Ubuntuをタブレットで使いたい。そんな願いを持つLinuxユーザーは意外と多い。
軽量で自由度が高く、デスクトップでも人気の高いUbuntuを、持ち運びやすいタブレットで動かせたら理想的だ。
でも、実際に「Ubuntuが動くタブレット」は限られている。この記事では、2025年時点でUbuntuやUbuntu TouchなどのLinux系OSが動作する代表的なモデルを3つ紹介し、それぞれの特徴や選び方のポイントをわかりやすく解説する。
Ubuntuをタブレットで使うという発想
Ubuntuは本来デスクトップやノートPC向けのLinuxディストリビューションとして発展してきた。
しかし、タッチ操作やARMプロセッサに対応する取り組みも進んでおり、スマートフォンやタブレットで動作する派生版も存在する。
その中心にあるのが「Ubuntu Touch」。
これはUbuntuをベースにしたモバイル向けOSで、スマホやタブレットの操作性を意識したUI「Lomiri」を採用している。
現在はコミュニティ「UBports」が開発を引き継ぎ、最新バージョンもリリースされ続けている。
Ubuntu Touchがサポートするデバイスは多くはないが、徐々にLinuxネイティブで動作するタブレットが登場し、選択肢は広がりつつある。
1. PineTab 2 — Linux愛好家のための定番タブレット
まず紹介したいのが、Pine64社が開発した「PineTab 2」。
これは“最初からLinuxを動かすために設計されたタブレット”と言っていい。
特徴的なのは、Ubuntu Touch、postmarketOS、Mobianなど複数のLinuxディストリが動作する点だ。
Androidタブレットに後からLinuxを入れるのとは違い、ドライバやハードウェアの互換性に悩まされにくい。
スペックはシンプルながら必要十分。4GB RAM／64GBストレージ版と、8GB／128GB版が用意され、USB-CポートやMicroSDスロットも備える。
専用のキーボードカバーも用意されており、軽作業用のモバイルPCとしても使える。
Ubuntu Touchを試してみたい人、Linuxで遊んでみたい人にはこれ以上ない入門機だ。
なにより、ハードウェアもオープンソースに近い思想で作られている点が魅力。カスタマイズしたい人にぴったりの一台だ。
2. Volla Tablet — Ubuntu Touchを正式サポートする安心モデル
次に紹介するのはドイツの企業「Volla」が開発した「Volla Tablet」。
こちらは、最初からUbuntu Touchを公式サポートする数少ないタブレットのひとつだ。
Vollaはもともとスマートフォン向けにVolla Phoneを展開しており、そのノウハウを活かしてタブレット版を開発した。
Volla OS（Androidベース）を選ぶこともできるが、Ubuntu Touch搭載モデルを選べば純粋なLinuxタブレットとして利用できる。
ディスプレイは12インチクラスと大きく、タッチペンにも対応。
デスクトップモードに切り替えて、ブラウジングや文書作成などの作業も快適にこなせる。
ハードウェアは比較的新しく、無線LANやカメラ、Bluetoothも安定して動作する。
「難しい設定は避けたいけれど、Linux環境をタブレットで使いたい」という人には理想的な選択肢だ。
3. Purism Librem 11 — プライバシー重視の高級Linuxタブレット
最後に紹介するのは、セキュリティと自由度を両立させた「Purism Librem 11」。
Purismはオープンソース界隈では有名なメーカーで、プライバシー重視のスマホ「Librem 5」も手がけている。
Librem 11には独自のLinux OS「PureOS」がプリインストールされているが、Ubuntuや他のディストリビューションをインストールして使うことも可能だ。
PureOS自体もDebianベースなので、Ubuntuユーザーならすぐに慣れる。
11.5インチのAMOLEDディスプレイにIntel系CPUを搭載し、8GB RAMと高速なSSDストレージを備える。
