「iPhone、防水だからサウナでも使えるんでしょ?」
これ、めちゃくちゃ聞く質問です。
実際、僕も友人にそう聞かれたことがあります。そして当時は「え、大丈夫なんじゃないの?」と適当に答えました。でも後日、その友人はiPhoneのバッテリーを膨張させて修理に出していました。
この記事では、iPhoneをサウナに持ち込むリスクと、どうしても必要な場合の正しい対策をまとめます。
「サウナで音楽聴きたい」「時間を計測したい」「せっかくだから写真撮りたい」
そんな気持ち、よくわかります。でもその“ちょっとした行動”が、高額な修理代を生むかもしれません。
iPhoneの防水、その本当の限界
まず知っておきたいのは、iPhoneの防水性能の正体です。
最新のiphone 16やiphone 15シリーズはIP68等級。水深6メートルで30分間の耐水性を持っています。
ただ、ここで大きな誤解が生まれています。
IP68の試験は、すべて常温(15〜35℃)で行われているという事実。
つまり「防水=高温でも大丈夫」ではまったくないんです。
Appleの公式サポートページには、こう明記されています。
動作環境温度: 0℃〜35℃
サウナ室の温度は80℃〜100℃。動作保証温度の約3倍です。
もう少し踏み込むと、保管温度ですら45℃まで。サウナ室はその2倍です。
「防水だから大丈夫」は、海水浴やプールでは成立しても、サウナでは成立しません。
サウナがiPhoneに与える“4つの致命的ダメージ”
1. バッテリーの劣化と発火リスク
リチウムイオンバッテリーは熱にめっぽう弱い。
バッテリー専門メーカーのデータによると:
- 25℃保管:1年後も80%の容量維持
- 45℃保管:1年後には60%以下に低下
- 60℃以上:化学反応が暴走しはじめる危険水域
サウナ室(90℃)に10分置いたiPhoneの内部温度は、60〜70℃に達するという実験結果もあります。
この温度帯になると、バッテリーの寿命は極端に縮みます。最悪の場合、膨張・発火のリスクもゼロではありません。
2. ディスプレイの剥がれ・変色
iPhoneの画面と本体は、極薄の接着剤で固定されています。
高温になるとこの接着剤が軟化。
結果として:
- 画面の浮き
- タッチ感度の異常
- 有機ELパネルの焼き付き・変色
こうした症状が現れます。
3. 防水機能の喪失と“遅れてくる水没”
これ、かなり多いパターンです。
サウナの熱で接着剤がゆるんだ状態で、冷房の効いた休憩室や外気浴へ。あるいはポケットに入れたまま水風呂へ。
温度差で生じた結露が、ゆるんだ隙間から内部へ浸入。
「サウナから出た時は動いてたのに、翌日には電源が入らなくなった」
修理店のスタッフによると、もっとも多い故障パターンのひとつだそうです。
4. Face ID / Touch IDの故障
顔認証や指紋認証のセンサーは精密機器。
熱でキャリブレーション(調整)が狂うと、二度と復帰しないケースもあります。特にTouch IDはホームボタンと一体化しているため、修理そのものが困難です。
実際、どれくらいの人が壊しているのか?
全国のスマホ修理店200店舗へのアンケート(2025年)によると:
1店舗あたり年間平均7.3件の「サウナが原因と思われるiPhone故障」が持ち込まれています。
全国に約2,000店舗の修理店があると仮定すると、年間約15,000件。
決してレアケースではありません。
症状の内訳は:
- 電源が入らない・起動ループ:38%
- バッテリー膨張:24%
- ディスプレイ異常:19%
- Face ID故障:12%
- 水没(結露):7%
修理代金は、バッテリー交換で7,000〜12,000円。基板修理になると3万〜6万円かかることも。
Appleの保証やApple Care+は、高温使用による故障を対象外としています。
つまり、全額自己負担です。
サウナ施設はどう思っているのか?
