最近「ラズパイ(Raspberry Pi)が手に入りにくい」「もう少しパワーのある代替機が欲しい」と感じる人、増えていませんか?
そんな時に注目されているのが、“ミニPC”です。
小型で静か、しかもラズパイより高性能。今回は、ラズパイ代わりに使えるミニPCの選び方から、実際の活用法までをわかりやすく解説します。
Raspberry Piの魅力と限界を知ろう
まずは、ラズパイの立ち位置を整理しておきましょう。
Raspberry Piは、教育や電子工作を目的に作られたシングルボードコンピュータ。
手のひらサイズで、消費電力も非常に低く、数千円から始められる“お手軽パソコン”として長年人気を集めています。
たとえば、以下のような用途で愛用している人が多いでしょう。
- IoTデバイスやセンサー制御
- 小型サーバー(ファイル共有やメディアサーバー)
- プログラミングやLinuxの学習
- ロボット工作や自作ガジェット
ただし、ラズパイはCPU性能やメモリ容量が限られており、重い作業には不向き。
ブラウザで複数タブを開くだけでも動作がもたつくことがあります。
また、microSDカードをストレージとして使うため、速度や耐久性の面でも課題があります。
つまり、手軽さや拡張性は魅力だけれど、「パフォーマンス面で少し物足りない」という声が出てくるのです。
ミニPCとは?ラズパイとの根本的な違い
ミニPCとは、一般的なデスクトップPCをコンパクトに凝縮したような小型パソコンのこと。
Intel N100やRyzen 5などのCPUを搭載し、WindowsやUbuntuなどのフルOSを快適に動かせます。
ラズパイとの大きな違いは「中身の構成と汎用性」です。
- CPU性能:ミニPCは通常のPC用プロセッサを搭載しており、複数アプリの同時起動やマルチタスクに強い。
- メモリとストレージ:8GB以上のRAMやSSD搭載が当たり前で、データ転送も高速。
- OS:Windowsやフル機能のLinuxが動くため、一般的なPCと同じ環境で作業できる。
- 拡張性:USBポートやHDMI、LAN、NVMeスロットなどが豊富で、用途に合わせて増設も可能。
もちろんデメリットもあります。価格はラズパイより高く、消費電力も大きい。
しかしその分、ラズパイでは難しかった「日常使いのPC」「高負荷な処理」「高速通信」が実現できます。
ラズパイとミニPCを比較してみる
ここで、両者の特徴を整理してみましょう。
ラズパイが得意なこと
- 電子工作やセンサー制御などのGPIO活用
- 小型・低消費電力で常時稼働に向く
- 教育・学習・実験用途に最適
- 低価格で複数台を並列運用しやすい
ミニPCが得意なこと
- 高性能CPUによるマルチタスク処理
- 大容量RAM・SSDで高速動作
- WindowsやUbuntuなどのフルOS対応
- 映像・音声出力、ネットワーク機能が豊富
- デスクトップ代替やホームサーバーに最適
目的を明確にすれば、おのずと選択肢は絞れます。
「軽い工作やセンサー実験ならラズパイ」「本格的なPC作業やサーバー運用ならミニPC」が基本の考え方です。
ミニPCを選ぶときのチェックポイント
では、ラズパイ代わりにミニPCを選ぶとき、どんな点を重視すべきでしょうか。
ポイントを7つに絞って紹介します。
1. CPU性能
エントリー向けならIntel N100やN95、少し余裕を見たいならCore i5やRyzen 5クラスを選ぶと安心です。
Webブラウジングや軽いサーバー用途ならN100で十分。動画編集やAI処理などを想定するなら、もう一段上のCPUを。
2. メモリ容量
最低でも8GBは確保したいところ。
16GBあると、複数アプリを同時に動かしても快適です。
3. ストレージ
SSD搭載モデルを選びましょう。
M.2 NVMe対応なら速度も耐久性もmicroSDとは比べものになりません。
容量は256GB以上が目安です。
4. 拡張ポート
USBポートの数や映像出力(HDMI/DisplayPort)、LANポートの有無を確認。
