ミニPCを使っていて、「USBメモリから起動したい」「Windows 11にアップグレードしたいけどTPMが無効だった」なんてこと、ありませんか?
それらは実は、BIOS(またはUEFI)の設定で簡単に解決できます。この記事では、初心者でも安心して設定できるように、ブート順の変更やTPMの有効化などをわかりやすく解説します。
そもそもBIOSとは?ミニPCでも重要な“基礎設定”
まずは「BIOSとは何か」を軽くおさらいしましょう。
BIOS(Basic Input/Output System)は、PCの電源を入れたときに最初に動くプログラムです。最近では「UEFI(ユーフィー)」と呼ばれる新しい形式が主流で、昔のBIOSの進化版のようなものです。
BIOS/UEFIは、ハードウェアの初期化やOSの起動順、セキュリティ機能の有効化などを司る重要な部分。
つまり、あなたのミニPCが「どう動くか」を決めている頭脳のようなものです。
ミニPCでもこの設定画面が存在し、ブートデバイス(起動先)を変えたり、TPM(セキュリティチップ)をオンにしたりできます。これを理解しておくと、OSの再インストールやトラブル対応もスムーズになります。
BIOS画面への入り方 ― まずは入口を知る
BIOSの設定を触るには、まずそこに入る必要があります。
ミニPCの場合も、一般的なデスクトップやノートPCと同様の手順でアクセスできます。
- PCの電源を入れた直後、ロゴが出たタイミングで「Delete」「F2」「F10」「F12」などのキーを連打します。
- メーカーによっては「ESC」キーのこともあります。取扱説明書や公式サイトで確認しておくと確実です。
- Windowsが入っている場合は、「設定 → システム → 回復 → PCの起動をカスタマイズ → UEFIファームウェア設定」からも入れます。
もしUSBキーボードで反応しない場合は、起動直後からキーを押し続けるか、別のポートに挿してみてください。
ミニPCは小型ゆえにUSBポートの初期化が遅い場合があり、タイミングがずれると入れないことがあります。
ブート順を変更してUSBメモリから起動する
OSを入れ直したり、リカバリを行ったりする際に必要なのが「ブート順変更」です。
ブート順とは、どのデバイスから最初に起動するかの優先順位を決める設定です。
例えば、USBメモリにWindowsのインストールメディアを作った場合、USBを最優先に設定すれば、そこから自動的に起動できます。
手順
- BIOS画面を開き、「Boot」または「Startup」タブを選択。
- 「Boot Option #1」をUSBメモリに変更します。
(表示名が「UEFI:SanDisk」や「USB HDD」などの場合もあります) - 「F10」キーなどで保存し、再起動。
再起動後、USBメモリからOSインストーラーが立ち上がれば成功です。
ブートメニューを一時的に呼び出したい場合は、起動時に「F12」を押すとメニューから選べる機種もあります。
もし設定が反映されない場合、「CSM(Compatibility Support Module)」を無効化してUEFIモードに切り替えると、USBが正しく認識されることがあります。
TPMを有効化してWindows 11に対応させる
最近話題のWindows 11では、TPM 2.0の有効化が必須条件となっています。
「TPMって何?」と思う人も多いですが、これは「Trusted Platform Module」の略で、暗号鍵を安全に保管し、セキュリティを高めるためのチップです。
多くのミニPCでは、TPMがCPUやチップセットに統合されており、BIOSでオンにするだけで使えるようになります。
手順
- BIOS画面を開く。
- 「Security」「Advanced」または「Trusted Computing」という項目を探す。
- 「TPM Device」または「Intel PTT」「AMD fTPM」を「Enabled」に設定。
- 保存して再起動。
再起動後、Windowsで「tpm.msc」と入力してTPM管理ツールを開き、「TPMの仕様バージョン」が2.0であれば有効化完了です。
もし「TPMが見つかりません」と表示される場合、BIOSのバージョンが古いことが原因かもしれません。メーカーのサイトから最新のBIOSを確認し、アップデートを検討しましょう。
Secure Bootを有効化して安全性を高める
TPMと並んで重要なのが「Secure Boot(セキュアブート)」です。
これは、信頼できるOSやドライバのみを読み込む仕組みで、不正なソフトウェアの起動を防ぎます。
有効化の流れ
- BIOSで「Boot」または「Security」タブを開く。
- 「Boot Mode」を「UEFI」に設定。
- 「CSM Support(互換モード)」がオンならオフにする。
- 「Secure Boot」を「Enabled」に。
ここで注意したいのは、ディスクの形式が「GPT」であること。
古い「MBR」形式のままだとUEFIモードでは起動できません。
もしMBRなら、Windowsのコマンド「mbr2gpt」を使って変換できます(バックアップを取ってから実行しましょう)。
Secure Bootを有効にすると、起動時の改ざんを防げるため、セキュリティを大きく強化できます。
特に在宅ワークや機密情報を扱う環境では、設定しておくと安心です。
ミニPCならではの注意点とトラブル対策
ミニPCはコンパクトな分、一般的なPCとは少し違う癖があります。
設定を変更する際は、以下のポイントも覚えておくとトラブルを避けやすいです。
- キー入力のタイミングに注意:USBキーボードが認識される前にキーを押すと反応しないことがあります。電源を入れた瞬間からキーを連打しましょう。
- ブート順が勝手に変わる:Windowsの更新や他OSのインストールで順番が書き換わることがあります。必要に応じて「Boot Priority Lock」を有効に。
- Secure Boot後にOSが起動しない:CSMが有効のまま、またはMBR形式ディスクのままだとエラーになります。UEFIモード+GPT形式を確認。
- BIOS更新は慎重に:電源が切れると最悪起動不能になります。AC電源に接続した状態で実行するのが基本です。
それでもうまくいかない時のチェックリスト
- BIOSのバージョンが最新か?
- 起動デバイスがUEFI対応か?
- USBメモリが正しく作成されているか?
- TPMがCPU/チップセット側で有効か?
- Secure Bootの状態がWindows上で「オン」になっているか?
これらを順に確認すれば、ほとんどの問題は解決できます。
特にTPMやSecure Bootは、BIOS更新で機能が追加・修正されることも多いので、メーカー公式のサポート情報をチェックしておくと安心です。
ミニPCのBIOS設定完全ガイド まとめ
ミニPCは小型でも立派なPCです。
BIOS設定を理解しておくことで、起動トラブルを防ぎ、より安全で快適な環境を整えられます。
- ブート順を変えれば、USBメモリからの起動も簡単。
- TPMを有効化すれば、Windows 11へのアップグレードにも対応。
- Secure Bootでセキュリティを高めれば、不正アクセスのリスクを軽減。
これらの設定をマスターすれば、あなたのミニPCは「ただの小型PC」から「頼れる相棒」に進化します。
ちょっとした知識と慎重な手順で、快適なミニPCライフを手に入れましょう。
ミニPCのBIOS設定完全ガイド!ブート順変更やTPM有効化の手順を詳しく解説
この記事をきっかけに、あなたのミニPCがさらに快適に動きますように。