全国120のサウナ施設に聞いた調査では:
- 全面禁止:68%
- マナーとして自粛要請:26%
- 明示的なルールなし:6%
なんと7割近くの施設が、スマホ持ち込みを明確に禁止しています。
施設側の本音を聞いてみると:
「ロッカーの盗難が心配というお客様の気持ちもわかります。でもサウナ室は90℃です。メーカー保証も効かないと言っているのに『施設の責任だ』と言われると正直困ります」
また、過去3年以内にスマホ故障のクレームを受けた施設は36%。
「禁止と書いてあるのに持ち込んで壊し、責任を問う」——こうしたトラブルが、決して珍しくないのが現状です。
「防水ケースなら大丈夫」は本当か?
Amazonや楽天で売れている防水ケース。密閉型で水は完全シャットアウト。
ただし、熱に関しては別の話です。
人気商品5種類を実際にサウナ(90℃)で検証したデータがあります。
結果:
- 密閉型防水ケース:内部温度60〜75℃
- シリコンカバー:ほぼ無意味
- 真空断熱構造ケース:45〜50℃(効果あり)
- アルミ蒸着ケース:50〜55℃
つまり、完全な防御は事実上不可能。
それどころか、密閉することで熱がこもりやすいという逆効果のケースも。
ユーザーレビューを1,200件分析したデータでは:
「サウナで使えた」という高評価レビューの80%は使用から1ヶ月以内の投稿。
逆に「3ヶ月後に壊れた」という低評価レビューも一定数存在します。
短期的には使えても、長期的にはダメージが蓄積している——そう考えるのが自然でしょう。
それでもサウナで時間管理したいあなたへ
「じゃあ、どうやって時間測ればいいの?」
その疑問、ごもっともです。
iPhone以外の選択肢をいくつか紹介します。
1. サウナ用アナログタイマー
フィンランド製の「Sauna-Timer」など、機械式で電池不要、耐熱100℃以上の製品があります。
磁石が内蔵されているので、サウナ室の壁にペタッと貼るだけ。価格は3,000円前後と手頃です。
2. 耐熱時計
G-SHOCKなど一部のモデルは耐熱60℃まで対応。ただしメーカーは「サウナでの使用は非推奨」としています。
3. サウナストーン型温度計
温度と時間がひと目でわかるアナログ式。サウナ室に備え付けられている施設も増えています。
4. どうしてもiPhoneが必要な場合
- 低温サウナ(60℃以下)限定
- 滞在時間は3分以内
- 断熱性能の高い専用ケースを使用
この3つをすべて守った場合のみ、「絶対に壊れないわけではない」という前提で。
フィンランドの人たちはどうしてる?
サウナ発祥の地、フィンランド。
現地のサウナ協会はこう言います。
「サウナはリラックスと会話の場です。スマートフォンはサウナの外に置くことを推奨します」
Redditの「r/Sauna」コミュニティでは、サウナにスマホを持ち込む行為を “Tourist mistake”(観光客の過ち) と表現するユーザーも。
彼らに「防水ケース」や「耐熱ポーチ」の話をすると、きっと笑われるでしょう。
もしサウナでiPhoneが熱くなったら
万が一、サウナ室内でiPhoneが異常に熱くなった場合:
- すぐにサウナ室から出す
- 冷やしすぎない(急冷は結露の原因)
- 電源を切り、自然冷却
「高温注意マーク」が出たら、デバイス内部が危険水域に達しています。
冷却スプレーや保冷剤は厳禁。常温の日陰で休ませてください。
結論:iPhoneとサウナは別々に
あらためて、この記事の結論です。
iPhoneをサウナに持ち込むリスクは、多くの人が思っているよりはるかに大きい。
- 保証は効かない
- バッテリーは劣化する
- 防水性能は失われる
- 施設からは嫌がられる
それでも「どうしても必要」という状況は、たしかにあります。
でもその“たった10分”のために、数万円の修理代を払う覚悟はありますか?
サウナは「ととのう」ための場所。
スマホの心配をしながら入るサウナほど、もったいないものはありません。
iPhoneの正しい使い方は、メーカーの仕様書に書いてあります。
0℃〜35℃。
サウナはその外側にある——それだけの話です。
どうか、大切なiPhoneを熱中症にさせないであげてください。
