最近、デスクをスッキリさせたい人の間で人気が高まっている「ミニPC」。その小型さを活かして、モニターの裏に取り付ける「VESAマウント方式」での設置が注目されています。
でも実際、「どうやって取り付けるの？」「ネジや規格って難しそう…」と思う方も多いはず。
この記事では、VESAマウントを使ってミニPCを安全かつスマートに取り付ける方法を、初心者にもわかりやすく解説します。工具の選び方から注意点まで、この記事を読めば失敗しない取り付けができるはずです。
そもそもVESAマウントって何？
まず押さえておきたいのが「VESAマウントとは何か」ということ。
VESA（ベサ）とは、モニター背面などにある四角いネジ穴の位置を規格化したもので、正式名称は「Video Electronics Standards Association」。
たとえば「100×100mm」「75×75mm」などが一般的です。この穴を使ってモニターを壁に掛けたり、アームに取り付けたりすることができます。
ミニPCの中には、あらかじめこのVESAマウント用のブラケットが付属しているモデルも多く、モニター背面に固定するだけで、まるで“オールインワンPC”のように使えるのが魅力です。
ミニPCをVESAマウントに取り付ける前に準備するもの
実際に取り付け作業に入る前に、必要な部材やチェックポイントを整理しておきましょう。
- VESA対応のミニPC：底面または背面にネジ穴があるかを確認。付属ブラケットがあると安心です。
- モニターのVESA規格：75×75mm、100×100mmなど、ミニPCと合っているかチェック。
- ブラケット（取り付け金具）：ミニPCに付属していない場合は、汎用のVESAブラケットを購入します。
- ネジ・スペーサー：モニターの厚みや形状によっては、付属のネジでは長さが合わないことがあります。
- ドライバーなどの工具：プラスドライバーが基本。必要に応じて六角レンチも。
- ケーブル類：電源、HDMI、USBケーブルなどを短めで整理できるように準備します。
作業前にはモニターの電源を抜き、周囲を広く確保しておくのがポイントです。背面作業ではモニターを倒すこともあるので、布などを敷いて傷防止も忘れずに。
ミニPCのVESAマウント取り付け手順
ここからは、実際の取り付け手順をステップごとに紹介します。
ステップ1：設置場所を確認する
まずは、モニター背面のVESA穴を確認します。
スタンドやモニターアームを使っている場合、その金具がVESA穴をすでに占有していることがあります。この場合は、VESA拡張プレート（アダプター）を使うと便利です。
また、ミニPCを取り付けた際に、モニターの角度調整や回転の妨げにならないかも確認しておきましょう。
ステップ2：ミニPCにブラケットを取り付ける
次に、ミニPC本体にブラケットを取り付けます。
ミニPCの底面にあるネジ穴に、付属または用意したブラケットを固定します。ネジの締めすぎには注意してください。筐体を傷めたり、内部基板に負荷をかけたりする可能性があります。
ブラケットを付けた状態で一度モニター背面に当て、ケーブルポートや電源ボタンの位置を確認しておくと安心です。
おすすめは、USBや電源ボタンが上または横を向くように設置すること。アクセス性がぐっと良くなります。
ステップ3：モニター側のマウント準備
モニター背面のネジ穴にブラケットを取り付けます。
このとき、モニター背面が凹んでいたり、金属プレートが出っ張っていると、ブラケットが平らに固定できないことがあります。その場合は、スペーサーやワッシャーを挟んで高さを調整します。
壁掛け金具やモニターアームと共用する場合は、ネジの長さを確認。
「短すぎて固定できない」「長すぎてモニターを貫通しそう」などの失敗もあるため、慎重に合わせましょう。
ステップ4：ミニPCをブラケットに固定
モニター側のブラケットが固定できたら、ミニPCをそこに取り付けます。
多くのVESAマウントは、スライド式や引っ掛け式になっているので、カチッとはめるだけでOK。
ネジ止めするタイプの場合は、緩まないようにしっかり固定します。軽く揺すってもガタつかないかチェックしましょう。
