小型で省スペースなのに高性能な「ミニPC」。最近では動画編集やゲーム、ビジネス用途にも活躍していますよね。
でも使っているうちに「ちょっと動作が重いな…」「アプリをたくさん開くとカクつく」と感じたことはありませんか?
そんなときに効果的なのが、メモリ交換・増設です。今回は初心者でもできるように、実際の手順や注意点をわかりやすく紹介していきます。
なぜミニPCのメモリを交換・増設すると速くなるのか
まず、「そもそもメモリって何?」というところから簡単におさらいします。
メモリ(RAM)は、パソコンが作業中に使う“作業台”のようなもの。
この作業台が狭いと、アプリを同時に開いたり動画を編集したりするたびに「机の上がいっぱい」になり、データを出し入れしながら動くため動作が遅くなります。
つまり、メモリを増やせば机が広くなるので、複数の作業を余裕を持ってこなせるようになるというわけです。
特にミニPCはコンパクトさを優先して出荷時のメモリが少なめなことも多く、8GB→16GB、あるいは16GB→32GBにするだけで体感速度がぐっと上がるケースがあります。
動画編集や仮想マシン、ゲームなどを扱う人には特におすすめのアップグレードです。
交換・増設できるかを確認しよう
まず大前提として、すべてのミニPCがメモリ交換できるわけではありません。
モデルによっては、メモリがマザーボードに**半田付け(オンボード)**されているため、交換・増設が不可能な場合もあります。
1. 取扱説明書や公式サイトをチェック
製品ページやマニュアルに「メモリスロット数」「最大容量」「増設可否」が記載されています。
“最大32GBまで対応”などと書かれていれば、交換または増設が可能なモデルです。
2. スロットの種類を確認
ミニPCの多くはノートPC用の**SO-DIMM**(ソーディム)メモリを使用しています。
デスクトップ用のDIMMとはサイズも形も異なるため、誤って購入しないよう注意しましょう。
3. 現在のメモリ構成を調べる
Windowsなら「タスクマネージャー → パフォーマンス → メモリ」を開けば、スロットの使用数や動作速度を確認できます。
空きスロットがあるなら増設、すべて埋まっているなら交換という形になります。
交換前に準備しておくもの
作業自体はシンプルですが、いくつかの準備をしておくと安全でスムーズに進められます。
- 小型のプラスドライバー
- 静電気防止手袋(または金属に触れて放電)
- 新しいメモリ(対応規格を確認)
- 明るく平らな作業スペース
静電気はメモリやマザーボードの大敵です。冬場や乾燥した環境では特に注意してください。
また、作業中にネジを失くしやすいので、トレイや小皿を用意しておくと便利です。
実際のメモリ交換・増設手順
ここからが本番です。作業は落ち着いて、ひとつずつ確認しながら進めましょう。
1. 電源を切ってすべてのケーブルを外す
完全にシャットダウンし、電源ケーブル・USB機器・HDMIなどをすべて取り外します。
その後、電源ボタンを3~5秒押して残留電気を放電しておくと安心です。
2. 本体のカバーを外す
底面や側面にあるネジを外し、筐体を開けます。
ゴム足の下にネジが隠れている場合もあるので注意。
無理にこじ開けると割れることがあるため、丁寧に扱いましょう。
3. 既存メモリの取り外し
両端にある小さなラッチ(固定金具)を外側に押し、メモリを少し傾けて引き抜きます。
端子(金色の部分)には触れないように、側面を持って扱ってください。
4. 新しいメモリの取り付け
新しいメモリの切り欠き(ノッチ)がスロットの溝と一致する方向で差し込みます。
斜めに入れ、しっかり奥まで押し込んだら、ラッチが「カチッ」と固定されるのを確認します。
もし2枚挿しのモデルなら、同じ容量・同じ規格のメモリを2枚セットで使うと“デュアルチャネル”動作になり、処理速度が向上します。
5. カバーを閉じて起動確認
カバーを戻し、ネジを締めて組み立て直します。
ケーブルを接続し、電源を入れて起動。
