素材や丸みのある形状は、小さな子どもにとってまるでキャンディのよう。中には充電式のリチウムイオン電池が内蔵されており、飲み込むと化学的な危険を伴うこともあります。
4. 高齢者にも起こりうる
誤飲は子どもだけの問題ではありません。認知症のある高齢者や視力の弱い方が、テーブルに置かれたイヤホンを薬や食べ物と勘違いして飲み込むケースも報告されています。
誤飲するとどうなる？軽視できないリスク
ワイヤレスイヤホンは、形状も材質も“体に入る前提ではない”製品です。
もし飲み込んでしまった場合、以下のようなリスクがあります。
- 食道や気道に詰まり、窒息する
- 消化器官にとどまり、腸閉塞や穿孔（腸に穴があく）を引き起こす
- 内蔵された電池が破損して、化学火傷や内臓損傷を起こす
- 金属部分が粘膜を傷つけ、出血や炎症を起こす
特に小さな子どもや高齢者では、自覚症状が出にくく、発見が遅れやすいのが問題です。
「気づいたときには手遅れだった」という深刻な事態を防ぐためには、早期対応が何より大切です。
誤飲が疑われたらすぐに病院へ
もしイヤホンや部品の片方が見当たらない、子どもや高齢者が口元を押さえている、苦しそうにしている——。そんなときは、自己判断で待たず、すぐに医療機関を受診してください。
受診時は、残っているもう片方のイヤホンを必ず持参しましょう。
医師が材質やサイズを確認し、レントゲン検査などで正確に位置を特定できます。無理に吐かせたり、食べ物を飲ませたりするのは危険です。医師の判断に委ねるのが一番安全です。
子どもや高齢者がいる家庭での安全対策
1. 保管場所を変える
テーブルやソファの上など、手が届く場所に置かないこと。
使い終わったら必ず「決まった場所」に片付けましょう。棚の上や引き出しの奥など、目に入りにくく、手が届かない位置が理想です。充電も同じ場所で行うよう習慣化すると、置き忘れ防止にもつながります。
2. 就寝時の使用を避ける
「寝ながら音楽を聴く」のは気持ちいいかもしれませんが、外れたイヤホンを無意識に口に入れるリスクがあります。寝る前には必ず外す習慣をつけましょう。
3. 小物の整理を習慣化する
イヤホン以外にも、補聴器、ボタン電池、磁石、薬のカプセルなど、誤飲の危険があるものは多数あります。
子どもや高齢者のいる家庭では、「小さいもの＝誤飲リスク」としてまとめて管理することをおすすめします。
4. 子どもへの声かけ
「これは食べ物じゃないよ」「口に入れたら危ないよ」と、日常的に伝えることが予防につながります。2〜3歳くらいからは、言葉で理解する力が育ってきます。目を離すより、言葉で教える習慣を持ちましょう。
5. 高齢者には周囲のサポートを
認知機能が低下している場合、自分で誤飲に気づけないことがあります。家族や介護者が収納場所を分け、定期的に確認することが大切です。誤飲しやすい物を一箇所にまとめる「危険物ボックス」を作るのも有効です。
製品を選ぶときのチェックポイント
安全意識は「買う時」から始まります。
製品選びの際は、次の点を確認してみましょう。
- 部品が外れにくい構造か
- 充電ケースの蓋がしっかり閉まるか
- リチウム電池がむき出しにならない設計か
- 子どもや高齢者の誤飲防止に関する注意書きがあるか
安価なノーブランド品の中には、品質基準を満たしていないものもあります。信頼できるメーカーや安全基準マーク（技適マーク、PSEマークなど）がある製品を選びましょう。
家庭でできる“見直しチェックリスト”
- イヤホンを使った後は毎回片付けている？
- 就寝時に装着したまま寝ていない？
- 子どもや高齢者の手が届く位置に置いていない？
- 小物類をまとめて安全に保管している？
- 充電ケースの蓋は確実に閉まっている？
この5つを習慣化するだけでも、誤飲のリスクは大きく下がります。
ワイヤレスイヤホンの誤飲を防ぐために、今日からできること
便利なワイヤレスイヤホンも、使い方や管理を誤れば危険な存在になります。
特に、子どもや高齢者がいる家庭では「小さくて丸いものは口に入るかもしれない」という視点を常に持つことが大切です。
- 置き場所を変える
- 使用習慣を見直す
- 家族でルールを共有する
この3つを意識するだけで、事故の多くは防げます。
「うちに限って大丈夫」と思わず、今すぐ身の回りを見直してみてください。
あなたの小さな気づきが、大切な命を守る第一歩になります。
