GMKTECのミニPCを使っていると、ふと「もう少し動作を軽くしたい」と思う瞬間があるはずです。ブラウザのタブをたくさん開いたり、画像編集や動画視聴を同時に行ったりしていると、メモリ不足で動作が重くなることも。
そんなときに有効なのが「メモリ増設」です。この記事では、GMKTECミニPCのメモリ増設について、対応規格から実際の手順、注意点までをわかりやすく解説します。
GMKTECミニPCとは?特徴をざっくりおさらい
GMKTECは、中国・深センを拠点とするミニPCメーカー。代表的なモデルには「GMKTEC NucBox M7」シリーズ(M7、M5 Plus、K6、G3など)があり、小型ながらデスクトップに匹敵する性能と拡張性を持っています。
他社のミニPCと比べても、GMKTEC製は内部構造がシンプルで、ユーザー自身によるメモリ・SSDの換装が比較的やりやすいのが特徴です。
多くのモデルがノートPC用のSODIMMメモリを採用しており、増設を前提に設計されています。つまり、少し知識があれば誰でもアップグレードできる、というわけです。
まず確認すべき「対応規格」
メモリを購入する前に、必ず自分のGMKTECミニPCが対応している規格を確認しましょう。
モデルによって使用できるメモリの種類が違うため、ここを間違えると動作しないこともあります。
主な規格の違い
- DDR4 SODIMM(1.2V、3200MHz):GMKTEC NucBox G3など、比較的古めのモデルに多い。
- DDR5 SODIMM(1.1V、4800〜5600MHz):GMKTEC NucBox M7やGMKTEC NucBox K6など最新世代モデルが対応。
DDR4とDDR5は互換性がありません。スロット形状も違うため、どちらか一方にしか差せないようになっています。
また、モデルによってはスロット数が1本しかない場合もあり、その場合は「換装」扱いになります。
スロット数と最大容量の目安
GMKTECのミニPCには、モデルごとにスロット構成が異なります。
- GMKTEC NucBox M7:DDR5×2スロット、最大64GB(32GB×2)
- GMKTEC NucBox K6:DDR5×2スロット、最大64GB
- GMKTEC NucBox M5 Plus:DDR4×2スロット、最大32GB
- GMKTEC NucBox G3:DDR4×1スロット、最大16〜32GB(非公式報告あり)
2スロット構成なら、メモリを2枚搭載して「デュアルチャネル化」することで帯域幅が広がり、処理速度が向上します。
一方、1スロットの場合は「シングルチャネル」動作になりますが、それでも容量増加による快適さは大きいです。
増設・換装の前に準備しておくこと
メモリ増設は簡単そうに見えますが、いくつか注意すべき準備があります。
- データのバックアップ
万一のトラブルに備えて、重要データは外部ドライブなどに退避しておきましょう。 - 静電気対策
静電気でパーツを壊すリスクがあります。作業前に金属部分を触って放電し、可能であれば静電気防止リストバンドを使うと安心です。 - 正しいメモリの選定
自分のモデルに合ったSODIMM規格を選びます。同一メーカーや同一速度のメモリを揃えると相性問題が起きにくくなります。 - 電源を完全に切る
電源を落とし、アダプターも抜いてから作業します。残留電流がある状態で作業すると故障の原因になります。
GMKTECミニPCのメモリ増設手順(共通の流れ)
モデルによって多少異なりますが、多くのGMKTECミニPCは以下のような手順で増設できます。
1. ケースを開ける
底面または上面のネジを外し、カバーを取り外します。
内部にはSSDスロットやメモリスロットが見える構造になっています。
モデルによっては、冷却ファンケーブルがつながっている場合があるので、強く引っ張らないよう注意してください。
2. メモリスロットを確認
スロットが1本なら既存メモリを抜いて新しいものに交換、2本ある場合は空きスロットを利用します。
金属製の固定フックを軽く広げると、メモリが斜めに浮き上がる構造です。
3. メモリを差し込む
メモリの切り欠き位置をスロットの突起に合わせ、斜めに差し込みます。
そのまま下に押し込むと「カチッ」と音がしてロックされます。
4. カバーを戻す
ケーブルや部品を挟まないように注意しながら、カバーを閉じてネジを元に戻します。
5. 起動して認識を確認
電源を入れて、BIOSやWindowsの「システム情報」でメモリ容量を確認します。
正しく認識されていれば成功です。
メモリ増設後の効果
メモリを増設すると、どんな変化があるのでしょうか。実際のユーザーの声から見えてくる傾向は次の通りです。
- Chromeで多数のタブを開いても動作がスムーズになった
- NotionやCanvaなどのWebアプリがサクサク動く
- 軽い動画編集や画像処理でもカクつきが減った
- 複数アプリを同時に使ってもストレスが少ない
特に16GB→32GB、またはデュアルチャネル化した際の体感差は大きいようです。
一方で、CPU性能がボトルネックになっているケースでは「多少の改善」程度にとどまることもあります。
よくあるトラブルと対処法
認識されない・容量が減って表示される
メモリの接触不良や相性問題の可能性があります。
一度抜き差ししても改善しない場合は、規格(DDR4/DDR5・電圧・速度)を再確認しましょう。
起動しない・ブルースクリーンが出る
メモリの初期不良、または規格不一致が疑われます。
別のスロットに差す、片方だけで起動するなどして原因を切り分けましょう。
デュアルチャネルにならない
2枚構成でも認識が片方のみなら、速度や容量が異なるモジュールの組み合わせが原因のことがあります。
同一型番・同一仕様のメモリを揃えるのが理想です。
メモリ増設の注意点と保証について
GMKTECの一部モデルは、ユーザー自身でのメモリ交換が保証対象外になる場合があります。
正規代理店や販売店によって扱いが異なるため、購入元の保証規定を必ず確認しましょう。
また、作業に自信がない場合は、PC修理業者やパーツショップに依頼するのも一つの手です。
費用は数千円程度ですが、安全に作業できる点で安心感があります。
おすすめのメモリブランド
GMKTECユーザーの間で動作報告が多いのは以下のブランドです。
- Crucial(マイクロン製で信頼性が高い)
- Kingston(互換性の幅が広く、価格も手頃)
- Samsung(安定性に定評あり)
- Corsair、G.Skill(自作PCユーザーにも人気)
国内正規品を選ぶと、初期不良時の交換対応もスムーズです。
GMKTEC NucBox M7のメモリ増設はコスパ最強のアップグレード
小型PCだからといって、性能アップを諦める必要はありません。
GMKTECのミニPCは、内部構造がシンプルでメモリ増設も比較的簡単。
正しい規格を選んで手順通りに作業すれば、誰でも快適な環境を手に入れられます。
16GBモデルなら32GBへ、8GBなら16GBへ——このアップグレードだけでも、普段使いの快適度は見違えるはず。
最後にもう一度。増設前には必ず対応規格と保証を確認し、焦らず安全に作業してください。
あなたのGMKTECミニPCを、もう一段上のパフォーマンスへ。
それが「メモリ増設」というシンプルかつ効果的な一歩です。