念のため、ゴムワッシャーなどを挟むと振動対策になります。
ステップ5：ケーブルを整理して完成
最後に、電源ケーブル・HDMIケーブルなどを接続します。
ケーブルが長いと背面で絡まってしまうので、ケーブルタイで軽くまとめておくのがコツです。
また、モニターアームを動かしたときにケーブルが引っ張られないよう、少し余裕を持たせましょう。
配線を整えたら完成。正面から見てもPCが見えない、スマートなデスク環境の出来上がりです。
取り付け時の注意点とトラブル防止策
排熱対策を忘れずに
ミニPCは小型な分、発熱しやすい構造です。背面に取り付けることでモニターの熱も加わり、内部温度が上がることがあります。
通気口を塞がないよう、数ミリの隙間を確保するのが理想です。
もしモニターと壁の距離が近い場合は、ブラケットで少し浮かせるように取り付けると効果的。吸気ファンがモニター側を向いているモデルでは、向きを変えるだけでも温度上昇を抑えられます。
ケーブルの長さと取り回し
ケーブルの取り回しは、ミニPCの取り付けで最も悩む部分です。
モニター背面で短いケーブルを使うとスッキリ見せられますが、長さが足りないと端子が抜けやすくなります。
おすすめは、少し余裕のあるケーブル＋ケーブルクリップで固定。
見た目も美しく、モニターを動かしてもケーブルが引っ張られません。
特にDisplayPortやHDMIケーブルは、差し込みが浅いと映像信号が途切れる原因になるので、確実に奥まで挿し込みましょう。
モニターアームとの干渉
モニターアームを使っている場合、VESAプレートが共用になるため取り付け位置に制限が出ることがあります。
このとき便利なのが「VESA拡張プレート」。モニターとミニPCを縦や横に並べて取り付けられるようになります。
ただし、ミニPCを追加することでモニター全体の重量バランスが変わります。
アームの耐荷重を必ず確認し、必要なら一段階上のモデルに交換しておくと安全です。
ネジの緩みチェック
長期間使っていると、振動や熱の影響でネジが少しずつ緩むことがあります。
設置から数週間後に一度ネジを締め直しておくと、落下防止になります。
また、金属ネジがモニター背面の金属プレートと直接当たる場合は、絶縁ワッシャーを挟むと静電気対策にもなります。
メンテナンス性の確保
背面設置は見た目がスッキリする一方で、メンテナンス時に手間がかかります。
頻繁にUSBメモリや外付けHDDを使う人は、前面ポートを上向きに設置したり、延長ケーブルを手元まで引き出したりすると使いやすくなります。
また、内部の清掃やメモリ交換を行う場合は、モニターを倒してから作業する必要があります。年に一度は背面を外してホコリを掃除するのがおすすめです。
VESAマウントでミニPCを取り付けるメリット
- デスクが広くなる
モニター背面に取り付けることで、机の上がスッキリ。小型デスクや在宅ワークにも最適です。 - ケーブル管理がしやすい
モニターとミニPCを一体化できるので、配線が短く整理しやすいです。 - 見た目がスマート
PCが視界に入らないことで、空間全体がミニマルになります。特にケーブルレス化を目指す人には効果的。 - 盗難防止にも
オフィス環境などでは、PCを背面に固定することで持ち去りを防ぐ効果もあります。
よくある失敗と対処法
- ネジの長さが合わない
→ スペーサーやワッシャーを使って高さを調整する。 - モニターアームに干渉する
→ VESA拡張プレートを使って配置をずらす。 - 熱がこもる
→ 通気口の向きを変え、ブラケットで数ミリ浮かせる。 - ケーブルが抜けやすい
→ 短めの高品質ケーブルを使い、クリップで固定。
こうしたポイントを押さえておくと、長く安定して使えます。
ミニPCをVESAマウントに取り付ける方法のまとめ
ミニPCをVESAマウントに取り付けることで、デスク環境は格段に快適になります。
ただし、排熱・ケーブル・ネジの長さといった細部を軽視すると、せっかくの設置も台無しです。
「安全・通気・使いやすさ」を意識して、正しい手順で取り付けましょう。
一度セットアップが終われば、見た目も作業効率もぐっと上がります。
デスクの裏で静かに動くミニPC――そのコンパクトな力を、ぜひ最大限に活かしてください。
