「iPhoneの国設定、変えたいな…」と思ったこと、ありませんか?
海外旅行に行く前に現地の便利アプリを入れておきたい、海外移住でその国のApp Storeを使いたい、日本にいながらアメリカのApp Storeでしか配信されていないゲームをやりたい…。理由は人それぞれでしょう。
でも、ちょっと待ってください。「iPhoneの国設定」って、一体何を変えることなのか、ちゃんと分かっていますか?実はこれ、「Apple IDの国/地域を変更すること」と「iPhone本体の言語と地域を変更すること」の2つがごっちゃになりやすくて、ここを間違えると「あれ?思ってたんと違う…」ってなるんです。
今回は、このややこしい「iPhone 国 設定」について、できること・できないことをスッキリ整理しながら、正しい変更方法と注意点を解説していきます。
iPhoneの国設定には2種類あるって知ってた?
まず最初に押さえておきたい大前提があります。iPhoneの「国設定」と一口に言っても、実は2つのまったく別の設定が存在するんです。
ひとつは「Apple IDの国/地域」。もうひとつは「iPhone本体の言語と地域」。
この2つは目的も影響範囲も全然違います。変更前にしっかり区別しておきましょう。
Apple IDの国/地域設定とは?
これは、あなたがAppleのサービスを利用するためのアカウント(Apple ID)に紐づいた「国」の情報です。ここを変更すると、以下のようなものに影響が出ます。
- App Storeで表示されるアプリ
- Apple Musicのカタログ
- iTunes StoreやApple Booksで買える映画・音楽・本
- Appleの各種サービスの料金(iCloud+のプラン料金など)
- 支払い方法(クレジットカードやギフトカードの種類)
つまり、「どんなコンテンツが楽しめるか」を決めるのが、このApple IDの国/地域設定なんです。
iPhone本体の言語と地域設定とは?
一方こちらは、iPhoneの画面表示やデータの形式を整えるための設定。設定アプリの「一般」→「言語と地域」から変更できます。ここで変わるのは、あくまで見た目や表記ルールです。
- 画面に表示される言語
- 日付の表示形式(2024年9月1日 / Sep 1, 2024)
- 時刻表記(24時間表記か12時間表記か)
- 通貨や数値の区切り方
- カレンダーの形式(和暦/西暦)
例えば、アメリカに旅行に行くからと言って、iPhone本体の地域を「アメリカ」に設定しても、App Storeで日本のアプリが突然アメリカのものに切り替わったりはしません。単に日付表示が「Sep 1, 2024」になるだけです。
この違い、結構大事ですよ。
どうして国設定を変えたいの?目的別・最適な変更方法
さて、あなたが「国設定を変えたい」と思った目的は何でしょうか?目的によって、取るべきアクションが変わってきます。いくつかパターン別に見ていきましょう。
海外旅行や短期滞在で現地のアプリを入れたいだけなら
「Uberを入れたい」「現地の宅配ピザを頼みたい」といった場合、わざわざApple IDの国/地域を変更する必要は、実はあまりありません。
なぜなら、日本のApp Storeのままでも、多くの現地アプリはダウンロードできるからです。検索してみてください。見つからない場合は、アプリの開発元がWebサイトで直接配布しているケースもあります(ただし、セキュリティには十分注意してください)。
どうしても現地のApp Storeでしか見つからないアプリがある場合は、次の方法を検討します。
特定の国のアプリをどうしても使いたい!という場合
この場合は、「新しいApple IDをその国で作る」のが実は一番安全で確実です。
既存のApple IDの国設定を変えちゃうと、後で日本に戻った時にまた変更手続きが必要になります。しかも、その都度サブスクリプション(定期購読)を解約したり、残高をゼロにしたりと、けっこう面倒なんです。
新しいApple IDを作るデメリットは、アカウントを2つ管理しなきゃいけないこと。サインインし直す手間はありますが、元のアカウントに影響がないのは大きなメリットです。
海外移住・長期滞在で生活の拠点を移す場合
ここで初めて、既存のApple IDの国/地域を変更するという選択肢が本格的に意味を持ちます。
その国のクレジットカードを登録して、その国のApp Storeでアプリを購入し、その国のApple Musicを楽しむ。生活の基盤がその国に移るなら、Apple IDの国を変えるのは自然な流れです。
