有線接続が当たり前だった時代から、今はゲーミングPCでも無線LAN（Wi-Fi）で快適にプレイできる時代になりました。
でも、「無線だとラグが出る」「安定しない」といったイメージを持つ人も多いのではないでしょうか？
実際、選ぶ無線LANカード次第でゲームの快適さは大きく変わります。
この記事では、ゲーミングPCで無線LANカードを選ぶときに押さえておきたいポイントと、信頼できるおすすめ機種を紹介します。
なぜゲーミングPCで無線LANカードが重要なのか
オンラインゲームにおいて通信は“生命線”です。
一瞬のラグが勝敗を左右するFPSやMOBAでは、ほんの数ミリ秒の遅延でも致命的になることがあります。
もちろん有線LANが最も安定しますが、ルーターの位置や配線の都合で無線接続を選ぶ人も増えています。
そのときに重要なのが、通信の安定性と低遅延を実現できる無線LANカードの性能です。
無線LANカードは、単に“Wi-Fiが使えるようにする”ためのパーツではありません。
良いカードを選ぶことで、以下のようなメリットが得られます。
- 高速かつ安定した通信でラグを減らせる
- 混雑した環境でも通信が切れにくい
- ルーターとの相性が良ければ有線並みのレスポンスも可能
- 将来のWi-Fi規格（Wi-Fi 6E・Wi-Fi 7）にも対応できる
つまり、無線で快適にプレイしたいなら「どのカードを選ぶか」が非常に重要です。
無線LANカードを選ぶときのチェックポイント
ここからは、ゲーミングPCに最適な無線LANカードを選ぶために、絶対に外せない6つのポイントを紹介します。
1. 無線規格（Wi-Fi 5／6／6E／7）
無線LANカードを選ぶうえで最も基本的なチェック項目です。
Wi-Fiの規格は世代ごとに通信速度や安定性が大きく進化しています。
- Wi-Fi 5（802.11ac）：主に5GHz帯対応。一般的なネット用途ならまだ現役。
- Wi-Fi 6（802.11ax）：OFDMAやMU-MIMOなどにより、高速通信と混雑環境での安定性を両立。
- Wi-Fi 6E：6GHz帯が追加され、干渉の少ない環境で高速通信が可能。
- Wi-Fi 7（802.11be）：次世代規格。320MHzチャネル幅・マルチリンクオペレーションでさらに低遅延化。
現状ではWi-Fi 6Eがコスパと性能のバランスに優れています。
ただし、将来を見据えるならWi-Fi 7対応モデルもチェックしておきたいところです。
2. 通信帯域とアンテナ性能
通信帯域は2.4GHz、5GHz、6GHzの3種類があります。
2.4GHzは障害物に強い一方、速度は控えめ。
5GHzや6GHzは高速ですが、距離や障害物に弱い傾向があります。
ゲーミング用途では、混雑が少なく速度が出やすい5GHzまたは6GHz帯対応のカードを選ぶのが鉄則。
さらにアンテナの数（2本／4本など）や配置も通信の安定性に影響します。
外付けアンテナタイプや延長ケーブル付きモデルは、自由な設置で最適な電波環境を作れる点でおすすめです。
3. 接続方式（PCIe／M.2／USB）
無線LANカードにはいくつかの形状があります。
- PCIeタイプ：デスクトップPCに最適。性能が安定し、外部アンテナを備えるモデルが多い。
- M.2タイプ：マザーボードに直接装着。スッキリした見た目だが、互換性に注意。
- USBタイプ：外付けで使いやすいが、性能面ではPCIeに劣ることが多い。
ゲーミングPCならPCIe接続タイプが断然おすすめです。
安定性・速度・アンテナ配置の自由度が高く、長時間プレイにも向いています。
4. チップセットと互換性
カードの性能を支えるのが内部のチップセットです。
特に人気が高いのはIntel製。信頼性が高く、ドライバ更新も安定しています。
一方でRealtekなど一部のチップは相性問題が出ることもあるため、事前に口コミやレビューをチェックしましょう。
また、マザーボードが「CNVi」対応かどうかも確認ポイントです。
CNVi専用スロットでは汎用M.2カードが使えない場合があります。
購入前に仕様書を必ず確認しておきましょう。
5. 遅延と安定性
ゲーマーが最も気にするのは“ラグ”です。
スペック表の「最大速度」よりも、実際の応答速度（Ping）と安定性が重要。