ハードウェア的にも一般的なWindowsタブレットと遜色なく、外観も非常にスタイリッシュ。
キーボードとスタイラスペンも付属しており、開発やクリエイティブ用途にも対応する。
Libremシリーズは価格こそやや高めだが、「自由なOS環境を安全に使いたい」という思想を体現する存在だ。
Ubuntuを使いたい人にとっても、堅牢で長く使えるLinuxマシンとして有力な選択肢になる。
Ubuntuをタブレットに入れるときの注意点
UbuntuやUbuntu Touchをタブレットに導入する際には、いくつか気をつけたいポイントがある。
- ハードウェアの互換性
すべてのタブレットでUbuntuが動くわけではない。プロセッサの種類やドライバの対応状況によっては、Wi-Fiやカメラが動かないこともある。 - 導入手順の難易度
AndroidタブレットにUbuntuをインストールする場合は、ブートローダーのアンロックやカスタムリカバリの導入が必要になる。初心者にはやや敷居が高い。 - Ubuntu Touchの対応状況
UBportsの公式サイトで対応デバイスを確認できる。正式サポートされているモデルなら、インストーラーを使って比較的安全に導入できる。 - 仮想環境での利用
直接インストールせずに、Android上で仮想的にUbuntuを動かす方法もある。ただし、速度や操作性は限られる。
Linuxタブレットを選ぶときは、自分がどのレベルでカスタマイズしたいのかを考えるのが大切だ。
「手軽に使いたい」ならVolla Tablet、「自由に試したい」ならPineTab 2、「本格的に使いたい」ならPurism Librem 11という具合に選ぶといい。
Ubuntuタブレットで広がる新しい使い方
Ubuntuをタブレットで使うメリットは単に“珍しい”だけではない。
軽量で安定したOSを活かし、サーバー管理、プログラミング、テキスト執筆、ウェブ開発など、意外なほど幅広い用途に対応できる。
特にUbuntu Touchでは、スマートフォンと同じUIを持ちながらも、キーボードやマウスを接続すればデスクトップのような環境に変化する。
自宅ではモニターにつなげて作業し、外ではタブレット単体で閲覧やメモに使う。
そんな「モバイル×デスクトップのハイブリッド」な使い方ができるのがLinuxタブレットの魅力だ。
また、余計なアプリや広告がないため、集中して作業できる点も意外と大きい。
オープンソースの世界に触れたい人にとって、Ubuntuタブレットは“触って学べる最高の教材”にもなる。
Ubuntuが使えるタブレットおすすめ3選のまとめ
ここまで紹介してきた3つのモデルを簡単に振り返ってみよう。
- PineTab 2：Linux実験用・教育用途に最適。安価で気軽に試せる。
- Volla Tablet：Ubuntu Touch正式対応。タッチ操作中心で使いやすい。
- Purism Librem 11：高性能・高セキュリティ。開発や日常作業にも対応。
Ubuntuをタブレットで動かすには、多少の知識や試行錯誤が必要だ。
けれど、一度動き出せば、そこには自由で洗練されたLinuxの世界が広がっている。
スマートフォンでもPCでもない「第3のUbuntu環境」を手に入れたいなら、今こそタブレットを選ぶ時期かもしれない。
Ubuntuが使えるタブレットおすすめ3選！Linux愛好家必見のモデルを解説（まとめ）
Ubuntuが使えるタブレットはまだ少数派だが、確実に進化を続けている。
PineTab 2やVolla Tabletのようなオープンソース精神に満ちたモデルは、自由を愛するユーザーにぴったりだ。
そしてPurism Librem 11のようなハイエンド機は、実用性とセキュリティの両立を求める人に応えてくれる。
Ubuntuをタブレットで動かすという発想は、単なるガジェット遊びではない。
それは「自由に、自分の手でOSを選ぶ」という、Linuxの哲学そのものだ。
あなたの理想の1台を見つけて、Ubuntuタブレットの世界に飛び込んでみてほしい。
