ゲーミングPCを自作するとき、「どんなマザーボードを選べばいいの?」と悩む人は多いはず。CPUやグラボほど目立たない存在ですが、実はマザーボードこそがPCの“土台”です。
ここでは、初めてでも迷わないように、ゲーミングPC用マザーボードの基本から選び方のコツまでを、やさしく解説します。
そもそもマザーボードって何をするパーツ?
マザーボードは、PCのすべてのパーツをつなぐ基盤です。
CPU、メモリ、グラフィックボード、ストレージ、電源など、あらゆる部品を物理的・電気的に接続し、動作をコントロールしています。
つまり、マザーボードは“パーツの相性を決める中心”とも言えます。
たとえば、どんなCPUを使えるか、どんなメモリが動作するか、何枚のSSDを増設できるか──これらはすべてマザーボード次第。
だからこそ、ゲーミングPCを作るときは、見えないけれどとても重要な存在なのです。
CPUソケットとチップセットをまず確認しよう
マザーボード選びの第一歩は「CPUとの相性確認」です。
IntelとAMDではソケット形状が異なり、同じメーカー内でも世代ごとに対応ソケットが変わります。
例えば、Intelなら「LGA1700」、AMDなら「AM5」など。CPUとマザーボードのソケットが一致していなければ、物理的に取り付けることすらできません。
さらに大事なのが「チップセット」。
チップセットはマザーボードの頭脳のようなもので、対応機能を決めます。
PCIe x16の世代、メモリの速度、USB端子の数、Wi-Fiの有無などがチップセットによって変わるのです。
初心者におすすめなのは、「使いたいCPUを先に決めて、それに対応するマザーボードを探す」方法です。
CPUを先に決めておけば、選択肢がぐっと絞れます。
サイズ(フォームファクタ)でケースに合うものを選ぶ
マザーボードにはサイズ規格があります。主に以下の3種類です。
ケースの対応サイズを確認しないと、せっかく買ったマザーボードが入らない…なんてことも。
ゲーミングPCで拡張性を重視するなら、ATXかmicroATXを選ぶのが無難です。
メモリ対応と拡張スロットは「将来」を意識する
最近のゲームはメモリを多く使います。
16GBは最低ライン、できれば32GB以上を搭載したいところ。
そのため、マザーボードのメモリスロット数(2本 or 4本)や対応規格(DDR4かDDR5か)を確認しておきましょう。
また、ストレージや拡張カードを増設したい人は、スロットやポート数にも注目です。
高速SSD用のM.2スロットが2つ以上あると、後から追加する際も便利。
PCIe x16スロットの位置や数も、グラボやキャプチャーボードを複数使いたい人にとって重要です。
VRM(電源回路)と冷却性能は安定動作の鍵
高性能CPUを使うゲーミングPCでは、電力供給の安定性がとても大事です。
そこで注目すべきなのが「VRM(電源回路)」の品質。
フェーズ数が多く、ヒートシンクでしっかり冷却されているマザーボードは、CPUへの電力が安定しやすく、長時間のゲームでもパフォーマンスが落ちにくくなります。
VRMが貧弱だと、CPUが熱で性能を抑えたり、最悪の場合クラッシュすることも。
とくにオーバークロックや長時間プレイを考えているなら、電源回路と冷却性能は必ずチェックしておきましょう。
接続端子・通信機能も快適さに直結する
ゲームをプレイするとき、意外と気になるのが「端子の数と位置」。
ヘッドセット、マウス、キーボード、外付けSSD、配信機材などを同時に使うと、USBポートが足りなくなることがあります。
そのため、背面と前面の両方に十分なUSBポートがあるかを確認しておくと安心です。
さらに、LANポートやWi-Fi機能も見逃せません。
有線LANが2.5Gbps以上に対応しているモデルや、Wi-Fi 6/Wi-Fi 7対応モデルを選べば、オンライン対戦や配信時も快適です。
最近はBluetooth機能を備えたマザーボードも多く、無線ヘッドセットを使う人には便利な選択肢です。
ブランドとサポート体制も重視しよう
マザーボードは見た目では違いが分かりにくいですが、ブランドによって品質やサポートに差があります。
ASUS、MSI、Gigabyte、ASRockなどの主要メーカーは、長年の実績があり信頼性も高め。
BIOSアップデートが定期的に提供されるか、サポートページが分かりやすいかなども確認ポイントです。
また、ユーザーのレビューを調べると、実際の組み立てやすさ、初期不良対応の印象なども見えてきます。
初めての自作なら、定番シリーズのマザーボードを選ぶのが安心です。
予算とバランスを考えて最適な1枚を選ぶ
マザーボードは高ければ良いというものではありません。
大切なのは、CPU・GPUとのバランス。
CPUやグラボにお金をかけすぎて、マザーボードを削りすぎるのはNGですが、逆にマザーボードだけ高級にしてもゲーム性能はほとんど変わりません。
目安としては、PC全体のパーツ構成費の中で、マザーボードに割り当てるのは15〜20%程度が理想です。
その中で「拡張性」「安定性」「将来性」を軸に選ぶと、後悔しにくい構成になります。
初心者がやりがちな失敗ポイント
ゲーミングPCを初めて組む人がつまずきやすいのは次のような点です。
- ソケット不一致:CPUが物理的に装着できない
- チップセットの見落とし:対応機能が不足している
- ケースサイズのミスマッチ:ATXが入らないケースを購入
- 端子不足:USBポートが足りず機器を挿せない
- VRMの冷却不足:高負荷で熱暴走する
- レビュー未確認:相性トラブルに気づけない
これらを防ぐためには、購入前にスペック表と口コミをよく確認すること。
そして、「今だけでなく1〜2年後も快適に使えるか」を意識するのがポイントです。
まとめ:ゲーミングPC用マザーボードの選び方完全ガイド
最後に、マザーボード選びのチェックポイントを整理します。
- CPUとのソケット・チップセットの互換性を確認する
- ケースに合うサイズ(ATX/microATX/Mini-ITX)を選ぶ
- メモリスロットやM.2スロットなど拡張性を確認
- VRMと冷却構造がしっかりしているモデルを選ぶ
- USB・LAN・Wi-Fiなど接続端子を用途に合わせて選定
- 信頼できるブランド・サポート体制を重視する
- 予算バランスを考えて、全体の構成を最適化する
マザーボード選びは一見難しそうですが、ポイントを押さえれば怖くありません。
あなたのゲーミングスタイルにぴったりの1枚を見つけて、最高の自作PCライフを楽しみましょう。
