ガーミン(Garmin)は、多くのランナーやサイクリストにとって欠かせないデバイスメーカーです。
しかし、ここ数年、Garmin Connectをはじめとしたシステム障害がたびたび話題になっています。
「突然アプリが繋がらない」「データが同期できない」──そんなとき、いったい何が起きているのでしょうか。
この記事では、過去の代表的な障害の発生状況と、その背景、ユーザーが取るべき対処法をわかりやすく整理します。
2020年の大規模システム障害──ランサムウェア攻撃の衝撃
まず最も有名なのが、2020年7月に発生した「Garmin史上最大の障害」です。
当時、Garmin Connectが世界的にダウンし、アクティビティの同期やログ閲覧ができなくなりました。
サーバー障害かと思いきや、実際にはランサムウェア(身代金ウイルス)によるサイバー攻撃が原因だったと後に報じられています。
攻撃によって社内ネットワークや生産システムまで暗号化され、復旧には数日を要しました。
ユーザーが感じた影響は次のようなものでした。
- Garmin Connectが開けず、ラン記録の同期ができない
- スマートウォッチのペアリングやアップデートが失敗する
- オンラインストアやサポートも停止し、修理依頼や購入が中断
一方で、Garminは「顧客の個人情報が流出した形跡はない」と発表。
最終的には段階的にサービスが復旧し、ユーザー側のデータも問題なく反映されました。
この事件は、IoT時代におけるセキュリティの脆弱性を強く印象づけた出来事でもあります。
2025年初頭の障害──再び世界的なアクセス不能
そして2025年1月、Garmin Connectを中心に再び障害が発生しました。
ランニング、ゴルフ、ダイブなど複数のアプリやウェブサービスが一時的にダウンし、世界中のユーザーがアクセスできない状態に。
対象となったのは次のサービス群です。
- Garmin Connect
- Garmin Golf / Dive / Jr.
- Connect IQ(アプリストア)
- LiveTrack / Garmin Express
- Tacx(スマートトレーナー関連)
このときは数時間で復旧したものの、SNS上では「今朝のランがアップできない」「チャレンジが消えた」といった声が相次ぎました。
Garminは詳細な原因を公表していませんが、外部攻撃やメンテナンス不具合など、いくつかの可能性が指摘されています。
なお、デバイス本体の機能には影響がなかったため、アクティビティはローカル保存されており、後に自動で同期されました。
デバイス自体の不具合──「青い三角」問題も発生
2025年1月末には、システム障害とは別に「デバイスが起動しない」という現象も報告されています。
画面に青い三角形が表示されたまま止まり、動かなくなるというものです。
これはサーバー障害ではなく、ファームウェアの不具合とみられており、サポートセンターでは以下のような対応が案内されました。
- 再起動またはリセットを行う
- Garmin Expressでソフトウェアを再インストール
- 改善しない場合は修理依頼を検討
こうした個別のトラブルは、システム障害とは別軸で発生するため、原因を切り分けて考えることが重要です。
障害発生時のユーザーへの影響
Garminのシステム障害は、単なる「アプリが開かない」レベルを超えることがあります。
特にGarmin Connectはデバイスの中核サービスであり、ここが止まると次のような機能に支障が出ます。
- アクティビティ履歴の同期・閲覧
- トレーニング計画やチャレンジ機能
- 健康データ(睡眠・心拍数・ストレス)のアップロード
- 決済機能(Garmin Pay)
- 他社サービス(Stravaなど)との連携
つまり、Garminの魅力である「クラウド連携機能」が一時的にすべて止まってしまうのです。
とはいえ、デバイス自体は独立して動作するため、活動記録そのものは保存されています。
復旧後に同期すれば、データは失われません。これはGarminの設計上の強みといえます。
ガーミンのシステム障害時に取るべき対処法
障害が起きたとき、焦ってアプリを再インストールしたり、デバイスを初期化するのは避けましょう。
まず確認すべきは「Garmin Connectのステータスページ」です。
Garminは公式サイト上で、各サービスの稼働状況を公開しています。
そこに「Down」「Degraded performance」と表示されていれば、サーバー側の問題です。ユーザーの操作で解決することはありません。
基本的な流れは次の通りです。
- 公式ステータスページで障害情報を確認する
- ネットワーク環境をチェックし、時間をおいて再試行
- アクティビティはデバイス内に保存されるため、慌てて削除しない
- 復旧後に自動同期、またはPC経由で手動アップロードする
また、もしスマートウォッチが起動しない場合は、再起動・ソフト更新・サポートへの連絡を順に試します。
Garminの公式サポートはメールや電話対応もありますが、障害発生時は混雑しやすいため、公式SNSやヘルプセンターで情報収集するのも有効です。
システム障害が起きる背景──なぜ繰り返されるのか
GarminはGPS技術をベースに、ウェアラブル端末から航空機用システムまで幅広い分野にサービスを展開しています。
そのため、クラウド上のインフラが非常に複雑で、障害が発生した場合の影響範囲も大きいのが特徴です。
主な原因として考えられるのは次の3点です。
- サイバー攻撃のリスク:2020年のようなランサムウェア被害
- システム更新やクラウド移行時のトラブル:メンテナンス中のエラー
- 外部連携サービスの障害:StravaやApple Healthなど外部APIの不具合
Garminはこれらに対処するため、セキュリティ強化や障害報告体制の改善を進めてきました。
ただし、完全にリスクをゼロにすることは難しく、ユーザーとしても「障害は起こりうるもの」と理解しておくことが大切です。
利用者ができる備えとリスク回避策
トラブルを未然に防ぐことは難しいですが、被害を最小限にする工夫は可能です。
- データのバックアップを習慣化する
Garmin ExpressでPCに同期し、FITファイルをローカル保存しておけば安心です。 - クラウド依存を減らす
StravaやTrainingPeaksなど、複数のプラットフォームに分散させると障害時の影響を抑えられます。 - ファームウェア更新を定期的に行う
不具合修正やセキュリティ向上が含まれるため、アップデートを放置しない。 - SNS・公式フォーラムをチェック
他のユーザーの報告で障害発生を早期に把握できる場合があります。
日頃からこうした意識を持つだけでも、障害発生時のストレスは大きく軽減されます。
ガーミンのシステム障害情報まとめ|発生状況と対処法を徹底チェック(まとめ)
Garminのシステム障害は、ユーザーにとって避けられないリスクのひとつです。
2020年のランサムウェア攻撃、2025年の世界的障害、そして個別デバイスの不具合──いずれも一時的ではあるものの、影響は広範囲に及びました。
しかし、冷静に対処すればデータが消えるわけではなく、復旧後に正常に同期されるケースがほとんどです。
重要なのは「焦らないこと」「情報を確認すること」「普段から備えておくこと」。
テクノロジーが進化する一方で、サービス障害は完全にはなくなりません。
それでも、正しい知識を持っていれば、Garminを安心して使い続けることができます。
これからもGarminの最新情報や障害報告を注視しながら、自分のデータを守る意識を持っていきましょう。
