最近、PC業界の話題を独占しているのが「Strix Halo」。AMDが送り出す最新の高性能APU(Accelerated Processing Unit)で、ゲーミング性能を極限まで引き出すミニPCとして注目を集めています。この記事では、Strix Halo搭載ミニPCの特徴や性能、実際の使い勝手までを、分かりやすく解説していきます。
Strix Haloとは?新時代を切り拓くモンスターAPU
Strix Haloは、AMDが開発した「Zen 5」アーキテクチャを採用した次世代APU。従来のノートPC用チップとは一線を画すモンスタークラスの性能を誇ります。
最大16コア32スレッドのCPUと、RDNA 3.5世代のGPU(Radeon 8060S相当)を一体化。これだけでも十分驚異的ですが、さらにAI処理を担うNPUまで内蔵されています。まさに「CPU・GPU・AI」が融合したハイブリッドチップです。
このStrix Haloを採用することで、ミニPCの性能が一気にデスクトップクラスへと跳ね上がりました。これまで「ミニPC=軽作業用」という常識を覆す存在です。
各社が続々参入!Strix Halo搭載ミニPCの最新ラインナップ
2025年に入り、各メーカーがStrix Haloを搭載したミニPCを発表しています。ここでは話題のモデルをいくつかピックアップします。
GMKtec EVO-X2
Strix Haloこと「Ryzen AI Max+ 395」を搭載。最大128GBのLPDDR5Xメモリと2TB SSDを備えたハイエンド構成で、TDP最大120Wモードにも対応。冷却構造も強化され、ミニサイズながら驚くほどパワフルです。
Bosgame M5
Radeon 8060S相当のGPUを内蔵し、レビューサイトでは「ベストミニPC候補」として高評価。最大128GBメモリに加え、3DゲームやAI処理も難なくこなす万能機として人気を集めています。
Beelink・Xiaomiモデル
BeelinkやXiaomiもStrix Halo搭載機を展開中。中国市場では「Mac Studio風デザイン」で話題となり、Xiaomiのモデルではクラウドファンディング段階から爆発的な注目を集めています。
これらの流れからも、Strix Haloが単なる試験的製品ではなく、今後のミニPC市場を牽引する主力となることが見えてきます。
圧倒的なスペック──16コアAPUがもたらすパワー
Strix Haloの最大の魅力は、そのスペックです。
CPUは16コア/32スレッド、最大5GHz超のクロック。GPUには40CU構成のRadeon 8060Sを統合し、デスクトップ向けRTX 3060に迫る性能を実現します。
メモリはLPDDR5X-8000規格に対応し、帯域幅も従来比で大幅に拡大。256bit構成による広い帯域が、グラフィック処理のボトルネックを解消しています。
さらに注目すべきは、メモリ容量。64GBから128GBという大容量構成が標準化し、AI処理や動画編集、ゲーム配信など、メモリ負荷の高い用途にも余裕を持って対応できます。
実測レビューで見えた“実力”──ゲーミング性能を徹底検証
実際のレビューでは、Strix Halo搭載ミニPCが見事なパフォーマンスを発揮しています。
Bosgame M5の検証では、Cinebench R23でデスクトップRyzen 9 7900Xを上回るマルチスコアを記録。3DMarkではRTX 3060 12GBに匹敵するスコアを叩き出し、iGPUの域を完全に超えた性能を証明しました。
85Wモードでも高い安定性を維持し、120Wモードではさらに伸びるものの、熱とファン音が課題という報告も。つまり、性能を引き出すには冷却設計が鍵です。とはいえ、これほどの処理能力を“掌サイズ”の筐体に詰め込んでいること自体、革新的といえるでしょう。
ゲーミングでの実用性──小型でも妥協なし
「ミニPCで本格ゲームなんて無理でしょ?」
そう思っていた人も、Strix Haloの登場で考えを改めるかもしれません。
統合GPUながら、最新のeスポーツタイトルならフルHDで100fps超えを実現。
例えば『Apex Legends』や『Fortnite』、『Valorant』などでは高設定でも滑らかなプレイが可能です。さらに、AIを活用したアップスケーリング(FSR 3)を組み合わせれば、WQHDや4Kにも手が届くレベル。
小型筐体ゆえの冷却制約はありますが、85Wモードでも十分なフレームレートを維持。リビングやワークスペースに置けるサイズでここまで動くのは、もはや「小さな化け物」です。
ミニPCとしての完成度──静音・拡張性・接続端子
Strix Halo搭載機は、単なる性能番長ではありません。設計面でもユーザビリティが進化しています。
- USB4/Thunderbolt対応ポート
- HDMIとDisplayPortのデュアル出力
- 2.5Gまたは10G対応LAN
- Wi-Fi 7・Bluetooth 5.4対応
- NVMe SSDデュアルスロット搭載
さらに、筐体内部には2ファン+ヒートパイプを備えた冷却構造を採用。薄型なのに排熱が優れており、安定動作を実現しています。
ただし、メモリは直付け仕様のモデルもあるため、後からの増設は難しい点には注意。初期構成の段階でしっかり容量を選んでおきたいところです。
価格帯とコスパ──「高い」けれど納得の理由
Strix Halo搭載ミニPCは、64GB/1TB構成で約20万円前後、128GB/2TBモデルでは30万円近い価格帯に設定されています。確かに安くはありません。
しかし、同等の性能を持つデスクトップPCを構築すると、GPU・CPU・電源・ケースを含めて同程度かそれ以上のコストになるケースが多いです。
しかもミニPCは省スペース・低消費電力・静音性で優位。つまり「このサイズでこの性能ならむしろ安い」と評価するユーザーも増えています。
注意すべきポイント──高性能ゆえの落とし穴
Strix HaloミニPCは完璧ではありません。購入前に以下の点を押さえておきましょう。
- 発熱とファンノイズ
120Wモードでは発熱が大きく、長時間の高負荷時はファン音が目立つ場合もあります。 - メモリ交換が不可の機種あり
オンボードメモリ構成では増設ができないため、初期構成を吟味しましょう。 - 価格の高さ
性能相応ではあるものの、予算を重視する人にはハードルが高いです。 - 日本国内サポートの有無
輸入モデルの場合、保証やBIOSアップデートが限定的なケースもあるので注意が必要です。
未来のミニPC像──Strix Haloがもたらす次の進化
Strix Haloは単なる高性能チップではなく、ミニPCの概念そのものを変えました。
今後は、AI処理や3D制作、動画生成など「ゲームを超えた用途」でも活用が広がるでしょう。
加えて、AMDが今後リリースを予定している下位モデルや次世代アーキテクチャとの組み合わせで、より手頃な価格帯への普及も期待されます。
ASUSやBeelinkなどのメーカーがどんな工夫を凝らしてくるのか、2026年のミニPC市場は確実に面白くなりそうです。
Strix Halo搭載ミニPC最新情報まとめ
Strix Halo搭載ミニPCは、これまでの小型PCの常識を覆す存在です。
16コアCPU+ハイエンドGPU+AIエンジン+128GBメモリという構成を、わずか数リットルの筐体に凝縮。
ゲーミングからクリエイティブ、AI処理まで、まさに万能の“次世代ミニPC”です。
もし「小さくても妥協のない1台」を探しているなら、今がその転換点。
Strix Haloという名前を、今後ミニPC選びのキーワードとして覚えておいて損はありません。
