さて、あなたの手元に、あるいは購入候補の中に「iPhone 6s Plus」はありますか?2015年に登場してから、はや年月が経ちましたね。「まだ使えるの?」「中古で買う価値はあるの?」——そんな疑問が、まず頭に浮かぶのではないでしょうか。
心配はご無用です。結論からお伝えすると、適切な期待値と向き合えば、iPhone 6s Plusは2026年の今でも「使える」選択肢です。大切なのは、最新機種と同じ体験を求めるのではなく、この機種の持つ「変わらぬ魅力」と「知っておくべき限界」を理解すること。光学式手ぶれ補正を備えたカメラや、懐かしの3.5mmイヤホンジャックなど、今となっては貴重な特徴もまだ生きています。
この記事では、長期ユーザーとして愛用し続けるコツ、あるいは中古で迎え入れる際のチェックポイントを、余すところなくお話しします。11年の時を超えて、この一台とどう付き合っていくべきか、一緒に考えていきましょう。
なぜ今もiPhone 6s Plusが話題になるのか? その根強い人気の理由
発売から10年以上経った今でも、一定の話題を集め続けるiPhone 6s Plus。その背景には、単なる「古い機種」という枠を超えた、確かな理由があります。
第一に挙げられるのは、圧倒的なコストパフォーマンスです。最新のフラッグシップ機種と比べれば、中古市場での価格は非常に手頃。それでいて、「iPhone」としての基本性能はしっかりと保たれています。電話、メール、SNS、Webブラウジング、動画視聴——日常生活の根幹をなす通信やエンタメには、いまだに十分応えてくれるのです。
次に、後継機種にはない「あるある機能」 が支持を集めています。そう、3.5mmイヤホンジャックです。高音質な有線イヤホンをそのまま使える便利さは、音楽愛好家にとっては見逃せないポイント。また、ホームボタンに組み込まれたTouch IDも、マスク生活が定着した時代において、顔認証(Face ID)よりも確実にロックを解除できる手段として、一部のユーザーから支持されています。
そして何より、5.5インチという画面サイズのバランスの良さが評価されています。コンパクトさを追求する現在の流れの中でも、このサイズは動画やWebサイトを見るのにちょうどよく、かつ片手での操作性(Reachability機能など)も考慮された、かつての「ゴールデンバランス」なのです。
これらの特徴が、「最新でなくてもいい、自分に必要な機能が詰まっている」と考える実用主義的なユーザーや、「サブ機として手軽に欲しい」という層に、末長く愛される理由となっています。
2026年、iPhone 6s Plusで「できること」と「難しいこと」の現実
では、実際のところ、どのような使い方が現実的で、どこに限界を感じるのでしょうか。11年目の実力を、良い面も厳しい面も含めて、ありのままに見ていきましょう。
いまでも快適にこなせること
- 日常の基本操作:メッセージの送受信、メールチェック、カレンダーの管理は何の問題もありません。
- SNSとWeb閲覧:Twitter、Instagram、Facebookなどの主要アプリは、最新バージョンのサポートが終わっている場合もありますが、多くの場合インストール済みのアプリは動作します。Webサイトの閲覧も快適です。
- 動画視聴と音楽再生:NetflixやYouTubeでの動画視聴は問題なく、大きな画面はそのまま強みです。SpotifyやApple Musicでの音楽再生も、3.5mmジャックを活かせば高音質で楽しめます。
- 軽い写真撮影:1200万画素のカメラは、光学式手ぶれ補正のおかげで、日中のスナップショットであればまだまだ現役。SNSに投稿する程度の画質は十分に確保できます。
快適さに影を落とす可能性があること
- 最新アプリや大型ゲーム:メモリ(2GB)とプロセッサ(A9チップ)の制約から、最新の高負荷な3Dゲームや、機能が高度化したアプリは動作が重くなったり、インストール自体ができない場合があります。
- バッテリーの持ち:使用歴が長ければ長いほど、バッテリーの劣化は避けられません。頻繁な充電が必要になる覚悟は必要です。
- OSとセキュリティアップデート:公式なiOSの機能アップデートはiOS 15で終了しています。セキュリティアップデートは継続される場合もありますが、最新機種と同じレベルのセキュリティ保護は期待できません。