特にホームサーバー用途では、2.5Gbps LAN対応があると便利です。
5. 冷却と静音性
ファンレスか、静音設計のモデルを選ぶとリビングでも快適。
小型筐体は熱がこもりやすいので、放熱設計にも注目しましょう。
6. OSの自由度
Windows搭載モデルはすぐ使える反面、ライセンス費用で価格が上がります。
LinuxメインならOSなしモデルを選んでコストを抑えるのもアリ。
7. コストバランス
ラズパイが数千円台、ミニPCは2〜4万円台が中心。
必要な性能を見極めて、過剰スペックにならないようにしましょう。
ラズパイ代わりに使える注目ミニPC
ここでは、実際に人気のあるミニPCをいくつか紹介します。
- GMKtec G3 PLUS(16GB/512GB SSD)
メモリに余裕があり、Windows 11 Pro搭載。Webブラウジングやメディア再生が快適。 - GMKtec G3(Intel N100)
約2万円前後で買えるコスパモデル。小型・静音で、ラズパイ代替の定番候補。
軽作業やサーバー運用にも向いています。 - ASUS NUC 14 Essential(N150)
安心のブランド製。拡張性と安定性のバランスがよく、長時間稼働にも耐えます。 - ASRock DeskMini X600
拡張性重視のベアボーンモデル。自分でカスタマイズしたい中級者におすすめ。
これらのモデルはどれも「小型・静音・高性能」の三拍子が揃っており、ラズパイからの移行先として現実的な選択肢です。
ミニPCをラズパイのように活用するアイデア
ミニPCを単なる“小型パソコン”として使うだけではもったいない。
ラズパイ的な用途に落とし込むことで、可能性はさらに広がります。
常時稼働のホームサーバー
ファイル共有、メディアサーバー、バックアップ先などに。
ラズパイより転送速度が速く、SSDで安定稼働できます。
低消費電力モデルなら電気代も大きくは変わりません。
自宅クラウド/VPNゲートウェイ
OpenVPNやWireGuardを入れれば、外出先から自宅ネットワークに安全接続できます。
CPU性能に余裕があるミニPCなら、暗号化通信もスムーズです。
AI・画像認識の軽実験
近年のミニPCにはGPU支援機能やNPU搭載モデルも登場。
AI処理やPythonによる画像認識など、ラズパイでは難しかった分野にも挑戦できます。
モニター裏のデスクトップ化
VESAマウント対応のミニPCなら、モニター背面に取り付けて省スペースPCに。
ブラウザ作業や動画視聴なら十分な性能です。
教育・学習用プラットフォーム
ラズパイで学んだスクリプトやアプリを、ミニPC上で本格動作させる練習にも最適。
サーバー構築やデータ処理の実習環境としても使えます。
ミニPCを選ぶ前に考えておきたいこと
「ラズパイより高性能なら、全部ミニPCにすればいい」と思うかもしれません。
でも、両者は得意分野が違います。
- ラズパイは“軽さと拡張性”
- ミニPCは“性能と汎用性”
もし電子工作を中心にしたいなら、GPIOが使えるラズパイが必須。
反対に、データ処理や常時稼働サーバーならミニPCが適しています。
また、ミニPCは放熱や電源管理を考慮しないと、長時間稼働で熱がこもることも。
ラズパイ的に「放置して動かす」場合は、冷却やUPSなどの周辺環境を整えるのがポイントです。
まとめ:ラズパイ代わりに使えるミニPCで、次の一歩へ
ラズパイとミニPCは、どちらも“小さなコンピュータ”ですが、性格はまったく異なります。
低価格・低消費電力・電子工作中心ならラズパイ。
性能・拡張性・日常利用までカバーしたいならミニPC。
とくに最近のIntel N100/N95搭載ミニPCは、価格も2万円台に下がり、ラズパイの代わりとして現実的な選択肢になっています。
自宅サーバーを安定稼働させたい人、軽量PCとして日常使いしたい人には、ミニPCが新しいスタンダードになるかもしれません。
あなたがラズパイでやりたかったことを、もっと快適に、もっと自由に。
ミニPCを活用して、次のステップへ進んでみませんか?