ただし、後述する「変更前に絶対やらなきゃいけないこと」がたくさんあります。移住の手続きのひとつとして、計画的に進めましょう。
Apple IDの国/地域を変更する具体的な手順と注意点
では、いよいよ本題のApple IDの国/地域変更です。ここからは、公式情報に基づいた正しい手順と、絶対に押さえておくべき注意点を解説していきます。
変更前に絶対チェック!7つの必須条件
国/地域の変更をしようとすると、途中で「変更できません」とエラーが出ることがよくあります。それは、以下の条件のどれかが満たされていないからです。変更を始める前に、必ず確認しましょう。
- Apple IDの残高がゼロであること: App Store & iTunes ギフトカードなどでチャージした残高が残っていると変更できません。使い切るか、Appleサポートに問い合わせて返金リクエストをする必要があります。
- アクティブなサブスクリプション(定期購読)がないこと: Apple Music、iCloud+、Apple Arcade、さらにはApp内課金のサブスクリプション(アプリの月額プランなど)も対象です。これらは全て解約または期限が切れるのを待つ必要があります。
- 予約注文・レンタル・シーズンパスなどが完了していること: iTunesやApple Booksで予約中のコンテンツなどがないか確認しましょう。
- アプリのアップデート待ちがないこと: App Storeのアイコンに「アップデート」の数字バッジが付いていたら、全てアップデートを実行してください。
- Apple IDを過去30日間以内に変更していないこと: 頻繁な変更は制限されています。
- 家族共有グループを脱退していること: 家族共有を利用している場合、グループを抜ける必要があります。
- 新しい国で有効な支払い方法と請求先住所が用意できること: ここが最大のハードルです。
変更手順は意外とシンプル
条件が整ったら、以下の手順で変更します。
- iPhoneで「設定」アプリを開きます。
- 画面上部の自分の名前(Apple ID)をタップします。
- 「メディアと購入」をタップします。画面が切り替わったら「アカウントを表示」をタップします。※Face IDやパスワードを求められる場合があります。
- 「国/地域」をタップします。
- 「国または地域を変更」をタップし、移動先の国を選びます。
- 画面の指示に従って、新しい国で有効な支払い方法と請求先住所を入力します。
たったこれだけです。でも、問題は最後の「支払い方法」ですね。
最大の壁「支払い方法」をどうクリアするか
例えば、日本のクレジットカードを持ったまま、アメリカのApp Storeに変更しようとします。すると、支払い方法の入力画面で、アメリカで発行されたクレジットカードかPayPal(アメリカのアカウント)を求められることがほとんどです。日本のクレジットカードは、基本的には通りません。
じゃあ、どうするのか。王道は「その国のApp Store & iTunes ギフトカードを購入して、コードを redeem(引き換え)する」という方法です。
- オンラインで「アメリカ App Store ギフトカード」などと検索して、購入できるサイトを探します(公式のApple Gift Cardは日本ではアメリカ向けのものを買うのが難しい場合もあるので、信頼できる販売代理店を利用しましょう)。
- 購入したコードを、変更後のApp Storeで引き換えて、アカウントに残高をチャージします。
- 支払い方法の選択画面で「なし(None)」が選べる場合(国による)はそれを選び、残高で支払うようにします。
この方法が現実的です。中国のApp Storeなど、さらに制限が厳しい国もあるので、事前に情報収集は必須ですよ。
国設定を変えると何ができなくなる?変更後のリスクと注意点
変更が無事に終わっても、それで終わりではありません。変更した後には、いくつかの「できなくなること」が発生します。覚悟しておきましょう。
一番困る!日本で買ったアプリのアップデート問題
これは本当に多くの人が引っかかるポイントです。
日本のApp Storeで買った(ダウンロードした)アプリは、Apple IDの国を変えた後はアップデートできなくなります。なぜなら、アップデートを配信しているのは「日本のApp Store」だからです。
アメリカのアカウントから、日本のApp Storeのアプデート情報は見えません。アプリのアイコンに「アップデート」マークが出ても、タップするとパスワードを求められ、エラーになる…という状態になります。
