こんにちは。スマートフォンやタブレットを使うなら、誰もが一度は使ったことがある充電器やモバイルバッテリー。
でもふと手に取ったとき、本体に小さく刻印された「PSE」という文字を見かけたことはありませんか?
「なんとなく安全そうなマークかな?」と思いながらも、その本当の意味や重要性を理解している人は意外と少ないかもしれません。
この記事では、充電器やモバイルバッテリーに表示されるPSE認証について、その役割や安全性への重要性をわかりやすくお伝えします。
そもそもPSE認証って何?電気製品の「安全証明書」です
PSE認証は、日本の「電気用品安全法」という法律に基づいて定められた制度で、簡単に言えば「この電気製品は国の安全基準をクリアしていますよ」というお墨付きです。
PSEというのは「Product Safety Electrical Appliance & Materials」の略。直訳すると「製品安全 電気機器・材料」となります。
この制度が生まれた背景には、高度経済成長期に粗悪な電化製品による火災や感電事故が相次いだという歴史があります。消費者の安全を守るために制定された法律なのです。
2025年現在、電気ストーブや冷蔵庫など457もの製品カテゴリーがこの法律の対象となっています。そして、ここ数年で注目すべき変更がありました。モバイルバッテリーや完全ワイヤレスイヤホンの充電ケースなど、私たちが日常的に使うポータブル製品も規制対象に追加されたのです。
つまり、今あなたが手にしている充電器やモバイルバッテリーも、実はしっかりとした安全基準の審査をパスした「合法品」でなければ、日本では販売することすらできないのです。
PSEマークの「菱形」と「丸形」の違いを知っていますか?
PSEマークには、菱形(ひし形) と丸形(まる形) の2種類があります。これは単なるデザインの違いではなく、製品のリスクレベルに応じた重要な区別です。
菱形(◇)PSEマークは「特定電気用品」に付けられるもの。構造的にリスクが高い製品や、過去に重大な事故の歴史がある製品群(116品目)が対象です。例えば、ACアダプターや電源タップ、一部のモバイルバッテリーなどがこれに当たります。
このマークが付いている製品は、メーカー自身の検査に加えて、国が認めた第三者機関による厳格な検査も受けています。いわば「ダブルチェック」で安全性が確認されている証しです。
一方の丸形(〇)PSEマークは「特定電気用品以外の電気用品」に付けられるもの。比較的リスクが低いと判断される製品群(341品目)が対象で、多くのモバイルバッテリーがこちらに分類されます。
丸形PSEの製品は、基本的にメーカーが自社で技術基準を確認し、適合していることを宣言する「自己適合性検査」の方式を取っています。
では、具体的な製品はどう分類されるのでしょうか?
- 急速充電器(ACアダプター):基本的にリスクが高いため、菱形PSEの対象です
- 一般的なモバイルバッテリー:USBポートから充電するタイプは丸形PSEの対象です
- AC一体型モバイルバッテリー:本体にACプラグが内蔵されているタイプは、製品によって菱形と丸形の両方の表示が必要な場合もあります
この違いを理解しておくと、製品を選ぶ際の判断材料の一つになりますね。
充電器・モバイルバッテリーを取り巻く最新の規制動向
PSE制度は時代とともに進化しています。特にここ数年、私たちの生活に欠かせなくなったモバイルバッテリーに関する規制が大きく強化されました。
2019年2月1日、これまで規制の対象外だった「ポータブルリチウムイオン蓄電池」(モバイルバッテリー)が正式にPSE法の対象に追加されました。これにより、PSEマークなしのモバイルバッテリーは日本国内で製造・輸入・販売することが禁止されたのです。
この法改正により、主要メーカーはこぞって自社製品にPSE表示を実施。今では、国内で正規に販売されているモバイルバッテリーのほぼ全てに、この安全の証が刻印されています。
さらに、2024年には技術基準そのものが強化されました。より安全性の高い新しい基準に移行し、旧基準による認証は2024年12月で完全に終了しています。
つまり、2025年以降に市場に出回っている製品は、以前よりも厳しい安全基準をクリアしたものばかり。消費者としては、PSEマークに加えて「製造年が2024年以降か」をチェックすると、さらに安心できるわけです。
なぜPSE認証が重要なのか?二つの視点から考える
PSE認証の重要性は、「法的な観点」と「安全的な観点」の二つの側面から考えるとよくわかります。
まず法的な観点から。PSE法は事業者(製造業者、輸入業者、販売業者)に対して、対象製品へのマーク表示を義務付けています。もしマークのない製品を販売目的で陳列・販売した場合、事業者には1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる可能性があるのです。
つまり、適切なPSEマークが表示されている製品は、法律を遵守して国内に流通している「正規品」であるということ。私たち消費者が「安全な製品」を選ぶ第一の目印になるのです。
次に安全的な観点から。PSEマークは、製品が国が定めた安全基準(電気的な強度、絶縁性能、発火・過熱防止など)を満たしていることを示す「安全の証」です。
特にリチウムイオン電池を使用するモバイルバッテリーは、誤った使用や粗悪な製品の場合、発火や爆発のリスクがあるため、この保証は非常に重要です。
しかし、注意しなければならないこともあります。インターネット上の通販サイト、特に海外業者が出品する商品には、PSEマークがない、あるいはPSEマークを模した表示があるものの実際の認証を受けていない「違法品」が紛れている可能性があるのです。
これらは安全基準を満たしていないばかりか、事故が起きた場合の責任の所在も不明確。極めて危険です。
- 信頼できるメーカー・販売店から購入する
- 異常に安価な商品には注意する
- 製品本体に確実にマークが表示されているかを確認する
これら三つのポイントを守ることが、違法品を避ける基本となります。
安全な充電器・モバイルバッテリーを選ぶポイント
では実際に、安全な充電器やモバイルバッテリーを選ぶとき、どんな点に注目すればよいのでしょうか?
