スマホ市場で一世を風靡したSnapdragon 888。その高性能チップをタブレットに積んだら、どれだけ快適にゲームやクリエイティブ作業ができるのか。
この記事では、Snapdragon 888搭載タブレットの実際のパフォーマンスを、ゲーム性能や発熱の観点からじっくり掘り下げていく。
Snapdragon 888とは？5nm世代のフラッグシップSoC
まずはおさらいから。Snapdragon 888はQualcommが2020年末に発表したハイエンド向けSoC（System on a Chip）だ。
5nmプロセスで製造され、CPUは8コア構成。
- 高性能Cortex-X1コア（2.84GHz）×1
- パフォーマンスCortex-A78（2.42GHz）×3
- 省電力Cortex-A55（1.8GHz）×4
GPUにはAdreno 660を採用し、グラフィック性能も当時のトップクラス。
AIエンジン「Hexagon 780」も進化し、画像処理や音声認識の高速化にも貢献している。
このSoCはもともとスマートフォン用として登場したが、今では一部のAndroidタブレットにも搭載されている。ハイエンドスマホ並みのパワーをタブレットの大画面で味わえるというわけだ。
Snapdragon 888搭載タブレットの代表モデル
Snapdragon 888を採用したタブレットは実は少ない。
中でも代表的なのが「nubia Pad 3D」だ。ZTE傘下のブランドが出した異色のタブレットで、名前の通り裸眼で3D表示ができるユニークな機種。
スペックの主な特徴は以下の通り。
- Snapdragon 888搭載
- 12.4インチ液晶（120Hzリフレッシュレート）
- 8GB RAM / 256GBストレージ
- 9,070mAhバッテリー
ベンチマークではAnTuTuで約78万点前後を記録。これはミドルハイ～ハイエンド帯のスマホに匹敵する数値で、ゲームや動画編集でも十分な性能を持つ。
他にも海外市場ではSnapdragon 888を搭載した10～11インチクラスのAndroidタブレットがいくつか存在している。いずれも処理性能を売りにしており、ゲームユーザーやクリエイター向けに人気だ。
ゲーム性能：PUBGも原神も快適プレイ
Snapdragon 888のGPU「Adreno 660」は、3D描画処理が非常に強力だ。
ベンチマークの3DMarkでは、当時のトップスコアに迫る実力を示しており、重いゲームでも高画質設定で安定して動作する。
実際に「原神」や「PUBG Mobile」を高設定でプレイすると、平均フレームレートは60fps近くを維持。特にnubia Pad 3Dのように120Hz対応のディスプレイを搭載しているモデルでは、動きが滑らかで操作レスポンスも抜群だ。
一方で、長時間のプレイでは発熱によるパフォーマンス低下（いわゆるサーマルスロットリング）が発生するケースもある。ゲーム用途では、冷却設計がどれだけ練られているかが重要になる。
発熱と冷却性能：Snapdragon 888最大の課題
Snapdragon 888は性能が高い反面、熱を持ちやすいという弱点がある。
特にCPUの高負荷コア「Cortex-X1」が長時間フル稼働すると、筐体がかなり温かくなる。スマホでも一時期話題になった“熱問題”は、タブレットでも例外ではない。
ただし、タブレットは本体サイズが大きいため、放熱効率はスマホよりも有利だ。
nubia Pad 3Dではヒートパイプやグラファイトシートによる冷却構造を採用しており、一般的なスマホよりも熱が分散しやすい設計だと言える。
実測では、原神を30分プレイした後でもフレームレートの低下は限定的。背面中央部がやや温かくなる程度で、快適にプレイを続けられたという報告もある。
Snapdragon 888の省電力とバッテリー持ち
5nmプロセスになったことで、従来のSnapdragon 865よりは消費電力が改善されている。
しかし、後継世代のSnapdragon 8 Gen 1やGen 2と比べると、効率面ではやや劣る印象だ。
とはいえ、タブレットはバッテリー容量が大きいため、Snapdragon 888でも実用上の問題は少ない。
動画再生やブラウジングなどのライトな用途では、一日中使っても余裕がある。
ゲームや高負荷アプリを長時間使う場合でも、充電回数が増える程度で済むレベルだ。
Snapdragon 888タブレットの実力：他SoCとの比較
現在主流のSnapdragon 8 Gen 1／Gen 2世代と比較すると、888は確かに一世代前だ。
だが実際の使用感では、体感差はそれほど大きくない。日常のアプリ操作や動画視聴、ブラウジングではほぼ同等の快適さを感じるはずだ。
GPU性能においても、Adreno 660はまだ十分通用する。
Gen 2のAdreno 740が30～40％上回ると言われるが、フレームレートの違いを感じるほどではない。
むしろ価格面ではSnapdragon 888搭載機の方が圧倒的に手頃で、コスパの高さが光る。
ゲーミングタブレットとしての実用性
「高画質で滑らかに動作するゲームを大画面で楽しみたい」
そんなユーザーにとって、Snapdragon 888搭載タブレットは魅力的な選択肢だ。
8インチ以上のディスプレイと高性能GPUを備えているため、スマホよりも没入感が段違い。
Bluetoothコントローラーやキーボードを組み合わせれば、まるで携帯ゲーム機のような使い心地になる。
また、クリエイティブ作業や動画編集にも強く、Snapdragon 888のAI性能を活かした写真補正・エフェクト処理もスムーズだ。
発熱対策を意識して使うのがコツ
ただし、快適に使うためには発熱対策を意識するのがポイント。
長時間ゲームをする場合は、以下のような工夫で安定したパフォーマンスを維持できる。
- タブレットをケースから外す
- 室温を下げる
- ゲームモードの設定でグラフィック品質を少し落とす
- 充電しながらの使用を避ける
これだけでも、サーマルスロットリングを防ぎ、フレームレートを安定させやすくなる。
Snapdragon 888はポテンシャルが高い分、使い方次第で性能を大きく引き出せるチップだ。
Snapdragon 888搭載タブレットは「コスパ重視の実力派」
結論として、Snapdragon 888搭載タブレットは今でも十分に現役。
最新世代SoCと比べて多少の差はあるものの、ゲーム性能・マルチタスク・AI処理、いずれも高いレベルでこなす。
特にnubia Pad 3Dのようなモデルは、独自機能とパワフルな処理能力を兼ね備え、価格も落ち着いてきている。
性能と価格のバランスを求めるなら、Snapdragon 888タブレットは「ちょうどいい選択肢」と言えるだろう。
まとめ：Snapdragon 888搭載タブレットの実力比較！ゲーム性能と発熱を検証
Snapdragon 888搭載タブレットの実力を検証してきたが、改めて感じるのは「3年前のチップとは思えない完成度」だ。
ゲーム性能は今でも十分、発熱は使い方次第でコントロール可能。
そして価格は新世代モデルの半分程度で手に入る。
コスパと実用性を両立したタブレットを探しているなら、Snapdragon 888は今なお“買い”の選択肢。
ハイエンド級の処理性能を大画面で楽しみたい人にこそ、一度試してほしい。
