ゲームを思い切り楽しみたいなら、グラフィックボードやCPUだけでなく「メモリ（RAM）」にも気を配る必要があります。
メモリは、ゲームデータやアプリの一時的な処理領域として機能する重要なパーツ。容量や速度の選び方次第で、同じゲームでも体感の快適さがまったく違ってきます。
この記事では、ゲーミングPCにおけるメモリの選び方や容量の目安、そして長く快適に使うためのポイントをわかりやすく解説します。
メモリは「作業机の広さ」──ゲーム体験を左右する要素
メモリ（RAM）は、CPUやGPUがデータをやり取りする際の「作業机」のような役割を果たします。
机が狭いと、資料やツールを一度に広げられず効率が下がる。これと同じように、メモリが少ないとゲームデータを一度に処理できず、動作がカクついたり、読み込みが遅くなったりします。
特に最近のPCゲームは、テクスチャやAI処理などデータ量が膨大。メモリ不足の影響が顕著に出やすくなっています。
「CPUもGPUも良いのに、なんだか重い」と感じる場合、意外とボトルネックはメモリにあるかもしれません。
ゲーミングPCに必要なメモリ容量の目安
では、実際にどのくらいの容量が必要なのでしょうか。ここでは、プレイスタイル別に目安を見ていきましょう。
● 8GB：最低限動くが、今はおすすめできない
かつては標準的だった8GBも、今では軽めのゲーム専用という立ち位置になりました。
2Dインディーゲームや昔のタイトルであれば問題ありませんが、最新の3Dゲームやオープンワールド作品では動作が厳しく、頻繁にカクつく可能性があります。
将来的な拡張を見越すと、最初から16GB以上を選ぶ方が結果的にコスパが良いでしょう。
● 16GB：現在の主流であり、ほとんどの人にとっての最適解
今、最も多くのゲーマーに選ばれているのが16GBです。
多くのタイトルをフルHD環境で快適にプレイでき、マルチタスクもある程度こなせます。
ブラウザやチャットツールを併用しても安定しており、動画視聴やストリーミングも余裕があります。
「迷ったら16GB」を選んでおけば、しばらくは困ることはないでしょう。
● 32GB：余裕を持ちたい人・配信や編集もする人向け
ゲーム配信や録画、動画編集などを同時に行うなら、32GBを選ぶのが安心です。
4K解像度でのプレイや高リフレッシュレート環境、さらに複数アプリを並行して起動する場合にも安定します。
最新のAAAタイトルでは16GBではギリギリなケースも増えており、32GBなら余裕をもって対応可能。
将来的にゲームの要求スペックが上がることを考えても、長く快適に使える容量です。
● 64GB以上：特殊用途向けの“プロ仕様”
64GB以上は、ゲーミング用途だけならオーバースペック気味です。
ただし、ゲームと同時に動画編集・3Dレンダリング・配信ソフトを動かすようなクリエイター用途では効果を発揮します。
「ゲームも仕事もPCで完結させたい」という人には、検討する価値があります。
DDR4とDDR5、どちらを選ぶべき？
メモリには「DDR4」と「DDR5」という規格があります。
DDR5は最新規格で、処理速度が速く、省電力性も高いのが特徴。一方で価格が高めで、マザーボードやCPUも対応している必要があります。
もし新しくPCを組む、または購入する場合は、DDR5対応モデルを選んでおくと今後のアップグレードにも有利です。
ただし、すでにDDR4環境を使っている場合、無理に買い替える必要はありません。DDR4でも十分に快適なゲーミングが可能です。
メモリ速度（クロック）と体感の違い
メモリには「3200MHz」「5600MHz」といった動作周波数があり、数値が高いほど高速になります。
とはいえ、体感の差はCPUやGPUほど大きくありません。
例えば、DDR4-2666MHzから3200MHzに上げても、数％のフレームレート向上にとどまることが多いです。
そのため、速度よりも容量を優先したほうがコスパは良いと言えるでしょう。
ただし、オーバークロックや競技FPSなど、少しでも応答を早くしたい人には高速メモリも有効です。
デュアルチャネル構成で性能を引き出す
メモリは1枚より2枚セットで使う方が効率的です。
2枚（例：8GB×2や16GB×2）を同時に使うことで「デュアルチャネル構成」となり、転送速度が向上します。
ゲームでは平均して3〜10％ほどのパフォーマンス差が出ることもあります。
将来の拡張を見越すなら、空きスロットを残しておくか、同一仕様のメモリを後から追加できるようにしておくのがおすすめです。
配信・マルチタスク時に注意すべきポイント
ゲームをしながらOBS StudioやDiscord、ブラウザ、音声ソフトなどを開くと、メモリの使用量が一気に増えます。
16GBではメモリが逼迫し、フレーム落ちやラグの原因になることもあります。
このような使い方をする人は、最初から32GB構成にしておくと安心。
「余裕がある」と感じるくらいが、実際にはちょうどいいバランスです。
将来を見据えたメモリ選びのコツ
ゲームの進化スピードは早く、今後も必要メモリ容量は増加傾向にあります。
数年前は8GBで十分だったものが、今では16GBが標準。数年後には32GBが当たり前になる可能性もあります。
長く快適に使いたいなら、少し余裕をもった容量を選んでおく方が結果的に経済的です。
また、メモリスロットの数や最大搭載容量など、マザーボードの仕様を確認しておくと後々の増設もスムーズに行えます。
メモリだけに頼らない“快適な環境づくり”
メモリを増やすだけでは、すべての問題が解決するわけではありません。
CPUの処理能力やGPUの性能、ストレージの速度（特にSSDかどうか）も全体の快適さに大きく関わります。
つまり、メモリはあくまで“バランスの一部”。
理想は、CPU・GPU・ストレージ・メモリのバランスを取りながら構成を決めることです。
もし迷ったら、信頼できるメーカーや専門店の構成例を参考にするのも良いでしょう。
ゲーミングPCのメモリ選びのポイントとは？まとめと目安
最後にもう一度、ゲーミングPCのメモリ選びで押さえておきたいポイントを整理します。
- ゲーミング用途の基本ラインは 16GB。
- 配信や編集、複数アプリを同時に使うなら 32GB が理想。
- 8GBは軽いゲーム限定、64GB以上は特殊用途向け。
- DDR5は将来性が高いが、DDR4でも十分実用的。
- デュアルチャネル構成を意識して設計する。
- 容量を優先しつつ、速度や拡張性も確認する。
- 「今だけでなく、数年後も快適に遊べるか」を基準に選ぶ。
ゲーミングPCのメモリは、ゲームの動作を支える土台のような存在です。
容量が足りないと、せっかくの高性能パーツも十分に力を発揮できません。
あなたのプレイスタイルや予算に合わせて、最適な容量を選び、快適なゲーム環境を整えてみてください。