問題なく起動すれば、増設・交換は完了です。
メモリが正しく認識されているか確認する
起動したら、まずシステムが新しいメモリを認識しているかをチェックしましょう。
- Windowsの場合:「設定 → システム → バージョン情報」または「タスクマネージャー」で確認
- BIOS(UEFI)画面から容量を確認することも可能
容量が増えていれば成功です。
もし起動しない、容量が合わないなどの不具合がある場合は、メモリがきちんと奥まで挿さっていないことがほとんど。
一度外して再度しっかり差し込み直すと改善するケースが多いです。
よくあるトラブルと対処法
・電源を入れても画面が映らない
→ メモリがきちんと挿さっていない可能性があります。再度装着を確認。
それでもだめなら、一度元のメモリに戻して起動できるかを試してください。
・容量が正しく表示されない
→ メモリ規格が異なる(例:DDR5をDDR4スロットに)など、互換性の問題が考えられます。
また、スロットが2つある場合、片方のスロットが故障していることもあります。
・動作が不安定になった
→ 新しいメモリの初期不良や、BIOSのバージョンが古い場合も。
メーカーサイトで最新のBIOSが配布されていれば、更新を検討しても良いでしょう。
どのくらいの容量にすればいいの?
用途によって最適な容量は変わります。以下はあくまで目安です。
- ネット・Office作業中心 → 8GB〜16GB
- 写真・動画編集、軽めのゲーム → 16GB〜32GB
- 4K動画編集、仮想マシン利用などヘビーユース → 32GB〜64GB
基本的には「今の容量の2倍」を目安にすると、快適さの変化を体感しやすいです。
ただし、対応する最大容量を超えるメモリを装着しても認識されないので、必ず仕様を確認してから購入してください。
作業時の注意点とリスク
メモリ交換は比較的安全な作業ですが、注意点もあります。
- 保証が切れる可能性
メーカーによっては分解行為が保証対象外となる場合があります。必ず事前に確認しておきましょう。 - 静電気対策は必須
静電気が原因で部品が壊れることがあります。金属に触れて放電してから作業を始めてください。 - 内部のケーブルや基板に触れない
ミニPC内部は狭く、ケーブルを引っ張ると断線の恐れがあります。触れるのはメモリ部分だけにしましょう。 - 無理な力をかけない
ラッチやスロットは精密部品です。固くても力ずくで押し込まず、角度を調整してゆっくり差し込みましょう。
メモリ交換後の体感と効果
交換後は、アプリの起動時間やファイル操作が明らかに軽くなります。
特に複数のタブを開いての作業や、写真・動画を扱う際の処理がスムーズになるのを実感できるはずです。
また、システム全体の安定性も向上し、スリープ復帰やバックグラウンド処理でのカクつきが減ります。
いわば「息苦しさが取れた」ような動作感に変わる、と感じる人が多いでしょう。
初心者が安心して作業するためのコツ
- 作業前にスマホで内部の写真を撮っておく(元の状態を覚えておける)
- ネジや部品を順番に並べておく
- 作業時間は余裕をもって1時間ほど見ておく
- 初めてなら動画チュートリアルを見ながら進める
特別な技術は不要なので、焦らず慎重に進めれば問題ありません。
「思ったより簡単だった!」という声が多い作業です。
まとめ:ミニPCのメモリ交換で、快適さを手に入れよう
ミニPCのメモリ交換は、性能アップの中でも費用対効果の高いカスタマイズ。
プラスドライバー1本でできるうえ、作業手順さえ守れば初心者でも十分可能です。
- メモリ規格と対応容量を確認
- 静電気に注意して慎重に作業
- BIOSやシステムで認識を確認
- 不具合があれば差し込みを再チェック
これだけで、あなたのミニPCは見違えるほど快適になります。
動作が重く感じてきたら、ぜひ今回の手順を参考にして「メモリ交換・増設」にチャレンジしてみてください。
作業後のスムーズな操作感にきっと驚くはずです。