対処法は以下の通りです。
- そのアプリをもう使わないなら削除する: 潔く諦めるのも手です。
- 日本版Apple IDにサインインし直してアップデートする: アカウントを切り替えればアップデートは可能です。ただし、アカウントを切り替えると、今度はアメリカで買ったアプリが使えなくなる(アップデートできなくなる)ので、いたちごっこです。
この「二重管理」の煩わしさを理解した上で、国変更に踏み切る必要があります。
SuicaやPASMOが使えなくなることも
Apple Payの話です。日本で大活躍のSuicaやPASMOは、日本のApple IDに紐づいているケースがほとんどです。
Apple IDの国/地域を変更すると、Walletアプリの挙動が変わり、これらの交通系ICカードが使えなくなる、または追加できなくなる可能性が高いです。
海外移住するならともかく、日本と海外を行き来する予定があるなら、この点はかなり痛いですよね。
サブスクリプションは全て終了
先ほども言いましたが、Apple MusicやiCloud+などのApple提供のサブスクリプションは、国変更時に自動的に解約されます。残っている期間の返金は基本的にないので、更新日の直前に変更するのが無難でしょう。
また、アプリ内課金のサブスク(NetflixやSpotifyなど)も、アカウント情報が変わったことで認識エラーを起こす可能性があります。変更後は各アプリでサインインし直したり、契約情報を確認する必要があるでしょう。
困ったときのQ&A:よくあるトラブルと解決策
最後に、実際にユーザーからよく寄せられる質問とその答えをまとめておきます。
Q. 「国または地域を変更できません」とエラーが出ます
A. まずは条件を再チェック!
このエラーの9割は、サブスクリプションの解約漏れか、残高が残っていることです。特にファミリー共有をしていると、知らないうちに誰かが共有のサブスクに入っていることも。設定アプリの自分の名前→「サブスクリプション」で、全ての契約を確認しましょう。自分で解約したつもりでも、期間が完全に切れるまでは変更できないこともあります。
Q. 日本のクレジットカードしかないけど、どうすれば…?
A. その国のギフトカードを買うのが現実的です。
上でも書きましたが、これが最も一般的な方法です。Amazon.com(アメリカ版)などでデジタルコードを購入し、自分のメールアドレスに送ってもらい、それをApp Storeで引き換えます。くれぐれも、怪しいサイトから安く売られているギフトカードを買わないようにしてくださいね。
Q. 元の国(日本)に戻せますか?
A. 戻せますが、また同じ手間がかかります。
「やっぱり日本に戻りたい」と思ったら、同じ手順で再度日本のApp Storeに変更可能です。ただし、その際も「日本のApp Storeで有効な支払い方法(日本のクレジットカードなど)」が必要になります。また、海外のアカウントに残高が残っていれば、それを使い切るか、何らかの処理をしなければ戻れないので注意しましょう。
Q. LINEのトーク履歴は消えますか?
A. 消えません。ご安心を。
Apple IDの国設定を変えても、iPhone本体のデータ(写真、LINEのトーク履歴、連絡先など)が消えることはありません。ただし、何かあった時のために、iCloudやPCにバックアップを取ってから作業するのが安心です。
Q. キャリア(ドコモ・au・ソフトバンク)は関係ありますか?
A. 基本的には関係ありません。
Apple IDの国設定は、あくまでAppleのサービスの話です。電話の電波状況やキャリアのサービスが変わるわけではありません。海外で使う場合は、別途キャリアの海外ローミングサービスに加入するか、現地のSIMカードを購入する必要があります。ただし、SIMロックがかかっているiPhoneは、海外のSIMカードが使えないので注意してください。
iPhoneの国設定、特にApple IDの国/地域変更は、やれることとやれないことがハッキリしている反面、その手続きにはかなりの慎重さが求められます。
「あのアプリが欲しい!」という情熱だけで飛びつかず、今回ご紹介した変更前の条件や、変更後のリスク(日本のアプリがアップデートできない問題など)をしっかり天秤にかけて、自分にとって本当に必要な変更なのかどうか、じっくり考えてみてくださいね。
もし決心が固まったなら、手順をひとつずつ丁寧にクリアしていきましょう。新しい国のApp Storeで、あなたのiphoneライフがより広がりますように。