1. PSEマークの有無と形状を第一に確認
製品本体に、法令で定められた形状(充電器なら菱形、一般的なモバイルバッテリーなら丸形)のPSEマークが表示されているかどうか。これが最も重要なチェックポイントです。
2. 製造・輸入事業者名などの表示がきちんとあるか
安全な製品には、製造・輸入事業者の名称、住所、定格電圧、定格容量などが明記されています。「匿名」の製品は避けた方が無難です。
3. 保護回路の搭載を確認
過充電、過放電、過電流、短絡(ショート)などを防止する保護回路が設計されていることは、リチウムイオンバッテリーの安全性の基本です。製品説明などで確認しましょう。
4. 製品の「主たる機能」を理解する
リチウムイオン電池を内蔵していても、全てがPSE対象となるわけではありません。PSEの対象となるのは、その製品の「主たる機能」が他機器への給電である場合です。
- PSE対象の例:モバイルバッテリー、ワイヤレスイヤホン用充電器
- PSE対象外の例:ノートPC内蔵バッテリー(PC専用)、USB給電機能付きLEDライト(ライトが主機能)
安全に使用・保管するための実践ガイド
せっかく安全な製品を手に入れても、使い方を誤ればリスクは高まります。充電器やモバイルバッテリーを安全に使うためのポイントをまとめました。
絶対に避けたい環境
リチウムイオンバッテリーは温度変化に敏感です。車内や直射日光が当たる場所での放置は厳禁。布団や衣類の上での充電・使用も発火リスクを高めます。理想的な環境は、温度0〜40℃で涼しく乾燥した場所です。
取り扱いの注意点
精密機器ですから、強い衝撃や圧力は禁物。ポケットに入れたまま座ったり、重いものを載せたりすることは避けましょう。水気や高湿度の環境も内部損傷の原因になります。
充電時の習慣
就寝中など長時間目を離すときの充電は、万が一の過充電に気づきにくいため控えめに。充電中は時折様子をチェックする習慣をつけましょう。
異常を感じたらすぐに行動
製品が異常に熱くなる、膨らむ(膨張する)、変形する、異臭がする――こんな兆候が見られたら、直ちに使用を中止してください。安全な方法で処分することをおすすめします。
長期保管のコツ
長期間使わない場合、バッテリー残量を50〜80%程度に保つのがポイント。少なくとも3か月に一度は残量を確認・補充することで、過放電を防げます。
中古品について
経年劣化や過去の扱いが不明な中古品は、保護機能の劣化などによりトラブルリスクが高まります。保証対象外となることも多いため、充電器やモバイルバッテリーは新品購入が基本と考えてください。
よくある質問:PSE認証についてもっと知りたい
Q:海外で購入した「CEマーク」や「ULマーク」の充電器は日本で使えますか?
A:CEマーク(欧州連合)やULマーク(アメリカ)は、それぞれの地域の安全基準です。日本国内で販売するためには、PSE認証が必要です。個人が海外で購入して使用すること自体に直接の罰則はありませんが、日本の安全基準を満たしている保証はなく、事故時の保証もないため、安全性の観点からはおすすめできません。
Q:USB給電の製品(小型扇風機など)はPSE対象ですか?
A:USBポートから給電を受けるだけの機器は、一般的にPSE法の対象外となります。ただし、その製品自体が「他機器への給電」を主たる機能とする場合は対象となる可能性があるので注意が必要です。
Q:PSEマークが付いていれば100%安全ですか?
A:PSE認証は製品が出荷される時点での法的・技術的な安全基準適合を証明するものです。しかし、想定外の強い衝撃を与えたり、高温環境で使用したりなど、説明書に記載された「正しい使用方法」を守らないと、事故のリスクは高まります。PSEマークは安全の必要条件ではありますが、ユーザー自身による適切な取り扱いが、安全性をさらに高める充分条件となります。
充電器PSE認証がもたらす安心と安全
PSE認証は、私たちが何気なく使っている充電器やモバイルバッテリーの安全性を支える、地味ながらも重要な制度です。
法律で義務付けられたこのマークは、製品が一定の安全基準を満たしていることの証明であると同時に、製造者や販売者が消費者の安全に責任を持っていることの証でもあります。
次に充電器やモバイルバッテリーを手に取るとき、小さなPSEマークに注目してみてください。それが、あなたの日常の安全を静かに支えてくれていることに気づくはずです。
適切な製品を選び、正しく使う――その第一歩が、充電器PSE認証への理解から始まります。