- マルチタスク:複数のアプリを同時に切り替えながら使う作業では、アプリが頻繁にリロード(最初から読み込み直し)されることが多く、作業の流れが妨げられるかもしれません。
この「できること」と「難しいこと」の線引きを理解することが、この機種とストレスなく付き合い、長く愛用するための第一歩です。
長く使い続けるための必須メンテナンス:バッテリーとストレージ
年季の入ったiPhone 6s Plusと末永く付き合うには、2つのポイントに特に気を配る必要があります。それは「バッテリー」と「ストレージ」です。ここをケアするかどうかで、日常の満足度は大きく変わります。
バッテリー寿命と交換の判断基準
内蔵電池は消耗品です。設定アプリの「バッテリー」→「バッテリーの状態」から「最大容量」を確認してみてください。80%を切っていると、ピークパフォーマンスが維持できず、突然のシャットダウンが起こりやすくなります。「最大容量」表示がない場合は、劣化が進んでいるサインと考えて良いでしょう。
バッテリー交換は、この機種を「生き返らせる」最も効果的な方法のひとつです。交換後は明らかに持ちが良くなり、動作も安定します。交換方法は主に2つ。
- Appleまたは認定業者に依頼する:公式の部品と技術で安心ですが、費用は高めになる傾向があります。現在のプログラムや費用は、Apple公式サポートページで最新情報を必ず確認してください。
- 信頼できる町の修理店で交換する:費用を抑えられる選択肢です。ただし、技術力と使用部品の品質に差があるため、口コミや評判をよく調べることが肝心です。
ストレージを圧迫させないスマートな使い方
ストレージ(保存容量)が逼迫すると、動作が著しく重くなり、アプリの更新すらできなくなります。これを防ぐための習慣を紹介します。
- 写真・動画のクラウド移行:iPhoneにたまった大量の写真や動画は、iCloud写真やGoogleフォトなどのクラウドサービスにバックアップした上で、端末から削除しましょう。「最適化iPhoneストレージ」設定をONにすれば、オリジナルはクラウドに、端末にはコンパクトなバージョンだけが残ります。
- 使用しないアプリのアンインストール:使わないアプリは思い切って削除し、必要になった時だけ再インストールする習慣を。
- メッセージ履歴の自動削除設定:設定アプリの「メッセージ」から、古いメッセージを自動で削除する期間(例えば「1年」)を設定できます。
これらのメンテナンスは、年齢を重ねたiPhone 6s Plusに、もうひと頑張りしてもらうための投資だと考えてください。
中古購入を検討する人へ:失敗しないためのチェックリスト
市場にはまだ多くのiPhone 6s Plusが出回っています。中古で購入する際は、以下のポイントを必ず確認し、後悔のない買い物をしましょう。
購入前に絶対に確認すべき4項目
- 動作確認(特にタッチとボタン):画面のタッチ感度(特に端の方)にムラはないか。ホームボタン、サイドボタン、音量ボタンが確実に反応するか。ロック解除用のTouch ID(指紋認証)が正常に登録・動作するかは重要です。
- バッテリーの状態:設定画面で「最大容量」が確認できれば理想的です。表示がない、または極端に低い(80%以下)ものは、購入後すぐに交換が必要になる可能性が高いです。出品者の説明もよく読みましょう。
- 外観と湾曲の有無:傷やへこみは想定内としても、本体が明らかに湾曲していないかをチェックしてください。ポケットなどで強い力が加わり続けると発生することがあり、内部基板に負担がかかっているサインです。
- ネットワークロック(SIMロック)の有無:どの通信会社のSIMカードでも使える「SIMフリー」かどうかは最重要事項です。ロックがかかっていると、自分の使いたいキャリアで使えません。多くのモデルは時期が経過しロック解除されていますが、必ず確認を。
容量とモデルの選び方
- ストレージ容量:当時は16GB/64GB/128GBモデルがありました。16GBモデルは、現代のアプリサイズを考えるとほぼ使い物にならないため避けるべきです。64GBが最低ライン、余裕を持たせたいなら128GBを目指しましょう。
- モデル確認:裏面の細かい記載や「設定」→「一般」→「情報」からモデル番号(A1634など)が確認できます。これは必須ではありませんが、ごく初期のモデルと後期のモデルで微細な違いがある場合があるため、気になる点があれば調べてみると良いでしょう。
iPhone 6s Plusと後継機種(iPhone 7/8/SE)との違いとは?
