最近、テレビやYouTubeで流れているiPhoneと猫のCMに、心を奪われた人は多いんじゃないでしょうか。何気ない日常の中で、猫と暮らす人の優しい視線を切り取ったようなあの映像。見終わったあとに、なぜかほっこり温かい気持ちになる。しかも「これ、全部iphoneで撮影したんですよ」っていうんだから驚きですよね。
でも、ちょっと待って。ただ単に「可愛いな」で終わらせるのはもったいない。このCM、実はあなたが普段使っているiPhoneでも、あんな風に猫を撮れるヒントがギッシリ詰まってるんです。
今回は、この「iPhone 猫 CM」に隠されたストーリーから、出演している猫の正体、そして誰でもマネできるプロ並みの撮影テクニックまで、たっぷりとお届けします。CMを見て「もう一度見たい」「あの子猫の名前は?」「どうやって撮ってるの?」と思ったあなたの疑問、全部解決しますよ。
今、話題のiPhoneと猫のCMってどんなCM?
まずは基本のおさらいから。このCM、正式なタイトルは 「『メメ』と生きる。」 といいます。公開されたのは2023年9月、新しいiphone 15が発表されたタイミングでした。
舞台は緑豊かな長野県の一軒家。写真家である川島小鳥さんと、彼の愛猫「メメ」ちゃんの何気ない一日が、淡々と、しかし詩的に描かれています。朝、目を覚ますところから始まり、一緒に散歩に出かけ、家の中でじゃれ合い、夕暮れ時に寄り添う。ただそれだけの日常なのに、なぜか目が離せない。それがあのCMの魔力です。
出演している猫「メメ」ちゃんの正体
このCMの主役であり、最大の魅力はもちろん猫の「メメ」ちゃん。種類はスコティッシュフォールドで、くりっとした大きな目と、聞き分けの良い性格が特徴です。
実はこのメメちゃん、一般の猫じゃありません。飼い主であり、CMにも出演している川島小鳥さんは、日本を代表する写真家の一人。彼が撮影する写真集は、どこか懐かしくて、日常の一瞬の美しさを切り取ることで知られています。つまりこのCMは、写真家である川島さんの視線=メメちゃんへの愛情が、そのまま映像になったものなんですね。
そして、監督を務めたのは、数々の映画やMVを手がける三木孝浩さん。独特の世界観と、登場人物の心情を繊細に描く演出に定評があります。この二人のクリエイターがタッグを組んだからこそ、ただの機能紹介CMではなく、一本の短編映画のような仕上がりになったんでしょう。
話題のBGMは誰の曲?
映像と同じくらい印象的なのが、バックに流れる優しいギターの音色。この曲は、シンガーソングライターのHana Hopeさんが歌う 「flowers」 という楽曲です。
「蕾だった日々が 優しく咲くまで」という歌詞が、川島さんとメメちゃんの関係性にぴったり重なって、涙を誘うという声も多く聞かれました。CMを見てすぐに曲名を検索した人も多いんじゃないでしょうか。AppleのCMはBGMのセンスも抜群で、それがまた話題になる一因ですね。
なぜ人は感動する?CMに隠された「視線」の秘密
さて、ここからが本題です。このCMがただの猫動画ではなく、多くの人の心を掴んだ理由。それは 「視線」をテーマに据えた演出にあります。
もう一度、CMを思い浮かべてみてください。カメラは常に、猫の目線か、あるいは猫を見つめる川島さんの目線なんです。しゃがみ込んで猫と遊ぶシーン、寝ている猫をそっと覗き込むシーン。カメラ=私たち視聴者の視線が、常に猫と同じ高さ、または猫を見守る人の高さにあることで、まるでその場にいるような臨場感が生まれます。
三木孝浩監督は、こんな言葉を残しています。
「iphoneのカメラは、被写体への愛情をそのまま映し出してくれるような気がします。まるでそこにいるかのような、息遣いまで感じられる映像を目指しました。」
つまり、テクノロジーの進化が、人の自然な「視線」や「愛情」を、邪魔をせずにそのまま記録することを可能にした。感動の正体は、まさにそこにあったんですね。
メイキング映像から見えた「プロの仕事」
Appleの公式サイトやYouTubeでは、このCMのメイキング映像も公開されています。見るとわかりますが、もちろんプロの現場ですから、iPhoneだけをポンと渡して「はい、撮ってきて」ってわけではありません。
撮影には、スマートフォン用のジンバル(カメラを安定させる器具)や、スムーズなカメラの移動を可能にするドリー(台車)など、様々な機材が使われています。照明も、自然光を基本としながら、レフ版で光を調節したりしているシーンがありました。
でも、ここでがっかりしないでください。大事なのは、最終的な画作りに使われたiPhoneの機能そのものなんです。