レビューで「遅延が少ない」「安定して通信できる」と評価されているカードを選びましょう。
また、無線環境を整えることも忘れずに。
アンテナの角度や配置、障害物、電波干渉を減らすだけでも体感が大きく変わります。
6. ルーターとの相性
どんなに優秀な無線LANカードでも、ルーターが古ければ性能を発揮できません。
ルーターもWi-Fi 6E／7対応にアップグレードしておくと、カードの性能を引き出せます。
特に重要なのは以下の3点。
- ルーターが同じ規格に対応しているか
- チャネル幅（160MHz／320MHz）に対応しているか
- ルーターとの距離と遮蔽物が少ないか
「カードを変えたのに速くならない」というケースは、実はルーター側のボトルネックが原因ということも多いです。
おすすめの無線LANカード
ここでは、ゲーミングPC向けに評判の高い無線LANカードを紹介します。
それぞれの特徴を踏まえ、用途に合わせて選んでみてください。
MSI Herald-BE（Wi-Fi 7対応）
最新規格Wi-Fi 7に対応したハイエンドモデル。
最大通信速度は理論値で5Gbpsを超え、6GHz帯の安定性も抜群。
高性能ルーターと組み合わせれば、有線に迫る低遅延を実現できます。
価格は1万円前後と高めですが、将来性を重視するなら最強クラスの一枚です。
Intel Wi-Fi 6E AX210NGW
コスパ重視の定番モデル。
Intel製チップ搭載でドライバの安定性が高く、Wi-Fi 6Eによる6GHz帯通信にも対応。
価格が3,000円前後と手に取りやすく、初めての無線LANカード導入にもおすすめです。
TP-Link Archer TX50E（Wi-Fi 6対応）
PCIe接続タイプで、外付けアンテナを装備。
Wi-Fi 6対応ながら価格が約5,000円とリーズナブル。
Bluetooth 5.0も内蔵しており、ワイヤレス周辺機器の接続にも便利です。
ミドルクラスのゲーミングPCにちょうど良い選択肢です。
WiFi 6E AX210 (AXE5400) PCIeカード
Wi-Fi 6E対応の人気モデル。
6GHz帯の利用で混雑を避け、スムーズなオンライン体験を実現します。
外部アンテナ付きで設置自由度が高く、ゲーム配信や動画視聴を同時に行う人にも最適。
無線LANカードの実力を最大化する環境づくり
カードを交換しただけで劇的に変わるわけではありません。
無線は“環境次第”で性能が大きく左右されます。
次のポイントを意識して設置しましょう。
- ルーターをできるだけPCの近くに置く
- アンテナの向きをルーター方向に調整する
- 電波干渉しやすい家電（電子レンジ・Bluetooth機器）を避ける
- 可能なら5GHz／6GHz帯を優先して接続する
- ドライバを最新に保つ
これだけでも、同じカードでも通信品質が大きく改善されます。
今後のトレンド：Wi-Fi 7時代へ
2025年以降、Wi-Fi 7対応のルーターと無線LANカードが本格的に普及し始めています。
Wi-Fi 7では、従来のWi-Fi 6Eよりも通信速度の向上（最大46Gbps）や遅延のさらなる低減が期待できます。
ただし、現時点では価格が高めで、対応ルーターもまだ限られています。
現実的には、今買うならWi-Fi 6Eが最もバランスの良い選択肢です。
将来的にWi-Fi 7対応環境が整ったら、カードをアップグレードするのも良いでしょう。
まとめ：ゲーミングPCに最適な無線LANカードを選ぼう
ゲーミングPCで無線LANを使うなら、「どのカードを選ぶか」でプレイ体験が変わります。
Wi-Fi 6EやWi-Fi 7対応カードを選べば、ラグや接続切れに悩まされることなく快適にプレイ可能です。
ポイントをまとめると――
- 無線規格はWi-Fi 6以上が安心
- PCIeタイプが最も安定して高性能
- IntelチップやTP-Linkなど信頼性の高いブランドを選ぶ
- 環境整備（ルーター・アンテナ配置）も重要
「無線だから仕方ない」と諦める必要はありません。
正しいカードと環境を整えれば、無線でも快適なゲーミングライフを実現できます。
あなたのゲーミングPCに最適な無線LANカードを選び、ストレスのないプレイを楽しみましょう。
