ワイヤレスイヤホンを選ぶとき、スペック表にある「AAC対応」という文字を目にしたことはないでしょうか。
実はこの“AAC”という言葉、音質にも使い勝手にも大きく関わる重要なポイントなんです。今回は、AACとは何か、なぜ対応モデルを選ぶべきなのか、そしておすすめのイヤホンを紹介していきます。
そもそもAACって何? 知っておきたい音声コーデックの基本
ワイヤレスイヤホンでは、音をBluetoothで無線伝送するために「コーデック」と呼ばれる圧縮方式が使われます。
代表的なのがSBC、AAC、aptX、LDACなど。これらは「音の情報をどんな方法で送るか」を決めるルールのようなものです。
AAC(Advanced Audio Coding)は、もともとMP3の後継として作られた圧縮技術。
同じビットレートでもより高音質を実現できるとされており、Apple製品では標準のコーデックとして採用されています。
つまりiPhoneやiPadで音楽を聴くなら、AACに対応したイヤホンを使うことで最も安定した音質を得やすいというわけです。
AAC対応モデルを選ぶべき理由① iPhoneとの相性が抜群
AAC最大のメリットは、iPhoneやiPadなどApple製品との相性の良さです。
Apple製品はBluetooth接続時に基本的にAACを使用する設計になっており、他のコーデック(aptXやLDAC)には対応していません。
そのため、AAC非対応のイヤホンを使うとSBCという汎用コーデックで通信することになり、音質が落ちる可能性があります。
AAC対応モデルであれば、音の立体感や高域の抜けが自然に再生され、ワイヤレスでも“有線に近い音”を感じられます。
特にストリーミング音楽や動画視聴など日常的な使い方では、AAC対応モデルのほうが明らかにバランスが良いと感じる人が多いです。
AAC対応モデルを選ぶべき理由② SBCより音がクリア
Bluetoothイヤホンの最低限の規格であるSBCは、どんな端末でも使える一方で圧縮率が高く、音の情報が失われやすいという弱点があります。
それに対してAACは、同じビットレートでもより多くの音の情報を保持できる設計です。
その結果、高音のザラつきや低音のボヤけが少なく、ボーカルや楽器の輪郭がはっきり聴こえます。
「ワイヤレスだから音質は仕方ない」と思っていた人でも、AAC対応イヤホンに替えると驚くほど音の印象が変わるでしょう。
特にポップスやボーカル中心の曲では、その違いを実感しやすいです。
AAC対応モデルを選ぶべき理由③ 対応機器が多く、互換性が高い
AACはAppleだけでなく、AndroidスマートフォンやPC、タブレットなど幅広い機器に搭載されています。
つまり、端末を買い替えてもイヤホンを買い直す必要がない、というのがAACの魅力。
将来的にiPhoneからAndroidに乗り換える場合でも、AAC対応モデルであれば問題なく使えます。
さらに、多くの音楽配信サービス(Apple Music、YouTube Musicなど)はAAC形式で音源を配信しています。
音楽データそのものがAACなので、再エンコードによる音質劣化も少なく、音源本来の品質を保てるという点も見逃せません。
AAC対応モデルを選ぶべき理由④ 手頃な価格帯にも豊富に揃う
高音質コーデックといえばaptXやLDACなどが有名ですが、これらは対応機器が限られており、対応イヤホンも比較的高価です。
一方、AACは中価格帯から低価格帯のイヤホンにも多く採用されています。
つまり、コスパ良く音質を高めたい人にとって、AAC対応モデルは現実的でバランスの取れた選択肢になります。
1万円以下でもAAC対応モデルは豊富にあり、通勤・通学や在宅ワーク、動画視聴まで幅広く使えます。
「とりあえず音質がいいワイヤレスイヤホンがほしい」という人にもピッタリです。
AAC対応イヤホンの注意点も知っておこう
メリットが多いAACですが、万能というわけではありません。いくつか注意点もあります。
まず、Android端末ではAACの動作が機種によって異なる点。
AndroidはaptXやLDACを優先的に使う機種も多く、AACを使ってもiPhoneほど安定した音質を得られないことがあります。
そのため、Androidユーザーは自分の端末がどのコーデックに最適化されているか確認しておくと安心です。
また、AACは遅延(音のズレ)がSBCより少ないとはいえ、完全にゼロではありません。
音楽再生では気にならなくても、ゲームや映画など映像と音の同期が重要な場面では、わずかな遅れを感じる場合があります。
そのような用途では、低遅延モードを搭載したイヤホンを選ぶのがおすすめです。
AAC対応ワイヤレスイヤホンおすすめランキング
ここでは、音質・価格・使い勝手のバランスが良いAAC対応モデルを紹介します。
いずれも評判が高く、日常使いにぴったりのラインナップです。
1. Anker Soundcore P40i
コスパの高さで定評のあるAnkerの最新モデル。
AAC対応でクリアな音質を実現し、低音もパワフル。マイク性能も良く、通話用途にも向いています。
7,000円台という価格ながらノイズキャンセリングやマルチポイント接続にも対応しており、初心者にもおすすめです。
2. SONY WF-G700N(INZONE Buds)
音質と遅延対策の両立を狙ったモデル。
ゲームや動画視聴に強く、AAC対応に加え独自の低遅延モードを搭載。
装着感も軽く、長時間使っても疲れにくいのがポイントです。
3. EarFun Air Pro 3
6,000円台ながら高音質を実現した人気モデル。
AAC対応でボーカルが明瞭に聴こえ、アクティブノイズキャンセリングも搭載。
デザインもスタイリッシュで、コスパ重視派から支持されています。
4. ELECOM LBT-TWS13BK
日本メーカーらしい安定感が魅力の低価格モデル。
AAC対応で、はっきりとした中高音が特徴。軽量でフィット感も良く、日常使いに向いています。
手軽に試せる価格帯ながら品質が高い点が好評です。
5. OWLTECH 完全ワイヤレスイヤホン TWS AAC/aptX対応
国産ブランドのエントリーモデル。
AACとaptXの両方に対応しており、iPhoneでもAndroidでも快適に使える万能機。
4,000円台と手に取りやすく、初めてのワイヤレスイヤホンにもおすすめです。
AACと他コーデックの違いを理解して、自分に合った選択を
AACの位置づけを簡単にまとめると、「日常使いにちょうどいい音質と安定性を両立したコーデック」です。
一方で、より高音質を求めるならLDACやaptX Adaptiveも選択肢に入ります。
ただし、それらは端末やイヤホンの両方が対応していないと機能しないため、万人におすすめできるわけではありません。
iPhoneユーザーであれば迷わずAAC対応モデルを。
Androidユーザーなら、自分の端末がAACをどの程度最適化しているか確認しつつ選びましょう。
ワイヤレスイヤホンでAAC対応モデルを選ぶべき理由とこれからの選び方
ワイヤレスイヤホンの進化は目覚ましく、音質・機能・デザインすべてが年々向上しています。
その中でもAAC対応モデルは、音質と価格、使いやすさのバランスが取れた“ちょうどいい選択肢”。
特にiPhoneユーザーにとっては、最も自然なサウンド体験を得られるベストマッチです。
これからイヤホンを選ぶなら、「AAC対応かどうか」をまずチェックしてみてください。
そして、自分のライフスタイルや聴く音楽のジャンルに合わせて、最適なモデルを見つけましょう。
ワイヤレスでも、音を楽しむ時間を妥協しない――その第一歩がAAC対応イヤホンです。