- シネマティックモード: 被写体に自動でピントを合わせ続け、背景を美しくぼかす機能。CMの中で、メメちゃんの動きに合わせて、滑らかにフォーカスが移動する様子が確認できますよね。
- アクションモード: 手持ちで走りながら撮影しても、驚くほど手ブレを補正してくれます。CMの散歩シーンなどで、軽快なカメラワークを実現しているのはこの機能のおかげです。
- 4K HDR Dolby Vision: 朝の柔らかな光、メメちゃんの毛の一本一本、夕暮れ時の温かい色合い。これらの豊かな階調は、この記録方式によって可能になっています。
つまり、プロはiPhoneの可能性を最大限に引き出し、その本質的な性能を活かして映像を作り上げている。僕たちアマチュアが、同じクオリティをいきなり出せるわけではありません。でも、これらの機能の「意味」を理解して使うかどうかで、仕上がりは全く違ってくるんです。
【実践編】あなたのiPhoneで猫をもっと魅力的に撮る5つの方法
さあ、ここからは実践編。CMのテクニックを、あなたが普段使っているiphoneで再現する方法を伝授します。大切なのは、高価な機材じゃなくて、「撮り方の考え方」です。
1. まずはしゃがもう。「猫の目線」を手に入れろ
立ったまま、上から猫を撮っていませんか?それ、もったいない。猫を大きく見せたい、可愛く見せたいなら、とにかくしゃがんで、寝転がって、猫と同じ目の高さまでカメラを下げてください。
視界に入る背景がガラリと変わり、猫の世界に自分も入り込んだような一枚になります。CMのほとんどがこの「アイレベル」で撮影されているのは、決して偶然じゃありません。
2. 「シネマティックモード」を物語に使う
iphoneのカメラアプリにある「シネマティックモード」。ただボケさせればいいってもんじゃありません。これは「どこを見てほしいか」を指定する演出機能です。
- 猫がこちらを見た瞬間に、背景から猫にピントを切り替える。
- 寝ている猫の手前におもちゃを置き、ピントをゆっくりと手前に移動させる。
こんな風に、ピントの移動で小さなストーリーが作れます。撮影後でも写真アプリでフォーカスを変更できるから、色々試してみてください。
3. 動く猫には「アクションモード」と「連写」
猫は予測不能な生き物。突然走り出したり、ジャンプしたりします。そんな時は、動画ならアクションモード。手持ちの激しい動きも滑らかに記録してくれるので、一緒に遊びながら撮影できます。
写真なら、シャッターボタンを押しっぱなしにする連写が便利です。大量に撮った中から、一番いい表情の一枚を選べばOK。最近のiphoneは、連写後のベストショットをAIが自動で提案してくれたりもしますよ。
4. 光を味方につける。窓辺の光が最強のスタジオ
CMのような柔らかく温かい映像の秘密は「光」にあります。プロのような照明器具は持っていなくても、窓からの自然光を上手く使えば、部屋の中がスタジオに早変わりします。
- 逆光: 窓辺で寛ぐ猫を、窓側から撮る(逆光)。毛が光に透けて、幻想的でドラマチックな一枚に。
- 横光: 窓の横から光を当てる。猫の表情に陰影が生まれ、立体感のある写真になります。
曇りの日の柔らかい光は、特にポートレート向き。直射日光が強すぎる時は、レースのカーテンで光を拡散させるとCMのような雰囲気に近づきますよ。
5. 編集で魔法をかける「おまけの一手間」
撮影した動画は、編集アプリでさらにブラッシュアップできます。iPhoneに標準で入っているiMovieや、無料で高機能なCapCutなどを試してみましょう。
- 不要なシーンをカットして、テンポよくつなぐ。
- お気に入りのBGMを乗せる(著作権に注意!)。
- スローモーション効果で、猫の可愛い仕草を強調する。
編集アプリを使えば、あなたのスマホが立派な映像制作スタジオになります。CMを見て「自分も作ってみたい」と思ったなら、まずはここから始めてみるのがおすすめです。
まとめ|iPhoneと猫のCMが教えてくれること
iPhoneと猫のCMは、単なる製品広告ではありません。それは、最新のテクノロジーが、僕たちの「大切だ」という気持ちを、形にして残す手伝いをしてくれるんだよ、というメッセージのように思えます。
CMに登場したメメちゃんは、もうこの世にいないかもしれません。それでも、川島小鳥さんが撮り続けた日常の一片一片は、美しい映像として、そしてきっと彼の心の中でも、生き続けているはずです。
あなたのそばにいる猫との時間も、かけがえのないもの。最新のiphoneでなくても大丈夫。今日から、少しだけ「猫の目線」になって、光を意識して、シャッターを押してみてください。もしかしたら、何年か後に見返した時、その一枚が、あなたにとっての『「タマ」と生きる。』になるかもしれませんよ。
