「ミニPCに128GBものメモリを積むなんて、本当に必要?」
最近、そんな声をよく耳にします。確かに、かつてのミニPCは「省スペース・低価格・軽作業向け」の印象が強かった。でも今、状況は大きく変わっています。
ハイエンド用途にも対応できる高性能ミニPCが続々登場し、128GBメモリを搭載できるモデルも現実的になってきました。この記事では、実際にどんな機種があるのか、どんな使い方に向いているのかをわかりやすく解説していきます。
128GBメモリ搭載ミニPCはもう「夢物語」じゃない
ここ数年、メモリチップの進化とDDR5/LPDDR5Xの普及で、128GB構成をサポートするミニPCが続々と登場しています。
たとえば「GEEKOM A6」や「MINISFORUM MS-S1 Max」は、公式に128GBメモリ対応をうたうモデル。海外では「Morefine H1」などもLPDDR5X-8000を搭載し、ワークステーション級の性能を小型筐体で実現しています。
この進化の背景には、ミニPCの用途が“軽作業”から“本格処理”へと広がっていることがあります。
動画編集やAIモデルのローカル実行、仮想化テスト環境(ホームラボ)など、これまでフルタワーPCが担っていた作業をミニPCでこなしたい人が増えたのです。
結果、「メモリ64GBでも足りない」という声が出始め、128GB対応が現実的な選択肢になりました。
なぜ128GBメモリが必要になるのか
「そんなにメモリを積んで何に使うの?」と感じる人もいるでしょう。
実際、日常のウェブ閲覧やオフィスワークでは、32GBでも十分です。
しかし、以下のようなハイエンド用途では、128GBの恩恵がはっきり現れます。
- 4K~8K動画編集やカラーグレーディング
高解像度素材を扱うと、編集ソフトが一時的に巨大なデータを読み込みます。64GBでもギリギリ、128GBあれば余裕。 - 3Dモデリング・レンダリング
複雑なシーンや大量のテクスチャを扱うと、メモリ消費が一気に増加します。 - 仮想化・ホームラボ構築
複数の仮想マシンを同時に動かすには、ホストOSとゲストOSの両方でメモリが必要。128GBあると安定稼働が可能です。 - AIモデル・機械学習用途
ローカルでLLM(大規模言語モデル)や画像生成AIを動かす際は、メモリ容量が処理速度と安定性を左右します。
これらの作業では、「メモリが足りない=処理が遅い・止まる・落ちる」というトラブルの原因になりやすく、128GBは“安心運用”のための実用ラインとも言えます。
現在入手できる128GB対応ミニPC
実際に市場で購入できる「128GBメモリ対応ミニPC」をいくつか紹介します。
GEEKOM A6
Ryzen 9 6900HX搭載モデルで、最大128GB DDR5メモリに対応。
最大6TBのSSDも積める拡張性を備えながら、手のひらサイズの筐体を維持しています。
動画編集や軽めの3D作業、仮想環境用サーバーとして十分実用的です。
MINISFORUM MS-S1 Max
AMD Ryzen 9 7945HX3Dを採用し、最大128GB DDR5メモリをサポート。
内蔵GPUも高性能で、AI推論や映像制作にも適しています。
価格は高めですが、ワークステーション代わりに使いたい人に向きます。
Morefine H1
LPDDR5X-8000仕様の128GBメモリを内蔵し、AIタスクやビッグデータ処理に対応。
中国メーカーらしくコスパを重視した構成ながら、最新の冷却技術を搭載して安定動作を実現しています。
こうしたモデルは、いずれも「128GB対応」を強みに掲げており、技術的にも市場的にもすでに実用段階に入っています。
ミニPCで大容量メモリを使うときの注意点
とはいえ、128GBメモリを載せればすべて解決というわけではありません。
ミニPCならではの注意点もあります。
1. 冷却性能
筐体が小さい分、熱がこもりやすい。
高性能CPUと大容量メモリの組み合わせでは、ファンノイズやサーマルスロットリングが発生することもあります。
購入前にレビューで「温度」「静音性」をチェックしましょう。
2. メモリスロット数と構成
増設ができるかどうかはモデルによって異なります。
オンボード固定タイプだと、後から128GBにアップグレードすることは不可能です。
「2スロット×64GB対応」かどうかを確認しておくと安心です。
3. 電源と安定性
128GB構成は電力負荷が高く、電源ユニットの品質が問われます。
純正アダプターの出力が足りないと、起動エラーや再起動ループの原因になります。
4. コストと投資対効果
128GBメモリはまだ価格が高く、メモリ単体でも数万円規模。
用途に対して「本当に必要か?」を冷静に判断しましょう。
64GBで十分なケースも少なくありません。
ミニPC+128GB構成の魅力と現実的なバランス
128GBメモリを積んだミニPCの魅力は、「小型なのにデスクトップ級の処理能力を持てる」ことに尽きます。
しかも、スペースを取らず、省エネ性能にも優れています。
それでいて仮想環境の構築やAIワークロード、動画制作など、ヘビーな作業もこなせる。
このギャップこそ、今ミニPCが注目されている理由です。
ただし、冷却・価格・拡張性の面で制限があるのも事実。
もし常時高負荷で使うなら、冷却能力の高い大型モデルを選ぶか、外部冷却を併用するのがおすすめです。
「省スペース+高性能」のバランスをどこまで取れるかが、ミニPC選びのポイントになります。
どんな人に128GBミニPCがおすすめ?
- 動画編集・3D制作を本格的に行うクリエイター
After EffectsやDaVinci Resolveなどを多用する人に最適。大容量キャッシュやプレビューで威力を発揮します。 - AI/ディープラーニング開発者
ローカルでAIモデルを動かす際に、メモリ容量は学習効率に直結します。 - 仮想化・サーバー用途ユーザー
複数OSやコンテナを同時稼働させたい人には、128GBの余裕が欠かせません。 - 「1台で全部こなしたい」高負荷マルチタスクユーザー
ブラウザ・動画編集・音楽制作・配信を同時に行うような使い方をする人に向いています。
逆に、ネット閲覧や文書作成、軽いゲーム中心の使い方なら、64GBでも十分です。
128GBは「余裕を持ちたい」「将来の負荷増に備えたい」という人が選ぶ上位オプションです。
まとめ:ミニPCでメモリ128GB搭載は現実的になった
数年前なら考えられなかった「ミニPCで128GBメモリ搭載」という構成は、今では確実に現実のものとなっています。
GEEKOM A6やMINISFORUM MS-S1 Maxなどの主要ブランドは既に対応機種を発売し、AI開発や動画制作、仮想化用途で高く評価されています。
もちろん、価格や発熱などの課題は残りますが、「省スペース」「高性能」「拡張性」のバランスを取ったハイエンド環境を求める人には、魅力的な選択肢です。
ミニPCの世界は今、静かに“本格ワークステーション化”しています。
これからミニPCを選ぶなら、「メモリ128GB対応」という条件をひとつの基準にしてみると、長く快適に使える1台に出会えるはずです。
