「BlenderをミニPCで動かしてみたいけど、ちゃんと動くの？」
そんな疑問を持つ人は多いはずです。近年のミニPCは性能が一気に向上し、動画編集や3Dモデリングも視野に入るほど進化しています。ただし、スペックの見極めを誤ると「重くて動かない…」なんてことにも。
この記事では、Blenderを快適に動かすためのおすすめスペックと、ミニPCで構築する最適環境を実体験や検証情報をもとにわかりやすく解説します。
BlenderをミニPCで使うなら知っておきたい「必要スペック」の基本
まず押さえておきたいのは、Blender公式が提示している動作要件。最低限の条件は「動く」だけで、快適に動かすにはより上のスペックが必要です。
最低限の構成は、4コアCPU・8GBメモリ・2GB VRAMのGPUです。これでも簡単なモデリングやテクスチャ貼りは可能ですが、複雑なシーンやアニメーションではカクつきが出やすいです。
快適に使うなら、少なくとも以下を目安にしましょう。
- CPU：6〜8コア以上（Ryzen 7やCore i7クラス）
- メモリ：32GB以上
- GPU：VRAM 8〜12GBの専用GPU（RTX 3060以上が理想）
- ストレージ：NVMe SSD（1TB以上推奨）
特にGPUの性能とVRAM容量は、Blenderの使い心地を大きく左右します。Cyclesレンダリングを使う場合、GPU性能が高いほど処理が速く、プレビューもスムーズに動きます。
ミニPCでBlenderを使うときの注意点
ミニPCは小さくてスタイリッシュですが、3D制作ではいくつか気をつけたいポイントがあります。
1. 冷却と熱設計
小型ゆえに冷却性能が限られています。CPUやGPUが高温になると性能が自動で抑えられる「サーマルスロットリング」が発生します。Blenderのレンダリングや物理演算は高負荷作業なので、冷却ファンの配置や排熱性能は必ずチェックしましょう。
2. GPUの制限
ミニPCは内部スペースが狭く、フルサイズGPUを搭載できないモデルも多いです。中には外付けGPU（eGPU）に対応しているものもありますが、別途ケースやケーブルが必要になります。購入時は「専用GPU内蔵か」「eGPU対応か」を確認しましょう。
3. メモリと拡張性
Blenderはシーンが重くなるとメモリを大量に使います。16GBではすぐに限界が来るため、最初から32GB搭載または増設可能なモデルを選ぶのがベター。スロットが1つしかないモデルだと将来の拡張が難しいため注意が必要です。
4. 電源と静音性
ミニPCの電源は省電力重視。性能の高いCPUやGPUを載せた場合、電力不足でパフォーマンスを発揮できないケースもあります。また、静音性を重視するモデルはファンが控えめな分、熱がこもりやすい傾向があります。
「パフォーマンス優先か、静音重視か」を用途に合わせて選ぶことが大切です。
Blenderを快適に動かすおすすめミニPCスペック
ここでは、実際にミニPCを選ぶ際に重視すべきスペックを優先度順に紹介します。
1. GPU性能（最優先）
BlenderのCyclesレンダリングはGPUが命です。最低でもRTX 3060クラス（VRAM 12GB）を目安に。RTX 4060以上なら、4Kテクスチャや複雑なシーンも余裕を持って扱えます。AMD Radeonシリーズでも動作しますが、BlenderではNVIDIA製が安定しています。
2. CPU性能
CPUはモデリングやシミュレーション時の処理速度に直結します。Ryzen 7 7840HSやCore i7-13700Hのような高クロックのモバイルCPUなら十分。CPUレンダリングを使うなら8コア以上を目安にしましょう。
3. メモリ
32GBは“快適作業”の最低ライン。大規模シーンや流体シミュレーションを扱うなら64GBあると安心です。購入時に16GBしかなくても、増設スロットがあれば後から強化できます。
4. ストレージ
NVMe SSDを搭載していれば、テクスチャの読み込みやキャッシュ保存が圧倒的に速くなります。作業用に1TB、保存用に外付けSSDを組み合わせると効率的です。
5. 冷却性能と筐体設計
ミニPCは性能を引き出すために「冷却」が非常に重要。筐体内のエアフローが確保されているモデルや、ヒートシンクが大型化されたモデルを選ぶと安心です。
実際におすすめできるミニPCモデル例
ここでは、Blenderを快適に動かせると評判のミニPCをいくつかピックアップします。
- MINISFORUM UM790 Pro
高性能CPUに加え、専用GPU搭載モデルも選べるハイエンドミニPC。小型ながら冷却も優秀で、モデリングや中規模レンダリングも余裕。 - ASUS ROG NUC14
ゲーミング用途で設計されているため、GPU性能・冷却性能が高く、長時間のレンダリングにも安定。価格は高めですが、本格的に3D制作をする人には最適。 - GEEKOM A6
中価格帯でコスパに優れるモデル。軽いアニメーション制作や学習用途なら十分対応可能。 - GMKtec K10
CPUの処理性能が高く、Blenderのビューポート操作も軽快。ただしGPU仕様はモデルにより異なるため注意。
いずれのモデルも、Blenderを「軽快に」動かすためにはメモリ増設やSSD換装を組み合わせるとより快適になります。
ミニPC環境をより快適にする運用テクニック
スペックを満たしても、設定や使い方を工夫することでさらに快適性を高められます。
- GPUドライバーを最新に保つ
特にNVIDIA製GPUは、最新ドライバーでレンダリング速度が向上することがあります。 - 電源モードを「高パフォーマンス」に設定
省電力設定のままだとCPUやGPUの性能が制限されるため、Blender作業時はパフォーマンス重視に切り替えましょう。 - ビューポート設定を軽量化
重いシーンでは、影やアンチエイリアスを減らすと操作がスムーズになります。 - キャッシュや一時ファイルの保存先をNVMe SSDに変更
流体や布シミュレーション時に高速なストレージを指定しておくと、処理時間が短縮されます。 - 外付け機器を有効活用
モニターをデュアル化して作業領域を広げたり、外付けGPU（eGPU）で性能を補ったりするのも一案です。
ミニPCでBlenderを使うメリットと限界
ミニPCの魅力は、省スペース・静音・省電力です。デスクの上でも圧迫感がなく、見た目もスマート。消費電力が低いため電気代を抑えつつ、日常作業から軽い3D制作までこなせます。
一方で、ハイエンドGPUを搭載したデスクトップと比べると拡張性には限界があります。大型プロジェクトや高解像度レンダリングを頻繁に行う人は、外付けGPUやクラウドレンダリングを活用するとバランスが取れます。
「コンパクトな環境でBlenderを学びたい」「出張先でも制作したい」そんな人には、ミニPCは理想的な選択肢です。
ミニPCでBlenderを快適に動かすには？おすすめスペックと最適環境のまとめ
BlenderをミニPCで快適に動かすには、GPUとメモリが最重要。
最低でもVRAM 8GB以上の専用GPUと32GBのメモリを確保すれば、モデリングからレンダリングまでスムーズにこなせます。
ミニPCを選ぶときは、冷却性能・拡張性・静音性のバランスを見極めること。そして、ドライバー更新や電源設定など、運用面の最適化も忘れずに。
小型でも高性能なミニPCをうまく選べば、限られたスペースでもBlenderを本格的に楽しむことができます。
あなたの机の上に、頼れる“小さなクリエイティブ環境”を作ってみてください。