「もう少し予算を足せば、もう少し新しい機種も買えるかも…」そんな逡巡もあるでしょう。主要な後継機種と比べて、iPhone 6s Plusは何を失い、何を保っているのか、比較してみます。
- iPhone 7 Plusとの比較:iPhone 7 Plusは、防水防塵性能、パフォーマンス向上(A10 Fusionチップ)、立体音響スピーカーなどで明らかに進化しています。しかし、3.5mmイヤホンジャックを廃止し、ホームボタンが物理ボタンから圧感式(Taptic Engine)に変わりました。「確実なホームボタンの押し心地」と「イヤホンジャック」を取るか、「性能向上と防水」を取るかの選択になります。
- iPhone 8 Plusとの比較:ガラスバックによるワイヤレス充電、さらに高性能なチップ(A11 Bionic)が搭載されています。こちらもイヤホンジャックはありません。価格差が大きいため、ワイヤレス充車やより未来のある性能に投資する価値があるかが判断基準です。
- iPhone SE(第2世代以降)との比較:最新のプロセッサを搭載し性能は段違いで、価格も抑えめです。しかし、画面は4.7インチと小さく、デュアルカメラや光学式手ぶれ補正もありません。「最新の処理速度とコンパクトさ」と「大画面と光学式手ぶれ補正」 という、全く異なる魅力の間の選択となります。
この比較からわかることは、iPhone 6s Plusを選ぶという決断は、最新のスペックや機能を捨てる代わりに、ある種の「確かな手触り」と「コストパフォーマンス」を手に入れる選択だということです。
それでもiPhone 6s Plusを選ぶ価値がある人のためのまとめ
ここまでの話を踏まえて、改めて考えましょう。iPhone 6s Plusはどんな人にとって、今でも輝く選択肢なのでしょうか。
それは、技術の進歩よりも、確実性と自分に必要な機能を優先する人です。大きな画面で動画を見たり、慣れ親しんだホームボタンで操作し、愛用の有線イヤホンで音楽に没頭する——そんな「変わらない日常の豊かさ」を大切にする人。あるいは、メインのスマホとは別に、リスクを分散させるためのサブ機として、SNSアカウントを分けたり、子どもに渡して使わせたりする用途にも、そのコスパの良さは光ります。
もちろん、最新アプリをバリバリ使いこなし、常に最速の体験を求める方には、もはや適していません。しかし、「スマホがこれだけ進化した今でも、あの機種にしかない良さがある」と感じるのであれば、それは紛れもない事実です。
iPhone 6s Plusとの付き合いは、所有する「モノ」について深く考えるきっかけを与えてくれます。私たちは本当に、毎年「新しさ」を追い求める必要があるのでしょうか。時には、古き良きものとじっくり付き合い、その魅力を最大限に引き出す知恵を絞ることも、また一つの豊かさなのかもしれません。
iPhone 6s Plusとスマートに付き合い、長く愛用するための最終アドバイス
いかがでしたか?「iPhone 6s Plusはまだ使える?」という問いへの答えは、あなたの使い方と期待値の中にあります。
この記事でお伝えしたかったのは、ただ単に「使えます」という事実ではなく、「使えるようにするためには、どう意識し、どう手入れすれば良いか」 という具体的な道筋です。バッテリーの状態を見極め、ストレージを整理し、中古購入時には慎重にチェックする。そして何より、この機種の持つ「変わらぬ強み」と「自明の限界」を正しく理解して付き合うこと。
テクノロジーの世界は常に前へ前へと進みます。しかし、そのスピードにただ翻弄されるのではなく、時には立ち止まって、自分に本当に必要なものは何かを考える。そんな余裕を持たせてくれるのが、iPhone 6s Plusのような歴戦の機種なのかもしれません。
あなたがもし、今もこの一台と共にあるなら、もう一度大切に扱ってみてください。もし迎え入れようか悩んでいるなら、そのリスクと魅力を天秤にかけて、納得のいく選択をしてください。11年の時を経て、なお愛され続ける理由が、きっとそこにあるはずです。
