最近「シチズン CZ Smartが欲しいけど、どこのお店にもない」「もしかして撤退しちゃったの?」という声をよく聞くようになりました。
結論から言うと、はい、シチズンのスマートウォッチは事実上、市場から撤退しました。 でも、この「撤退」にはちょっと複雑な事情があるんです。
ただ単に「やめました」で終わらせるのはもったいないので、なぜそうなったのか、まだ買えるのか、そして今、私たちは何を選べばいいのかを、順を追ってわかりやすくお話しします。
なぜシチズンのスマートウォッチは買えなくなったのか
まず大前提として、多くの方が「シチズンが自社で開発したスマートウォッチ」だと思っていた「Citizen CZ Smart」シリーズ。実はこれ、アメリカのファッション時計大手「Fossil(フォッシル)」がライセンス契約に基づいて製造・販売を担当していた製品なんです。
つまり、中の心臓部やソフトウェアの管理はFossilが行い、外側のデザインやブランドをシチズンが監修する、という協業体制でした。
そのFossilが、2024年1月にWear OSスマートウォッチ市場からの完全撤退を発表。これがすべての始まりです。親会社がいなくなった以上、子ブランドであるシチズンのスマートウォッチも道連れになるのは必然でした。
Fossilはなぜ負けてしまったのか
Fossilが市場を去った理由はシンプルです。「太刀打ちできなかった」から。
具体的にはこんな厳しい現実がありました。
- 圧倒的なブランド力の差: スマートウォッチ市場はApple WatchとSamsung Galaxy Watchが市場の大半を掌握。Fossilグループ全体でもシェアはわずか2%程度でした。
- ソフトウェア対応の遅れ: GoogleがWear OSを大型アップデートした際、Fossil側のハードウェアとソフトウェアの最適化がうまく進まず、ユーザー体験で大きな遅れを取ってしまいました。
- ビジネスとしての限界: 巨額の開発費をかけても、Apple Watchのような圧倒的な販売数がないため、どうしても儲けが出せなかったのです。
いま市場に出ているCZ Smartを買っても大丈夫? そのリスクを解説
ここが一番気になるポイントですよね。すでに新品は家電量販店や公式オンラインストアから姿を消しましたが、フリマアプリや一部の並行輸入品店ではまだ販売されています。「あの伝統的なシチズンのデザインが忘れられない」「2万円以下で見つけたんだけど…」という方もいるでしょう。
正直なところ、今からあえて購入するのは、かなりリスクが高いです。 私はおすすめしません。
その理由をきちんと説明しますね。
- ソフトウェア更新の終了: スマートウォッチの命はOSのアップデートです。Fossilは既存ユーザーへの数年間のサポートを約束していますが、それは「致命的なバグを直す」レベルの話。新機能の追加や、最新アプリへの対応は期待できません。Androidのバージョンが上がるたびに、どんどん使い勝手が悪くなっていく可能性があります。
- セキュリティリスク: 常にネットに繋がっているデバイスなのに、セキュリティパッチが提供されなくなるのは怖いことです。個人情報を扱うデバイスとして考えると、リスクを無視できません。
- バッテリーの劣化: すでに製造から時間が経っている在庫品です。リチウムイオンバッテリーは使わなくても経年劣化します。買った当初からバッテリーの持ちが悪い、ということも十分ありえます。
「安物買いの銭失い」にならないためにも、ここはグッとこらえて、次の選択肢を検討するのが賢い判断です。
アナログ時計の「シチズン」は何も変わっていません
ひとつだけ、ものすごく大事なことをお伝えさせてください。
今回の撤退は、あくまでも「Fossilが作っていたスマートウォッチ事業」からの撤退です。 日本のシチズン時計が本業としている、あの「The CITIZEN」や「アテッサ」「エクシード」といった、光発電エコ・ドライブや高精度クオーツを搭載したアナログ時計の事業は、これまで通り一切変わりなく続いていきます。
「え、シチズンの時計ってもう買えないの!?」と早とちりして、お気に入りのアナログモデルを慌てて買い占めたりしなくて大丈夫。そちらはむしろ、ますます技術に磨きがかかっています。どうかご安心を。
シチズンのスマートウォッチ撤退後に選ぶべき次の一本
「じゃあ、伝統的な時計ブランドのスマートなデザインと、ちゃんと定期的にアップデートされる安心感を両立させたいんだけど…」というあなたのために、今、自信を持っておすすめできる選択肢を紹介します。
シチズンCZ Smartが目指していた「時計としての美しさ」と「スマートな機能」という絶妙なバランスを、これからも安心して使い続けるために、以下の3つの視点で次の一本を探してみてください。
1. Google純正の安心感: Google Pixel Watch
「Wear OSの開発元とハードウェアメーカーが一緒なら、そりゃあ最適化も完璧だよね」という正攻法の選択。丸みを帯びた美しいデザインは、従来の腕時計好きの心もくすぐります。Fitbitの高度な健康管理機能が最初から統合されているのも魅力です。シチズンのように、定期的なソフトウェア更新が長く約束されているという点でも、最も安心できる移行先の一つです。
2. 全方位で隙のない万能選手: Samsung Galaxy Watch
クラシックモデルには物理回転ベゼルが搭載されていて、操作しているときの「カチカチ」という感触が、機械式時計好きにはたまりません。Galaxyスマホとの連携はもちろんスムーズですが、他のAndroidスマホとも相性が良いです。豊富な文字盤(ウォッチフェイス)で、ビジネスシーンにもフィットする顔になります。
3. コストパフォーマンスならこれ: Mobvoi TicWatch
「とにかくWear OSを試してみたい」「サブ機として気軽に使えるものが欲しい」という方に。MobvoiはWear OSに長くコミットしているメーカーで、価格の割に機能が充実しています。独自のヘルスケアアプリがプリインストールされている点もユニークです。
「撤退」という言葉に惑わされず、今一番いい相棒を選ぼう
シチズンのスマートウォッチ撤退は、ひとつの時代の終わりを感じさせます。あの絶妙なデザインと、手首に伝わる質感を惜しむ声が多いのも、とてもよくわかります。
しかし、テクノロジーの進化は待ってくれません。どんなに良い時計でも、ソフトウェアアップデートが止まってしまうスマートウォッチは、ただの「動かなくなるリスクを抱えたアクセサリー」に変わってしまいます。そうなる前に、未来への投資という意味でも、今まさに進化の真っただ中にある現行モデルに目を向けてみませんか?
あなたの次のスマートウォッチライフが、技術的な不安のない、もっと自由で楽しいものになることを願っています。
