パソコンの小型化が進み、いまや「ミニPC」がデスクトップに代わる選択肢として注目を集めています。その中でも、快適にクリエイティブ作業をこなしたい人が選ぶのが“メモリ32GB搭載モデル”。
動画編集やAI処理などの重たい作業をスムーズにこなすためには、CPUやストレージだけでなく、メモリ容量が大きな鍵を握ります。
この記事では、32GBメモリを搭載したおすすめのミニPCをピックアップしつつ、「なぜ32GBが重要なのか」「どんな用途に向いているのか」「選び方のポイント」をわかりやすく解説していきます。
なぜミニPCで「メモリ32GB」が注目されているのか
一昔前まで、16GBあれば十分といわれていたPCメモリ。ところが、動画編集・AIツール・仮想環境・画像生成などの処理が増え、アプリも年々メモリを多く消費するようになりました。
特にミニPCは省スペースながらノートPC並みのパワーを発揮できるため、デスクトップ並みのメモリ容量を積むことでその性能を引き出せます。
たとえば4K動画を編集していると、ソフトが素材やプレビューをメモリ上に一時展開します。16GBではギリギリ動くレベルでも、複数のエフェクトを重ねたり、他アプリを並行で使うと動作が重くなりがち。
32GBあれば、その余裕が一気に広がり、作業中のストレスが激減します。
AI処理も同様です。画像生成AIやローカルで動作するチャットAIなど、メモリを大量に使うタスクが増えています。小さな筐体でこれらを快適にこなすには、32GBが“現実的な上限かつ最適解”といえるでしょう。
動画編集に強いミニPCを選ぶポイント
動画編集用としてミニPCを検討するなら、メモリだけでなく、CPU・ストレージ・グラフィックス性能もバランスが重要です。
- CPUはRyzen 7以上またはCore i7以上
動画のエンコードやエフェクト処理に関わるため、性能の高いCPUを選ぶのが基本。近年はRyzen 7 7840HSやCore i7-1360Pなど、低消費電力でも高性能なCPUを積むミニPCが増えています。 - ストレージはNVMe SSDを選ぶ
素材の読み書きが頻繁に発生するため、速度の速いSSDが必須。1TB以上あると安心です。 - 複数モニター出力対応
4K×2やトリプルモニター対応のミニPCも増えています。動画編集ではタイムライン・プレビュー・資料を同時に開くことも多いため、出力端子の数は要チェックです。 - 冷却性能と静音性
小型PCは熱がこもりやすいのが難点。高性能なモデルほど発熱も大きくなるため、静音ファンやヒートパイプ搭載モデルがおすすめです。
AI処理・プログラミング用途でも活躍する理由
AI系アプリケーションの多くは、大量のメモリを確保して一時的に計算を行います。
画像生成AI「Stable Diffusion」などは特に顕著で、16GBでは動作が不安定になるケースもありますが、32GBあれば安定して推論を実行可能です。
また、ミニPCをローカルサーバーとして使い、AIモデルを常時動かすユーザーも増えています。
Ryzen 7やRyzen 9シリーズには内蔵GPU(Radeon 780Mなど)が搭載されており、軽量AIモデルであれば単体GPUなしでも処理が十分こなせます。
さらにThunderboltやOCuLinkポートを備えたモデルなら、将来的に外部GPUを接続して性能を拡張することも可能です。
開発者にとっても、Dockerや仮想マシン環境を複数立ち上げる際、32GBメモリは非常に心強い。AI・データ解析・Webサーバー用途まで、幅広いニーズを満たしてくれます。
実力派おすすめミニPC厳選
ここからは、国内外で評価の高い「32GBメモリ搭載ミニPC」を紹介します。いずれもコンパクトながら処理性能が高く、動画編集やAI処理に十分対応できるモデルです。
Beelink SER8(Ryzen 7 8845HS / 32GB DDR5)
最新のRyzen 7 8845HSを採用したハイエンドミニPC。DDR5メモリで帯域幅も広く、4K編集やAI推論でも安定。トリプル4K出力や2.5GbE LAN、Wi-Fi 6Eにも対応しています。価格と性能のバランスが非常に優秀です。
MINISFORUM UM870 Slim(Ryzen 7 8745H / 32GB)
薄型筐体ながら放熱設計がしっかりしており、静音性も高いモデル。Radeon 780M内蔵GPUが強力で、動画再生や軽い3D処理も快適。省電力性と高性能を両立しています。
GMKtec M5 Plus(Ryzen 7 5825U / 32GB)
コスパ重視ならこの一台。価格は6万円台ながら、32GBメモリとNVMe SSDを標準搭載。一般的な編集作業やAI画像生成、プログラミング用途なら十分なパフォーマンスです。
BOSGAME P4 PRO(Ryzen 7 5800U / 32GB)
低価格ながら4K×3画面出力、USB-C(10Gbps)対応など拡張性が豊富。家庭用や副業用の動画編集マシンとしても人気です。
GEEKOM A9 Max AI(Ryzen AI 9 HX370 / 32GB)
AI特化の最上位モデル。CPU内蔵NPU(ニューラル処理ユニット)を活かしてAIタスクをオフロードできるため、ローカルAIを軽快に動かせます。8K出力対応で将来性も抜群です。
ミニPCを選ぶ際の注意点
性能面では申し分のないミニPCですが、選ぶ際はいくつか注意すべきポイントがあります。
- 冷却構造を必ず確認する
高性能CPU+32GBメモリは発熱が増えます。レビューで温度管理が良いモデルを選ぶことが大切。 - 電源仕様や保証体制をチェック
海外メーカー製はACアダプタの形状や電圧が異なる場合があります。国内正規品や国内保証付きモデルを選ぶと安心。 - 拡張性に過度な期待をしない
ミニPCは筐体が小さいため、内部に空きスロットが少ないです。購入時に十分な容量・構成になっているか確認しましょう。 - ソフトの最適化にも注意
動画編集ソフトやAIツールによっては、CPUやGPUよりもストレージ速度に依存する場合があります。SSD性能もあわせてチェックを。
ミニPCは省スペースで静音、そして“未来志向”
32GBメモリ搭載ミニPCの魅力は、単に性能だけではありません。
手のひらサイズなのに、静音で、電力消費も少なく、どこにでも置ける。この省スペース性が、デスク環境を大きく変えます。
ノートPCのように持ち運べて、デスクトップのような拡張性を備える。
そんなミニPCは、在宅ワークから動画編集、AIアプリ開発まで、あらゆる場面で“ちょうどいい”存在になりつつあります。
まとめ:メモリ32GB搭載ミニPCで快適な作業環境を手に入れよう
動画編集やAI処理を本気でやりたいなら、メモリ32GB搭載のミニPCは非常におすすめです。
Ryzen 7やCore i7クラスのCPU、DDR5メモリ、NVMe SSDを備えたモデルなら、ほとんどのクリエイティブ作業を快適にこなせます。
「小さくても妥協しない性能」
それが、いまのミニPCに求められる価値です。
自分の用途に合ったモデルを選び、ストレスのない作業環境を作っていきましょう。
メモリ32GB搭載ミニPCは、これからの時代にフィットする“スマートな選択肢”です。
